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三話 救援要請


 ミシェルとニーナを中心に繰り広げられていたほのぼのラブコメ空間も終わりの時を迎え、少女は帰る支度を始める。


「あの、突然すみませんでした。ありがとうございました」


「謝らなくていいんだよ。お菓子美味しかった」


「ありがとうはこっちの台詞だ、ニーナちゃん。またいつでもおいで」


 アメリアとクラウスが感謝を伝え、私も同調して「また来てね」と伝えた。


「あの、ニーナ…………ありがと、よ。気を付けて帰れよな……」


「うん、ミシェルくん」


 そして相変わらず甘酸っぱい空気が流れる二人。

 以前の私なら「イチャコラしやがって」「リア充爆発しろ」とか思っていただろうが、私も前よりは落ち着いたものだ。

 悪態をつくどころか何だか寿命が伸びた気がする。


 私もお菓子のお礼を伝えて、彼女を見送った。


――――――――――


 焼き菓子屋を営んでいるニーナの家は、グランヘルム家から馬車で四十分ほど進んだ先の区画にある。

 ハジメ風に言えば『馬車タクシー』でその区画まで移動し、町に到着してからは徒歩二十分程度で家に着く。


 久しぶりにミシェルに会えて、クラウスやアメリアも暗い顔をしていなくてホッとした彼女は安心しながら帰路を真っ直ぐ歩いていた。


 その道中、横から声を掛けられ立ち止まる。女性の声だ。

 そこに立っていたのはパーカーのフードを深く被った少女。

 顔はハッキリとは見えないが長い金髪は見えた。


「どうしたんですか?」


「……悪い人に追われてるの」


 パーカーの少女は小さな声で何者かに追われている旨を伝える。


「お願い、助けて……仲間も怪我をしてる。来てほしい」


 ニーナは、心優しい少女だった。

 助けを求められれば無視できず、少女の願いを聞き入れ、ついていく。

 少女の傷ついた仲間が居るらしい、路地裏へ。


 路地裏を進み街の喧騒が聞こえなくなってきた辺りで、パーカーの少女が立ち止まる。


「怪我人は、どこ?」


 その問いに――パーカーを外した金髪の少女は無言のまま視線を返して。

 直後、ニーナの全身が何かに拘束され、突如身動き取れなくなった。


「――何!?」


 自分の身に何が起きたのかと見てみれば、大量の緑の蔓が身体に巻き付いていた。

 そして、真ん前……パーカーの少女の背後から桃色髪の、大人の女性が歩いて来る。緑の蔓は、彼女と繋がっていた。


「上出来です、レイカちゃん」


「ジュナ、来るの遅い」


「なるべく表通りからは離れないと駄目でしょう」


 パーカーの少女はレイカ、穏やかな雰囲気で喋る女性はジュナと、それぞれ呼ばれた。


 嵌められたのだと、気づいた。

 理由はわからないが、ニーナを捕まえるためにここへ誘導されたのだ。

 更に背後からも小さい足音と大きな足音の二つが聞こえて来る。

 振り返るとそこには、痩せ型と巨体の蜥蜴人二人が道を塞ぐように佇んでいた。


「一般人の、それも学生の女を四人で囲むとは……気が進まんな」


「でもよ兄ちゃん、相手は優秀な人材が多い事で有名なあの魔法学校に通ってる女だぜ!」


「レプテくんの言う通りです。しかもアイザックさんの情報通りならこの子、在校生の中でも上位十人に入る優秀な子ですよ」


「……そうか」


 乗り気でない巨体の蜥蜴人を兄ちゃんと呼ぶ、痩せ型の蜥蜴人。レプテと呼ばれた彼に続いてジュナが再び口を開いた。

 ――ニーナの事を、何者かからの情報により知っているらしい。

