幕間 ウィルフレッドの剣
僕らの家が何者かに襲撃を受けて、父と母二人が外で戦っていた。
僕とルシアンは祖母と一緒に家の中に避難していて、祖母は「大丈夫だよ」「お父さんとお母さん達がやっつけてくれる」「私もついている」と僕等を励ましてくれる。
そこには飼い犬のヘクトールの姿もあった。
ルシアンは怖くて今にも泣きじゃくりそうで、僕が色々と話しかけたり、どこから入り込んできたのか、すぐ近くの壁に止まっていた赤バッタの話題を振ったりしていた。
必死に言われるがままに避難してきたから、剣を持ってきていなかった。
何かあった時の為に剣を……
そう考えていると、目の前に見知らぬ黒髪の……赤いコートの男が突然現れた。
その時に感じたのは言いしれぬ恐怖だった。
獣や魔獣と戦ったことなら何回かあったけど……人間から、本気の悪意をぶつけられたのは初めての経験だった。
両腕は何とかルシアンを守る様に抱きしめていられたけど、足は竦んでしまった。
剣があったとしても、恐怖が勝り抜けなかったかもしれない。
一方で祖母は僕等二人を庇うように前に立ち、孫達には手を出すなと真っ向から叫んでいた。
そしてヘクトールが家族を守る様に突撃し噛みつこうとして、男がよく聞き取れない声を上げたその直後に、数匹の赤バッタがヘクトールへ襲いかかった。
何故なのか分からなかった、でも、男を守るように赤バッタが動いていたのだ。
あんなにルシアンが見つけて喜んでいた虫が、ルシアンを更に悲しませる行動を見せて……
その光景に混乱していた途中で、足元に黒い光が広がるのが見えて――気がつけば僕等三人は家の庭のど真ん中に居た。
ただでさえ頭がパニックを起こしていたのに、父がボロボロで、右腕を無くして、動けずにいた姿に、僕は心配で、悲しくなって、大声で父さんと呼んだ。
母達の姿も、祖父の姿も見えない。
そして僕等を逃がそうとし助ける為に立ち向かった祖母が、突如姿を消した。
僕は祖母が居なくなった恐怖に足が止まり、ルシアンは泣き叫んだ。でもすぐに祖母の言葉を思い出して、僕は妹を支えて逃げようとした。
でも、いつの間にか赤いコートの男が回り込んでいた。
恐怖にまた足が竦みそうになったけど、怖がる妹の腕を乱暴に掴まれて、思わずカッとなった僕は恐怖を忘れてて掴みかかる。
男は大して力は無かったけど身長差があった。
蹴り飛ばされて、痛みは無かったけど……もう駄目だ、と思ってしまった。
駆け寄ってくるルシアンの顔が見えて、せめて妹は守らなければと立ち上がろうとした瞬間に、足元に黒い光が現れて……最後に、父と目が合い。
一瞬にして視界が切り替わる。
訳が分からず、呆然と周りの景色を眺めた。
さっきまで居たのは自宅の敷地内だったはずだ。
なのに今、視界に広がるのは廃墟の様な家が立ち並ぶ道の真ん中だった。
生気を感じられない人々が道を歩き、突然現れた僕らにも無関心な様子だった。
その廃墟の様な家に人が住んでいる様子も見えた。窓や壁が壊れていたりして中が見えてしまうのだ。
年齢や性別に関係なく地面で寝転がる人も多くいる。
そしてその多くが、身体が痩せていて顔色も良くない。余裕のない、今を生きるので精一杯なのだという顔をして、笑顔も笑い声もなく生活していた。
母親らしき女性からカビだらけのパンを受け取り嬉しそうな顔をする子供を見たが、とても『平和』とは言えない光景だった。
こんな街、知らない。
ルシアンも状況についていけず、泣くことすら出来ず、ただ僕にしがみつきながら呆然と立ち尽くしている。
僕達が暮らして来た都市にも貧民街はあるが、最低限度の食や住まいくらいは保障されている。
ここまで酷い廃墟の様な場所は無い。
ここは一体、どこなんだ。
