3話 異世界生活スタート
しばらく歩いていると木々の間から光が差し込んでくるのが見えた。どうやら森を抜けたようである。
するとそこには草原が広がっており、遠くに街が見えた。おそらくあれが目的地なのだろう。ようやく安心できる場所に辿り着けそうだと感じた。
まずは情報収集をし、当面は生活するための資金を稼ぐ必要があるだろうと考えたダビデ達はすぐに行動に移すことにする。
***
ダビデ達が突然やってきた世界はまさに異世界と呼ぶべき世界だった。
何と魔法が存在していて、人間以外の種族も存在しているというのだ。
エルフ、ドワーフ、獣人といった亜人種も存在し、ドラゴンなどの幻想的な生物もいるのだという。
さらに森で遭遇したような魔物もいて、人間は魔物の脅威にさらされているらしい。
そして魔物を退治したり依頼をこなすことで報酬をもらえる冒険者という職業があり、登録さえすればすぐにでも仕事を始めることが出来るようだ。
古代人であったダビデとヤコブにとって未知の物ばかりで戸惑いと驚きの連続だが、自分達の居場所を確保するためにも働く必要があったため覚悟を決めることにする。
「ここは本当に我々が知っている世界ではないのだな…。だが同胞の君がいてくれて心強い。ダビデよ、私は冒険者とやらになって生活費を稼ごうと思う」
「ご先祖さま。私もお供します。私も戦いには自信があります」
「だが君は女性だ。危険ではないか?君を1人にするのは心配ではあるが…」
「私はライオンや熊を倒したことがあります。お力になれるはずです。どうかお供させてください」
ダビデはかなり強い人物だった。生前はいくつも戦果をあげている。
だが今は女性の体なので力は劣るだろうが、元々力勝負より知略を使う戦いが得意なので、工夫すれば戦えると考えていた。
それに何より、ヤコブと共にいたいという思いが強かったのだ。
(この方は私を救ってくれた……だから今度は私が助けたい)
そう思ってのことだった。
「そうか……では共に行こう」
こうして2人は冒険を始めたのだった。