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3話 ヤコブの迷い

隣国の兵士達と共に、ヤコブは魔物の大群と戦っていた。

すぐに決着は着かず数日以上かかる可能性もあったため、疲労困憊になりながらも必死に戦った。


交代で休憩と睡眠を取ることになり、ヤコブは調理班の炊き出しを手伝っていた。


戦いの最中なので簡易的な食事しか用意できないが、それでも腹の足しにはなるだろうと料理を作る手伝いをした。


(ダビデはどうしてるだろう?もう夕食は済ませただろうか?ちゃんと食べているといいのだが……)


ついダビデのことを考えてしまう。

そして彼女が王子に求婚された話を嫌でも思い出し複雑な気持ちになってしまうのだ。



「さあ、出来上がりました。質素ですが温かい内に召し上がってください」


ヤコブは兵士達に食事を配っていく。

そして自身も食事を摂りながら考え事に浸っていたのだった。



昼間、弁当を食べた時のダビデを思い出す。

大きな口を開けて豪快に食べる姿はとても可愛らしかった。その笑顔を見るたびに幸せな気持ちになることができたものだ。



(しかし、王子の妻になるにしてはあの子は少々ガサツかもしれん。そこが魅力的だが、王族としては相応しくないような…?だが…確かあの子は生前は王妃だったと言っていたな……)


元王族だったことを考えると、この世界でも王族に入る方が彼女にとって良いのだろうか?


借家で自分と暮らすより、広い王宮で裕福に暮らせる方が良いのではないだろうか?



本音を言えば自分の傍にいてほしい。だが彼女にとって幸せとは何なのかと考えるとわからなくなるのだった。


ヤコブの心は揺れていた・・・



***


ヤコブが魔物討伐のため戦場に赴き3日が過ぎようとしていた。


ダビデは城で祈ることしかできず、彼の帰りを心待ちにしていた。


「ご先祖さま……無事でしょうか……」


ベッドに横になり天井を眺めながら呟く。するとその時、ドアをノックする音が聞こえる。



「はい」


扉を開けるとそこにはシャファク王子が立っているではないか!驚いて固まってしまう。


シャファクはニコニコしながら言う。


「今夜は月が綺麗ですね。少し外でお話しましょう」


そう言われて断ることもできず一緒に外へ出ることになってしまった。


***


シャファクは第一王子だけあって話も上手く頭の良さを感じさせる男だった。


教養もあり言葉遣いも美しい。女性に人気があるのがよくわかるほどだ。

そんな彼がなぜ自分を気に入ったのか不思議だった。




「夜は冷えますね。ねえダビデさん、僕の部屋に移りましょう」


ダビデはその言葉の意味と真意を理解しないまま返事をしてしまった。

「……そうですね」

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