――僕とルシアンは、わけもわからぬ間に、知らない場所に立ち尽くしていた。
――――――――――――――――――――
知らない土地で離ればなれにならないように、妹の手を握りながら、整備などされていないデコボコな道を歩いて行く。
「お兄ちゃん……ここ、どこ?」
「……分からない……けど、大丈夫、家からそんな遠い場所じゃない……はずだよ……」
大きな不安が胸中を渦巻く。
僕等が住んでいた国の中にこんな地域があるなんて聞いた事がない。
旅行や遠出で知らない街や地域に行くのは大好きだ、ワクワクするし……でも、これは違う。
本当に、家に帰れるのだろうか……剣すら、持っていない。
何かあった時に、悪意を持った大人に目をつけられた時に、妹を守れるのか……僕は、生き残れるのか。
家を襲撃に来た男を前にして、足が竦んでしまった僕が。
「お兄ちゃん……」
妹が涙目で、不安そうに声を掛けてきた。
駄目だ、自分が弱気になっていたら駄目だ……妹が頼れる存在は今、僕しか居ないのだ。
出来る限り、いつも通りの笑顔を作り、いつも通りの声を出す。
「大丈夫だよルシアン! この僕がついてるし、お父さんとお母さん達も大丈夫、今頃家で待ってるはずだよ!」
「……うん」
空元気の声にルシアンは元気なく答える。
たぶん無理して元気に見せているのはバレバレだ。
でもここで立ち止まったらいけない、二人で、家に帰らないといけないのだ。
先ずは人に話を聞いてみる。
この場所はどこなのか。どこの大陸の、何の国に属する何という街なのか――
最初に話しかけた何人かは無視か、怪訝な目を向けて何も言わずに去ってしまった。
「大陸とか国とか知らない」と返す者もいた。
何を勘違いされたのか質問には耳を向けてくれず食料を求められたりもした。
そして、整備されていない道に座り込むやせ細った老人に声を掛けてみると、答えが返って来た。
「ここは、北の大陸の……ローグという国さ」
「北の大陸……ローグ……」
僕等が住んでいたのは、西の大陸にある大国オーディス。
その国に属する城塞都市ヴァルハルトだ。
ローグという国な知らないが、大陸くらいは分かる。
遠い……気が遠くなる程に遠い場所だった。
「お前さん達、ここの者じゃないだろう」
老人の問いかけに、僕は真っ白になった頭を何とか働かせながら首肯する。
老人はこちらを見上げ、心配するような目を向けて話を続ける。
「格好に顔色、雰囲気からしてここに住んでいる者では無さそうだし……その顔は、冷やかしに来た貴族街の子という訳でも無さそうだね」
「はい。その……僕達にも何が起きたか、分からないんです……」
「知らない男の人が家に来て、気づいたらここにいたの……」
要領を得ない、曖昧な事しか言えない、そして本当の事だと提示できる証拠すら、嘘としか思えない話だ。
でもそれを老人は真面目に聞いてくれて、信じてくれた目で口を開く。
「……そうか……大変だったな。まだ子供だというのに」
「……あの。ここから出て、早く帰りたいんです。この街を出て、船のある港までの行き方だけでも教えて貰えませんか」
「みんなに会いたい」
僕とルシアンに、老人は申し訳なさそうな顔を見せた。
そして目を俯かせながら答え――
「すまん。それは出来ん。町を出ようとすれば死ぬ」
「どういう……事ですか?」
老人の言っている意味がわからなかった。何故、町を出ようとしただけで死ぬのか……まさかこの老人は始めから適当な事を……
いや、その目は、真剣だった。
本気で僕達を心配している目だった。
「今この貧民街は、突如外から現れた者達に裏から支配を受けており、この街に住む者達は外へ出る事を禁じられているのだ」
