4話 まさかの…混浴!? ★(裸体イラスト有り)
異世界の祭りデートを満喫した2人はすっかり良い気分になって温泉宿へと戻っていった。
「この宿は温泉があるそうだ。これから入りに行こうか」
そう言うと嬉しそうに頷く彼女を連れて部屋に戻り着替えを持って露天風呂へと向かうことにした。
男女それぞれに入り口があるがダビデはなぜか女湯に入りづらそうにしている。
「今は誰も入っている人はいませんよ」
従業員が声をかけるとダビデは安心したように頷いて中へ入って行く。
(今の私は女の体なのだから女湯に入るしかない…だが他の女性の裸を見るのは不謹慎だからな……)
彼女がそんなことを思っていることをヤコブは何も知らずにいるのだった。
***
脱衣所で服を脱ぎ、洗い場で体と髪を洗った後、露天風呂に向かう。岩で囲まれた湯船は広々として、夜空の下で漬かるというのはなんとも贅沢なものだと思った。
そよそよと吹く風が火照った顔に当たり心地良く、遠くで鳴く虫の声も風情を感じさせる。そして登山や長旅の疲れもみるみる取れていくようだった。
「はあ〜生き返るな〜」
そう言って肩まで浸かってくつろいでいると・・・
(うん…あそこに人影が…?)
従業員は誰もいないと言っていたはずだ。
不審に思ったヤコブは気づかれぬよう近づいてみることにしてみた。
(なっ!!!あれは……!!?)
なんとそこにいたのはーーー
同じく湯に浸かっているダビデではないか!?
(どうしてここに!?女湯は別だというのに……うん?待てよーーまさかこの温泉は混浴だったのか?!だからこんなに広い作りになっていたのか……!これはまずいぞ……!!とりあえず一度出ようーー)
一糸纏わぬ姿の彼女と一緒の湯に浸かっているという状況に耐えられなくなった彼は急いで出て行こうとしたのだが・・・。
ぱしゃんっ!!!
動揺するあまり湯が音を立ててしまう。
「あっ……ご、ご先祖さま……!?」
彼女も気付いてしまったようだ。お互いに顔を赤くして見つめ合うしかなかったのだがーー
ガラガラガラッ
「おい、ここの温泉、混浴らしいぜ!」
「マジかよ!女もいるのかな〜」
何やら騒がしい声が聞こえてきて我に返る2人。
(他の客が来たのか!いかん…ダビデの裸を他の男に見られてしまう!)
初めて野営をした時、自分に裸を見られたのに無防備そのものだった彼女が頭によぎる。
この子は男に警戒心がなく男の視線に無関心な所があるーー
そう思ったヤコブは慌てて彼女の元へと近づき、隠れそうな場所を探す。
「ダビデ、どうやらここは混浴らしい。お前の裸を他の男に見せるわけにはいかぬ!私が守ってやるからな!」
彼女を守るように盾になりながら、男達から死角になりそうな場所へと移動していく。
(ここなら大丈夫だろう)
ちょうど岩の隙間に隠れて見えにくくなったところに隠れることに成功するが、狭い空間のため自然と体が密着してしまう形になってしまった。
お互いの鼓動を感じるほど距離が近い。
「……ご先祖さま……」
恥ずかしそうに俯く姿に愛しさが込み上げてくるのを感じた瞬間、ある光景に目を奪われて思考が停止したかのように固まってしまったのだった・・・