 何故自分が狙われているのかわからない彼女は瞳が涙に濡れそうになり、足が震えそうだった。

 だが、堪えた。


 いつ如何なる時も真面目で諦めないミシェルを思い浮かべ……学校での教えを思い返した。


 窮地に陥った時ほど冷静になれ。


 ニーナは涙を零すのを止めて、魔法を放つ。


「アクア・ブレード」


 次の瞬間、高速の細い水流がウォーターカッターの原理で手足の蔓を切り落とす。

 拘束するという事は何か用がある。殺されることは無いと……抵抗する事を選んだ。


 だが、そんな渾身の魔法を見てジュナは穏やか笑みと余裕を一切崩さず、それどこかニーナの行動を褒めてきた。


「凄いですね、自分の身体は傷つけず蔓だけを切るのはかなりの精度と集中力を要するでしょう。その歳で素晴らしい魔法操作です」


「――っ!」


 表情も口調も穏やかだ――が、その裏から感じる威圧感に気圧されそうになるもニーナは続けて他の水魔法を発動。

 一面に白い霧を発生させ全員の視界を塞ぎ、足早に逃げ出そうと駆け出して――


 足を、絡め取られた。


「きゃっ!?」


 足を止められ転倒し、咄嗟に顔を庇い手の平を擦り剥いた。

 足には、またも緑の蔓が巻き付いていた。


 白い霧の向こうから、影と共に桃色髪の女――ジュナが歩み寄って来る。


「情報通り君は優秀ですよニーナさん……けれど、私にはまだ遠く及びません」


「くっ……!」


 水球を放ちジュナを狙い撃つ。

 だが、それはジュナの右手から放たれた茨の鞭に弾かれ粉々の水滴になりながら、消えてしまった。


「それと、君が私に抗えない理由はもう一つあります」


「なに……っ」


 ジュナは穏やかな雰囲気を纏わせたまま――残酷な事実を告げる。


「君のお父さんとお母さんは、既に私の手中にあります」


――――――――――


 ――翌日。


「クリエイティブ・シビリゼーション!!」


 グランヘルム家の門前を通る整備された道。

 更にその先を隣接して流れる川の上に私は『創造魔法』を放つ。

 手の平が光り、ドッと身体に疲労がのしかかる感覚。

 クラウス、アメリア、ミシェル、ヘクトールが見守る中、川の上に端から端まで架かる様に生み出された長い人工物――そう、橋だ。

 元の世界の通学路にあった橋。


 その立派な橋の上を私は意気揚々と渡って行き――


 真ん中まで歩いた辺りでビキッ、バキッと怪しい音が聞こえ。


「まずい、逃げろハジメ!」


 そんなクラウスの呼び声も虚しく、私が真ん中に立つと同時に橋は一斉にひび割れ、バラバラに砕け落ち、そのまま私は川へとダイブし断末魔をあげた。


「ぎゃあああぁぁぁーー!!」


「ハジメーーっ!!」


 そんなこんなで、皆に助けてもらいびしょ濡れ服を着替えるためいったんグランヘルム家へと帰宅する。

 橋の創造には失敗してしまった……たぶん普段から通る時にいちいち意識してないからイメージも固まりにくいのが原因だろう。

 不完全な橋は渡っている途中で崩れてしまう。気をつけよう。


 ……全身ずぶ濡れになり嫌な事を思い出してしまった。


 中学生の頃、一年間いじめられていた事があった。その時バケツで水をぶっかけられた事を思い出してしまったが、その事はいったん忘れよう。

 この異世界には……アイツも居ないし。


「作った橋の様子を見てきます」


「また落ちゃ駄目だよ」


「もう落ちないて!」


 アメリアが心配してくれてるが流石に二連続で落ちるつもりはない。

 落ちるかもしれないが。

 とりあえず、失敗した原因などを詳しく調べるため残骸などを観察してみようと一人で近くの川まで歩いて行き……


 背後から、少女の声が聞こえた。