「何で、誰が……そんな事を」
「何者なのかは私にも分からん。だが、一つの教えを広めに来たのだ。外は戦争だらけの悪魔の世界。この町に引きこもり続ける事で神に守られる……外に出る者は、悪魔の仲間として殺すべきだ、と」
「そして、引きこもり続けていれば、やがて神が助けに来ると」
「そ、そんな、そんな話を信じてるんですか!? どう考えたっておかしいじゃないですか! 今も皆、誰も、幸せそうにしていない!」
大声で反論すると、老人は指で『静かに』とジェスチャーを見せた。ルシアンもビックリさせてしまった。
……混乱しているけど、落ち着こう。
父さんや母さん達なら、まずは冷静に話を聞く。
「……みんな、そんな話を信じているんですか」
「このローグという国は昔から他国との戦争や内紛ばかり起こし、金や物資、食料は国の上層部や軍、上流階級の者達ばかりに流れ……多くの民が生活に苦しんでいる。悪魔に支配された国だとは昔から言われていた」
「……」
「皆、真実はどうでもいいだろう。ただ、明るい未来も希望も見えないから……なんでもいいから、縋りつける何かが欲しいのだ」
人生が苦しいから、先が見えないから、何かに縋り付きたい……正直ずっと、好きに生きて来られた僕にはピンと来なかった。
ルシアンもよく分からないという顔をしていた。
でも、分かる事はある。
この街に住む人達は何も悪くない……悪いのは、辛く苦しい思いをする人達に、よく分からない教えを説いて広めて……「何かを行動する機会」さえ奪った奴等だと。
「……街から出ようとしたら、誰に殺されるんですか?」
「分からん。だが、これまで外に出た者は全員翌日には街の中で死体として見つかった」
全員が死体……誰なのかは分からないが、一体なぜ、そこまでするのか。
そして、下手に行動が出来ないとも分かった。
父さんや母さん達、兄さん、姉さん、ローランドさんなら、何とかできたかもしれない……けど。
「だから、お前さん達も、動くなら慎重にしなさい。息を潜めて生きなければ、何に目をつけられるか分からない」
「……けど、僕は、妹を連れて……早く帰らないと……」
これだけは譲れない。家族のところへ帰りたいという、思いだけは。
老人は迷った表情で息を吐き、意を決したように口を開き。
「――どうしても帰りたいというならば、この道をまっすぐ北に進んだ場所に行きなさい」
「え」
「ワシも詳しくは知らないが……街の解放と国の上層部への反乱を企てている組織がいるらしい。極秘裏に街の外にも出入りしているそうだ」
「――! じゃあ、そこに行けば……っ」
「ただし、その地域は荒くれ者も多い。子供だろうが容赦はない。最悪、身ぐるみを剥ぐ目的で殺されるかもしれん」
「う……っ」
「ワシはおすすめしないが……外に出たいならば、それが確実だろう」
「……わかり、ました」
「すまんな、大した力になれず」
「いえ、色々話をしてくれただけでも、ありがとうございました」
ルシアンも老人に「ありがとう」と頭を下げて、最後に水のある場所を聞いて、彼から申し訳なさそうに見送られながらその場を発った。
手を繋ぎ、相変わらず空気の重たい道を歩いて行く。
喉が渇いてきた。水がほしい。ルシアンも我慢しているだけで何か飲み物を欲しいと思っているかもしれない。
暫く歩いて一つ向こうの通りに行けば比較的綺麗な川への道があると聞いた。
道を探しながら辺りを見回していると。
「……私達も、死んじゃうの?」
ルシアンが不安そうに訊ねて来た。
そうだ、妹がいる。この子を危険な目には遭わせられない。無謀な真似は出来ない。
「大丈夫だよルシアン。僕は父さんとお祖父さんの血を引いてる剣士だ。何が来ても負けないよ!」
