2話 特殊魔法を習いに行く2人
その日、2人は温泉街の祭りでゲットしたレア魔法の習得権を使い、習いに行くことになっていた。
場所は魔法研究所内にある上級者向け教室なのだが、受付を済ませてから中に入るとその広さや設備の充実さに驚くことになった。
2人が案内された部屋は天井が高く広々とした空間になっており、壁一面に大きな黒板があり様々な魔法陣が描かれているのが特徴的であった。
床には大きな魔方陣がいくつも描かれており踏んでも良いようにふかふかなカーペットが敷かれている。
部屋の中央に置かれた机や椅子も重厚な作りで座り心地の良さそうなものだった。壁に掛けられた大きな絵画の数々からは魔力が溢れ出し部屋全体を包み込むようにして漂っていた。
「何だかすごい所だな・・・」
「そうですね……」
圧倒されていると講師と思われる人物が入ってきて説明を始めた。
「ようこそいらっしゃいました。本日あなた方の魔法指導を担当することになりましたサイラスと申します」
爽やかな笑顔で挨拶するその人物はとても若々しく見える男性だったが、年齢は不詳らしい。見た目に反してかなり高齢という噂もあるそうだ。
そんな彼の容姿を見て驚いたことがある。なんと耳が尖っているのだ!いわゆるエルフ耳というやつだろうか・・・。
「今回伝授するのは特殊魔法の一つ、変身魔法です」
「変身魔法ですか!?」
「はい」
変身魔法とはその名の通り変身することができる魔法だ。
「まさか…性転換もできるのですか…?」
恐る恐る尋ねるダビデに、ヤコブとサイラスは少し怪訝そうな顔をするがサイラスが答える。
「いえ、変身魔法と言っても魔物に姿を変える魔法です。そしてこの魔法は攻撃力は絶大ですがその分魔力の消費も激しく数分程度しか持続できません。ここぞという時のために使うべきでしょう」
(何だ……それでは男に戻ることは不可能だな)
ダビデは残念に感じるが同時にどこかホッとしている自分もいることに気付いて複雑な気持ちになるのだった。
「まず初めに適性検査を行います」
そう言うと彼は何やら呪文を唱え始めた。すると目の前に半透明の大きな板のようなものが現れるとそこに文字が浮かび上がるのが見えた。
「ほう……ヤコブ殿、貴方は変身魔法の適性が高いですね。だがダビデさんは残念ながら向いていないようです」
「えっ……」
それではダビデは受けることができないのかとがっかりしていると、それを察したサイラスは少し微笑んで告げた。
「代わりに別の特殊魔法をお教えしましょう」
その言葉にダビデの表情がパッと明るくなる。
「……本当ですか?」
「ええ、貴女の適性に合う特殊魔法を教えますよ」
こうして特殊魔法の伝授が始まったのだがーー
思わぬ展開に繋がっていくことをこの時の彼らはまだ知らなかったのである。