「あの、ハジメさん」


「ん?」


 聞き覚えのある声に振り返る……そこには居たのは、ニーナだ。

 どうやら今日も来てくれたらしい、ミシェル君に会いたかったのだろうか。


「こんにちは」


「ニーナちゃん、どうしたの? ミシェル君なら家にいるけど」


 私の言葉に、ニーナは言葉を詰まらせて俯いた。

 表情も、なんだか暗い。

 なんだコレ、この子、どうしちゃったんだ……


 明らかにただ事ではない雰囲気にどうするべきか悩んでいると、彼女は私に視線を合わせ。


「――ハジメさんに、用があってきました……」


「……え、私?」


 まさかの意外なご指名にビックリした。

 というかこの子の暗い顔は一体なんなんだ……

「恋の相談かい?」とかふざけられるような表情ではない。


 ――この表情は、縋り付くような目は……


 助けを求めているような表情にも、見えた。


「どうしたの、ニーナちゃん。何かあったの?」


 私の問いかけに彼女は顔が青くなりながら……首を横に振った。


 これは完全に何かあったやつだ。

 彼女は何かを気にするように周囲をキョロキョロ見てから、私の耳に口を近づけて小声で話してくる。


 

「詳しい事は言えないです……けれど、街の方まで……来て頂けませんか……」


 声は震えていた。何かに脅えるように。

 何か、切羽詰まった様な表情をしている。


「お願い、します……」


 振り絞り、震える声を出し、ニーナは懇願していた。


「――――」


 絶対にただ事ではない。


 たぶんコレは、彼女の身に何か危険が起きている気がする、そんな感じの表情だった。


 正直何で私が指名されたのか分からない。どう考えたってミシェルやクラウスやアメリアの方が頼りになるし。


 でもきっと、何か私が名指しされる理由があるのだろう……誰かに、私を連れてくるよう脅されているとか。


 昨日見た平和な笑顔とは程遠い、顔色も悪いそんな姿を見て……私は、知らんぷりなんて出来なかった。


「何があったか話せる?」


 私のその問いかけに、彼女は首を横に振った。

 言えない理由があるのだろうか……

 それとも、もしや、言葉では話せないとか……


 私は、創造魔法でノートとペンを生み出し、再度彼女へ問いかける。


『筆談なら話せる?』


 ノートに書かれたその一文に、彼女は静かに首肯した。


 ――以前の私なら、状況が理解できず私も一緒にパニクっていた事だろう。


 けど今の私は、思考がヒーローモードだった。

 昔の……小学生の頃の、怖いもの知らずのバカだった頃のメンタルになっていた。




『お父さんとお母さんが人質に取られて、従わされています』


『グランヘルム家の人間や兵士に助けを求めたら両親を殺すと脅されています』


 そのニーナの返事を見て、門を守っている兵士の視界から離れる為、グランヘルム家に隣接する畑へと入る。

 グランヘルム家の人や兵士に見つかるとかえって話を聞き出しにくい状況になりそうだったから。


 カーリーもシュタールも、当たり前に居た姿が今では……と、感傷に浸るのは後回しにしよう。


 周りに誰も居ないのを確認し彼女の前で再び創造魔法を使い、紙の束……ノートを生成する。


 目の前でノートやペンやらがポンポン生み出される光景にニーナはますます混乱した目を向けるが、それについてはあまり説明してあげられる余裕はない。


 口では喋れないが筆談なら大丈夫だと彼女は言った……つまり、何らかの手段で話した内容が敵にも筒抜けになってしまうのか、どこかで監視や盗聴をしている者が居るのだろうか。たぶん。