「……本当?」
「ほ、本当だよ!」
剣の無い僕に何が出来るのか、と自分で自分に言いたくなる。
しかも帰れる可能性がある方法は、危険な場所に行かなければならない。
僕じゃどうにもならないかもしれない。
妹を危険に巻き込んでしまうだけかもしれない。
でも、この子を不安にばかりしていられない。
ずっと元気が無い妹を早く安心させてあげたい。
「……喉渇いた」
「うん……」
ルシアンがついに我慢が限界に近づいて来たようだ。僕もだ。
弱音は吐かない様にしていたが、水が飲みたくてたまらない。
そして、それらしい道を見つけて脚に元気が出てきて、僕とルシアンは廃墟の家に挟まれた人気の無い道を進んで行く。
横には瓦礫や廃材が転がっており、固そうな木の棒があったので拾う。何かあった時の為の武器だ。
そうしてそのまま薄暗い道を進んで行き広い場所への出口が見えてきたところで大人の男の三人組がこちらへ歩いて来るのが見えた。
見るからに荒くれ者といった風貌。
目をつけられない様に、目を合わせない様にして、口を閉じ、妹の手を握って、彼等の前を通り過ぎ――何事も無かったと安堵しかけた、その時。
「きゃあっ!」
ルシアンの悲鳴が聞こえた。
振り返ると、空いた右手を荒くれ者の一人が掴んでいた。僕は反射的に木の棒を構えながら男へ叫び声をあげる。
「何してるんだ、妹の手を離せよ!」
「生意気なガキだな」
その声と共に、二人目の男から蹴りを入れられて廃材の山まで蹴り飛ばされてしまった。
痛い、痛い、息が苦しい、苦しい、涙が出そうだ。怖い。怖いよ。
「お兄ちゃん!!」
ルシアンの泣き声が聞こえた。
ルシアンは男に腕を掴まれて動けなかった、泣き叫びながらこっちに目を向けている。
僕が、折れたら駄目だ。妹を守れる人間が、居なくなる。
「ルシアンを離せよ!!」
恐怖に竦む足を無理やり奮い立たせ木の棒を構える。が、三人目の男から顔面を殴られ鼻血を噴き出しながら僕は膝をついてしまう。
「ぶぅっ!」
「ギャハハ、ぶぅっだってよ! 豚みてえな鳴き声出しやがって!」
「オイオイ、まだ気絶させんなよ。殴ってもっと鳴かせんだからよ」
駄目だ、大人から向けられる悪意が怖い。
楽しそうに人に暴力を振るう人間なんて見たことがない。
ルシアンを掴まえている男は、仲間二人の暴力を楽しげに見ている。
誰も助けてくれない。
「やめて、やめて! お兄ちゃん、お兄ちゃんを助けてぇ!! お父さん! お母さん!」
「うっせえガキだなコイツ。つーかコイツら身なり良いしここの人間じゃねえだろ」
「じゃあ憂さ晴らしに殺してもいい?」
「金目のモンないか漁ってみようぜ」
この男達は僕等の事を何とも思っていない。
本当に同じ人間なのだろうか。
そういえば街の人達と違いコイツらはガタイが良い……今みたいに他人から暴力で奪い金や腹を満たしていたのかもしれない。
ルシアンが絶望に塗れた顔で、泣きながら僕を見ている。
そんなの駄目だ、あの子には笑顔が似合うんだ。
痛い、怖い、逃げたい、泣きたい、誰かに縋りたい……でも、それじゃいけない。
僕は、兄として、ルシアンを守らないと。
「はぁ……はぁ……」
「お、オイオイ、なんだこのガキ」
「流石にここまでしぶとく立てとは言ってねえよ」
身体中を殴られて全身が熱くて痛い。もうどこにどんなケガをしているのかもよく分からない。
でも、僕は立ち上がる。
頼りない木の棒を拾い、構えて。
「ギャハハ、なんじゃそりゃ、かっこよく構えたってただの棒じゃねえか!」
「かっこいいでちゅね、お兄ちゃ〜ん!!」
涙を流す妹と目が合った……大丈夫だ。
僕が。
「僕が……コイツらを倒す」
「面白いなコイツ、そんな木の棒でどうやって倒すってんだよぉ!!」
