持ってきた物は
即座に通路の両側の灰色のエステル帆布のシートが引き剝がされる。そこには新品同然にも思える轟炎羅刹型の殺戮機兵が姿を現した。片側に四機ずつ、計八機だ。
(あれは、まさか殺戮機兵と呼ばれるものか?)
殺戮機兵とは文字どおり人を殺すために製造されたロボット兵器のことだ。その分野で名を馳せたヒュリエント社は犯罪者を始末するために警察機構に導入することを推し進めた。
その矢先、誤って無実の市民を殺害した事件の勃発により、この虐殺兵器を危険視した市民たちの抗議デモが巻き起こり、その思惑は呆気なく打ち砕かれた。
世論の逆風は止まることを知らず、買い手が付かなくなったヒュリエント社は敢え無く破産した。
殺戮機兵は全て廃棄処分になったはずだが、まだ亡霊がいたようだ。
「変な気は起こさないほうが身のためだぞ。前もって教えてやるが、この殺戮機兵にはお前や恋人以外にも、絶滅特殊部隊の連中の顔から身体的特徴までありとあらゆる情報をインプットしておいた。俺がリモコンのスイッチを押したら最後、お前らに生き残る術はない」
ゴルティモアは高らかに笑い声を上げた。
「言いたいことはそれだけか?」
パルマンに意に介した様子はない。
「あんたはどっちの立場が上なのか、まだ分かってないみたいだな。人質を取ってお山の大将気取りのようだが、彼女を殺したところで、俺にとっては恋人を失っただけの話。逆に、俺が手に入れた物を壊してしまえば、お前らの目論みは一瞬にして崩れ去る。よく考えてから物を言うんだな」
冷徹な言い方だが、紛れもない事実だった。パルマンはさらに続けた。
「試してみるか? お前が恋人を殺すのと俺が最後の内臓ストレージを破壊するのとどっちが早いかを?」
「クッ!」
さすがのゴルティモアもぐぅの音も出なかった。
「それで、こちらの要求どおり物はちゃんと持って来たんだろうな? 早く見せてみろ!」
もはやゴルティモアの怒声など負け犬の遠吠えにしか聞こえなかった。
「もちろん、持ってきたさ。これをな」
パルマンは紫紺色のフード付きジャケットの右のポケットからあるコインロッカーのキーを取り出した。