 ペンとノートを手渡し、ニーナはスラスラと綺麗な文字を書き始め……私に見せて来た。


『お父さんとお母さんが人質に取られて、従わされています』


『グランヘルム家の人間や兵士に助けを求めたら両親を殺すと脅されています』


 両親を人質……なんてことだ。

 逆らえない様にして、こんな一般人の女の子を利用するとは、なんて奴だ。


『ハジメさんを連れて来いと命令されました』


 しかも、狙いは私らしい。だから私に声を掛けたのか。

 まさかとは思うが……『神の使い』だろうか。私に何の用があるのかは知らないけど。本当いい加減にしてほしい。


 誰かの身内をことごとく人質にして、事態を良いように動かそうとするとか……沸々と怒りが湧いてくる。

 まさかこれもアイザックの仕業じゃないだろうな。


『人質に取って来たのは黒ずくめの衣装で仮面被った男?』


 しかし、その私の想像は外れていた様だった。


『桃色の髪をした女の人です。他にも、女の子と蜥蜴人の仲間が居ました』


「……」


 私が知らない人物……アイザックではないらしい。


 とりあえず敵が『神の使い』だと仮定して……弱っちい私が無策で勝てる相手じゃないだろう。


 とりあえずできる限りの情報を集めようと筆談でいくつかの質問を投げかけた。


『声での会話は向こうに筒抜けになってるの?』


『植物魔法の寄生花と呼ばれるものが今私の体内に植え付けられています。人の身体に寄生させて声を盗聴したり、身体の動きを誘導したり出来る魔法です』


 そんな怖い魔法があるのか……いや、ちょっと待って。

 だとしたら今この子は大丈夫なのか。

 実は今の行動も全部操られてる上でやってるんじゃ……なんか不安になって来た。


『ちなみにニーナちゃんが今その魔法で操られてるって事はない?』


『思考まで奪って操るのは無理です。使用者との距離も空いてますし身体も今は自由です』


 そうか、なら安心だが……いや、まだちょっと不安だが彼女を信じよう。


 やけに魔法に詳しいな、という疑念も生じたが、魔法学校では一定以上の遭遇率がある危険な魔法はその特徴と対策を習うと以前ミシェルから聞いた。

 なら詳しい点も別に怪しくはない。


『その魔法の対抗策は分かる?』


『寄生されたら炎、雷魔法を体内に撃ち寄生花を消すか、使用者から離れて一日以上逃げる事です』


 凄いスラスラ出てくる、真面目に勉強していたのだろう。

 緊急事態じゃなければ褒めてあげたいところだ。


『お父さんとお母さんはどんな状態で人質に取られているの?』


『私が植え付けられているものとは別の種類の寄生花を植え付けられています。盗聴機能はありませんが、指示があれば体内から棘を伸ばすんです』


 恐ろしい話に背筋が凍える。

 さっきから魔法の内容がえげつなさ過ぎる。


 ニーナは、震えが酷くなり涙目になりながらペンを更に進めていき。


『ごめんなさい』


 家族を守る為に私を連れて行こうとすることへの罪悪感から出た謝罪だろう。

 けど、この子は悪くない。


『謝らなくていい。悪いのは卑劣な手段を取る悪人どもだ』


 ムカつくが相手は私やグランヘルム家の人間に効きそうな手段を分かっている。

 それもニーナという人選もいやらしい。グランヘルム家に近づいても全く怪しまれないし、私も彼女の危機を無視は出来ない。


 目的の為ならこんな女の子の心を踏みにじる事まで平気でやるのか。


『マジふざけんなよ』


 と、口から出したい怒りの声をノートに書くだけにして収め、それはくしゃくしゃにして捨てた。

 次の質問をニーナへ見せる。

 もうゆっくりさせてあげたいが状況が状況だ。質問攻めを許してほしい。


『何で敵の目的は私なの?』


『分かりません。ごめんなさい』


『それなら仕方ない、気にしないで』


 やはりその理由は聞かされてないか……『神の使い』だとしたらアメリアも狙いそうな気がしたのだが。


 ――さて、ここからどうするか。

 正直モヤモヤと怒りのままに暴れたい気持ちだがやめておこう。