父と祖父の教えを思い出しながら、木の棒を構えて、大きく息を吐く。
僕は今まで、楽しみながら剣を振っていた。
けど、きっとそれは間違いだった。
剣とは暴力……他人を、他の命を傷つける力。楽しんで振るものじゃない。
僕が父と祖父から教わった剣とは、誰かを守る為の力だ。
誰かを守る為の暴力だ。
自分の快楽の為に振るうものじゃない。
剣とは、誰かを守る為の力。
家族を、大切なものを守る為の力。
そして――
大切なものに危害を加えるものを、障害を、敵を、全て……排除するための、力だ。
「――韋駄天」
男達が笑う中、ただ静かに一言呟いた。
呟いたその瞬間……僕は棒を振るいながら男の背後まで移動し、男の笑い声が止まっていた。
そして、笑い声は痛みへの悲鳴に変わる。
「ひぎあぁぁぁーー!!?」
男の一人の足が曲がってはいけない方向に折れ曲がり、痛みに悶えながら倒れていた。
二人目の男が懐から出したナイフを振りかざしてきて、それを棒で打ち払いながら跳躍。
顔の下半分に打ち込み顎が変形し男は言葉にならない苦鳴を上げる。
残りは一人。
棒を構え視線を突き付けると、男はルシアンを盾にするように前に立たせてこちらを脅す。
「何だテメェ! 俺に何かしてみろ! このガキにテメェの攻撃が当たるぞ!!」
卑怯な真似をする男だ。
ルシアンをあんなに怯えさせて、ただでは済まさない。
僕は妹を安心させるため、笑顔を作る。
「大丈夫だよルシアン。すぐに助ける」
「やってみろやクソガキぃっ!!」
男が声を上げたと同時、僕はその場に立ったまま剣を振るう――その直後、男の左目に一つの衝撃がぶつかり眼球が潰れ、出血した。
「裂空だ」
「うぎゃあぁァッ!?」
男が片目を押さえながら悶絶している間にルシアンは走ってその場を離れ、僕はもう一撃、剣技を放つ。
「韋駄天」
超高速の一閃の敵の片脚を打ち砕く。
男が叫び声を上げながら倒れたのを確認し、ルシアンを見ると涙を拭いながら駆け寄ってきていた。
「ケガは大丈夫!?」
「大丈夫だよ、これくらいならヘッチャラさ!」
本当は泣きたいくらい全身が痛い。今すぐ寝転がりたい。でも心配させないためにやせ我慢をする。
――さっき、自分が振るった剣技……いつもよりも、これまでよりも、研ぎ澄まされている感じがした。
そうだ、きっとこれでいいのだ。この調子で……
妹を守る為に
みんなの居る場所へ帰る為に
そして、それを邪魔する障害を、敵を、全て排除する為に……もっと、もっと剣技を上達させなくては。
「あっはっはっは、助けに入ろうと思ったのに強いなぁ、ボク」
背後から突然、足音と笑い声が聞こえた。
即座に木の棒を構えながら振り返ると、視線の先には一人の男が佇んでいた。
左目に傷がついた、犬の獣人。筋肉質な者が多い獣人の亜人には珍しく、体格は細い。
その腰の鞘には一振りの剣が収まっており、愛嬌を感じる笑みを浮かべている。
「誰……?」
怯えた目で問いかけるルシアンに、獣人は「こわがらせてごめんね〜」と優しく声を返した後。
僕に視線を戻して言葉を続ける。
何となく、悪い人では無さそうだが……警戒を解かず、耳を傾けてみる事にした。
「君等、この街の者じゃないよね。おっちゃん、君等に興味あるんだ……ちょい話聞かせて欲しいな」
――それが、これから僕達がお世話になる獣人、ラルフとの最初の出会いだった。
ウィルフレッド視点の話の続きはまた別の機会に書きます
この後は九月七日頃から二章を開始する予定です
ここまで読んでくださりありがとうございました
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