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6話 秘密の共有

ヤコブはラブホテルを出た後、マリカと別れてダビデの元へ帰宅することにした。


マリカがヤコブに近づいたのはシャファク王子の企みだと見破り、利害一致でマリカと協力することになったのだがーー


互いに裏切らないためにも秘密を共有することにしていた。


そしてシャファクを欺くために2人は一時的に、良い仲を装うことを約束したのだ。


(マリカのことだ。人前でも構わず体を寄せてきそうだ。ダビデに誤解されないように気をつけなければ……)




そんなことを考えているうちに城に到着したようだ。


「ご先祖さま。おかえりなさいませ。遅かったのですね」


出迎えてくれたのはダビデだった。心なしか元気がないように見えるが何かあったのだろうか?



「ああ、すまないな。少し寄り道をしてしまって……」


咄嗟に嘘をついてしまったが、特に怪しまれることはなかったようだ。ホッと胸を撫で下ろす。



「それより何かあったのか?いつもより元気がないようだけれど……」

「いえ、大したことではないんです。ただ…初対面の女性からなぜか嫌われていまして……」



詳しく話を聞くことにする。

どうやらダビデに対して敵意を向けてくる貴族令嬢がいるらしく、そのせいで居心地が悪かったらしい。


ダビデの服装が貧相だと嫌味を言ってきたり明らかに見下した態度を取ってくるのだという。



現代でいういわゆるマウンティングだ。


(なるほど、それで落ち込んでいたの

か)


確かにダビデは男勝りなのでシンプルな格好をしていることが多いため貴族社会では浮いた存在に見えるのかもしれない。


しかし、だからといって悪意を持って接するのは間違っていると思ったので注意を促すことにした。



「その女性の名前はわかるかい?」

「はい、確かアリエッタという名前だったかと思います」


(マリカなら何か知っているだろうか?明日訊いてみよう)


「ご先祖さま、食事は済ませたのですか?」

「ああ、外で済ませた。もしかしてお前、腹が減ったのか?」


そう尋ねると図星だったようで、申し訳なさそうに俯いている。その様子を見たヤコブは苦笑すると優しく声をかけるのだった。


「気にするな。何か軽いものでも作るとしよう!」


それを聞くとダビデは嬉しそうに目を輝かせるのだった。



2人でキッチンに立つと自然と会話が弾んでいく。

その様子をマリカが密かに観察していることなど知る由もなかったのだったーーー

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