 ニーナの両親が人質に取られている。

 ムカついたからという理由で勝手に動いて、両親を殺されたりしたら……手遅れな事態になってはいけない。それは絶対に起こしちゃいけない。


 筆談でクラウスや庭に居る兵士達に助けを求めようかとも思ったが……やめておいた。

 もしかしたら、盗聴だけでなくどこかから監視もされているかもしれないと思ったから。

 ここまで用意周到な相手だ、私の視力が届かない遠くから敵の仲間が見ている可能性も無いとは言えない。


 直接的な救援要請は却下だ。


 ニーナと両親の為にも大人しく私が連れて行かれた方がいいだろう……が、ただ連行されるだけでは相手に良いようにされてしまうだけ。

 それも嫌だ、何か無いか。敵の目を欺きながら、助けを求める方法……


 何か無いか、考えろ。

 相手に簡単に見破られるものじゃ駄目だ。

 私にできること、私にあって相手には無い、敵の意表をつき欺けるもの……


「……!」


 閃いた。

 正直上手くいくかはわからない。

 ボサっとしている時間はない。


 涙を拭うニーナに目を合わせ、声のテンションを低くしながら――口を開いた。


「分かったよニーナ。そんな状況じゃもう私達じゃどうしようもない」


「え」


「私を連れて行って」


「で、でも、いいんですか……?」


「いいんだよ。皆を守れる方法はもう……それしかない」


 その諦めの言葉にニーナは罪悪感に塗れた表情を俯かせながら「ごめんなさい」と囁いた。

 私は「気にしなくていいよ、仕方ない」と笑顔を浮かべてから畑を眺め、感傷に浸る様な声で口を開く。


「それにしても畑、そろそろ水撒きが必要かな……って思ってたんだけど……もうそんな時間もないね」


「ハジメさん……」


「申し訳無さそうな顔しないで。仕方ないよ、これが、この畑を見れる最後かな……」


 そうテンションを低くした声で呟きながら、紙とペンを取り出す。


「出る前に、私も手伝って育てて来た野菜の為に、私も何かしておこう」


 そう言いながらスラスラと書きすすめる私。

 それを横から見たニーナは首を傾げながら。


「……? ハジメさん、その記号の列は?」


「あぁ、これね。局所的な雨を降らせる水魔法の効果がある魔法陣の術式で……畑に撒くのに使われてるんだよ。レイチェルさんから教えて貰ったんだ」


「そうなんですか」


「最後にせめてこれくらいはね――さようなら、グランヘルム家……」


 ニーナは再び悲しげな目を浮かべ、私も声を震わせながらそう告げて、書いた魔法陣の紙を風で飛ばない様に石を乗せて固定。


「行こう、ニーナ」


「はい」


 私達は、抵抗もできず、ただ敵に従うしか無かった――




 ――さて。

 先程の私の口からペラペラと出てきた魔法陣の話と感傷的な台詞達。


 もちろん真っ赤な嘘である。


 いや、正確には魔法陣の存在自体は本当だ。広い畑に水を撒くレイチェル考案の便利魔法陣だ。

 だが、ぶっちゃけ私はそんなモン書けない。 


 敵を騙すには先ず味方からって奴だ。


 ニーナには記号の文字列に見えたであろうそれは……術式ではない。


 日本語だ。


 日本語でニーナから得た情報を全てを書いた。

 クラウスなら解読できる、そして状況に応じた冷静な判断をしてくれるだろうと。


「あ、門兵さん。畑に水撒きの魔法陣を設置したんで、中に居るクラウスさんに伝えてくれませんか?」


 グランヘルム家の門を警備してくれていた兵士にそう伝え、人目が無い間に私はニーナと共に足早で離れて行く。


 兵士に止められて質問攻めされ、そこから騒ぎが大きくなったりしたら敵がどう動くかわからないから。


 ――私はこのまま単身敵地へ飛び込む覚悟を決めた。

 先ず敵の目的を達成させてやればニーナもニーナの両親も、無事なはずだ。


 日本語の手紙に気づき、後から助けに来てくれる事を願って。 


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