8話 抑えられなくなっていく想い ★
特殊魔法を習得し、冒険者としてレベルを上げたヤコブとダビデは今日もクエストをこなしていた。
今日は魔物退治の依頼を受けていたのだが、討伐対象であるゴブリンの群れを見つけると二人は即座に行動に移った。
まず始めに動いたのはダビデだった。素早く呪文を唱えたかと思うと光の球を作り出し次々と投げつけていく。その光に包まれた数匹のゴブリン達はあっという間に息絶えていった。
次に動き出したのがヤコブだ。彼が剣を構えると刀身が光り輝き始めるとそのまま勢いよく振り下ろすとその光は斬撃となり前方の木々を切り倒していく。
今日も2人のコンビネーションは冴えていた。これまで様々な戦いをこなし、レベルアップしてきたこともあり互いを信頼していたからこそできる芸当であったと言えるだろう。
2人は息の合った動きで次々に敵を葬り去っていくのであった。
順調に魔物を倒していたが、不意をつかれたのか油断したのかはわからないがいつの間にか死角に入られていたようで背後から攻撃を受けそうになるーーー!
「危ない!」
直感に優れたダビデは素早くヤコブを守ろうと前に出る。だがーーー
ビリッビリビリビリッ!!
何と、魔物の鋭い爪がダビデの服を切り裂くと戦闘服が大胆に破けて、中に着ていた薄いインナーはその豊満な胸の形をくっきりと浮かび上がらせてしまうことになったのだ!
「!!」
その様子を間近で見ていたヤコブはゴクリと唾を飲み込むと思わず見惚れてしまいそうになる。だがすぐに我に返ると彼女を庇うように前に立ち塞がった!
(この子は私が守る!!)
ダビデへの想いを自覚したからなのか、この娘は自分の女だという思いが湧き上がり力が漲ってくるようだった。
あっという間に敵を薙ぎ倒し、殲滅するのだった。
「大丈夫か!?」
「はい……なんとか……」
顔を赤らめながらも返事をするダビデだったが、その姿からは普段の元気さが失われてしまっていた。どうやら破れてしまった服を隠したいらしく胸元を押さえている様子だった。
「とにかくここを離れよう」
そう言って手を差し出すと素直に握ってくれたのでそのまま手を引いて歩き出したのだった。
ヤコブはそっと自分の上着を彼女に掛けてやるとなるべく肌を隠すようにしてやった。ダビデは何も言うことなくされるがままになっていたので少しは落ち着いたのかもしれないと思うのだった。
しばらく歩いているうちに目的地に到着することができたのだが、その間もずっと無言だったのでどうしたものかと思っていたところ、彼女が口を開いた。




