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6話 思わぬ悲劇

魔物の大群の進撃を阻止すべく、兵士達や冒険者達は応戦していた。数日に及び疲労の色が濃くなりつつあったが・・・



ガキン!

ヤコブは張り切って剣を振るっていた。


力を取り戻したかのように次々と敵をなぎ倒していく姿に皆勇気づけられていくようだった。


そんな時、上空から大きな影が現れるのが見えた!



巨大なドラゴンのようだ!その背には翼が生えておりトカゲのような顔をしている。明らかに他の魔物達と格が違うことが伺えた。


「あれはワイバーンという種族だ!気をつけろ!」


隊長らしき男が叫ぶ。その声に反応して皆が武器を構える。



しかし次の瞬間ーーーー


グシャッ!!!ブシャアアアッッ!!!!!



凄まじい音と共に鮮血が飛び散り辺り一面血の海となった。


「まずい!治療班を呼べ!!」


どうやらあのワイバーンと呼ばれる魔物によって負傷者が出たようである。急ぎ手当てをしている様子が見て取れた。


その光景を見て愕然とする。


これまでの魔物との戦いでは手こずることはあっても負傷したこともなく比較的楽観視していたのだ。


それが今目の前で起こっているのは血生臭く、まさに戦争のような様相を呈していた。


今まで味わったことのない感覚に吐き気すら覚える。

命を賭けた戦いであり、死の危険もはらんでいることを実感せざるを得なかった。



(私とダビデはこれまで主に守られていた…臆するな!)


自ら鼓舞するように言い聞かせる。だが同時に恐怖心も芽生え始めていた


***



城でヤコブの帰りを待っていたダビデだったが、城が何だか騒々しさを増していることに気づく。


何やら不穏な空気を感じ取り不安になるばかりだった。


しばらくすると兵士が慌ただしく駆け込んできたかと思うと信じられない言葉を耳にすることになるーー


「討伐軍に負傷者が相次いでいるとの報告が入った!治癒魔法が使える者達を至急要請してくれ!」

「このままでは死者も出かねない勢いだという報告が入っています」



兵士の言葉に耳を疑ったーー


しかもそれはヤコブのことを指しているのではないかと思うと気が気ではなかったのである。


「そんな……!!ご先祖さま……!」


***


ワイバーンの猛威は容赦なくヤコブ達討伐隊を襲う。

いよいよ敵は本気を出し始めたようだ。


(くそ…!負傷者は戦えぬ。さらに皆疲労困憊で戦力も士気も落ちている。だが街に進撃されては被害が拡大してしまうぞ……!何としても食い止める!)


ヤコブは決死の覚悟でワイバーンに立ち向かうことにした。


「私が引きつける!」

そう言うと勢いよく飛び出していくーー


「ヤコブ殿の覚悟を無駄にするな!皆続けぇええええっっ!!!」


隊長の声に呼応し一斉に走り出す兵士と冒険者たち!!!!


ヤコブが囮になり引きつけた隙に一斉に物理攻撃や魔法を繰り出し、ワイバーンの撃破に成功した。


だがーーー





「ヤコブ殿……!!」


死ぬ間際にワイバーンは悪あがきで暴れだし鋭い爪を振り上げた拍子に運悪く当たってしまったのだった・・・。


あまりの凄惨な光景に言葉を失うしかなかった・・・・

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