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8話 貴方は偉大な先祖

「そうだ!戦況は!?負傷者達は無事なのか!?」


戦いの最中だったことを思い出す。


「はい、討伐隊は全員無事です。死者も出ていません。魔物は壊滅したそうです」



それを聞いて安心したと同時に疑問が浮かぶ。なぜ自分は生きているのだろうかと……


ヤコブはゆっくり体を起こす。体の痛みはあるが十分動かせるレベルのようだ。


ふと、自分の体を見ると包帯が巻かれており治療が施された形跡があった。



「ご先祖さま、水を飲みますか?」

「ああ。有難い」


ダビデが差し出した水をゴクゴクと飲み干す。生き返ったような気分になり一息ついたところで兵士が声をかけてきた。



「ヤコブ殿。ご無事で何より。ワイバーンを倒せたおかげで戦況は一転し片を付けられました」


そう嬉しそうに話す兵士だったがその表情には疲労の色が濃く出ているように思われた。無理もない、あれほどの戦闘だったのだから当然だろう。



「ところでなぜ私は無事なんだ?」

「ダビデさまが貴方に応急処置を施してくれたのです」


兵士の言葉を聞いて驚くしかなかった。彼女が自分に施してくれたというのか……感謝してもしきれない気持ちでいっぱいになる。



「いやぁ見事な手際でしたぞ。出血がひどいと手遅れになる所でしたが、すぐに止血したので治癒魔法もかけやすかったようですな」


ダビデは生前、王であったが元軍人であり戦争も多く経験している。

だがダビデが元男だと知らないヤコブは不思議に思っていた。


(女なのに男以上に強いことといい、不思議な娘だ…)


そんなことを思いつつダビデに向き合い、礼を言うことにした。



「ダビデ、ありがとう。お前がいなければ今頃死んでいたよ」

「いえ。当然のことです。貴方は…我々イスラエル人の偉大な先祖である御方。こんな所で死なせるわけにはいきません……!」


そう言って微笑む彼女はとても美しかった。




「ところで、お前は城で待機しなくてはならないのではなかったか?」

「それが…城が騒がしい隙に抜けだして来てしまったんです……どうしてもご先祖さまのことが気になって……」


それほどまでに自分の事を心配してくれていたのだと思うと嬉しくなるというものだ。



「全く、お前はお転婆だな。だが助かったよ」

「はい。それと…事後報告になりますが、私が脱走できたのはマリカさんが協力してくれたからです。その条件に……ご先祖さまを1日貸すという約束で…申し訳ありません」


ダビデは申し訳なさそうに頭を下げる。


(な、何ぃ!?あのプレイガールとやらのマリカに私を貸すだとぉ!!?一体どうなってしまうんだ!?)

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