6話 揺れるダビデの胸(いろいろな意味で) ★
2人が異世界で暮らし始め1か月以上が経った。
未だに別世界の概念や文化に慣れないことも多いが、2人で苦楽を共にし手に手を取り合い助け合いながら生活していた。
先祖と子孫が時代を越えて異世界で出会う不思議な縁だが、波長が合い価値観も合うので相性が良く、互いに心地良い関係を築いているようだった。
冒険者の仕事は危険も伴ったが順調で、2人は異世界で過ごす日々にそれなりに幸せを感じていたのだったーー
ダビデは異世界でなぜか女になり、最初は悲劇でしかなく男に戻りたい一心だった。
だが順応性が高い彼女(彼?)は少しずつ女の体に慣れていき、生活を楽しむ余裕が生まれていた。
生前も苦労が多く波瀾万丈な人生だったことや、素直な性格でプライドが高くない性質、そして神への揺るぎない信仰心があることなどから馴染むのも早かったようだ。
理不尽ではあったが神の計らいーーそれが罰だとしてもーーによって手に入れたこの新しい人生を精一杯生きようと決めた彼女は前向きな気持ちで生きていたのである。
だが、この境遇で幸せを感じられているのは同胞である先祖ヤコブの存在があるからだろう。
いつもおいしい食事を作ってくれるし、ピンチの時に助けてくれ辛い時も支えてくれた大切な存在なのである。
しかしーー男に戻りたい気持ちは捨ててはいなかった。
いずれ男に戻ることがあればヤコブはどう思うのか?欺いていたと拒絶されるのではないか?
そんな不安に苛まれながらも今の幸せな生活を手放すことはできなかったのだ。
ダビデの胸の内は揺れていた・・・
***
そんなダビデの胸は今物理的に揺れていた。
大きな乳房がぷるんっぷるんっと音を立てて揺れているのだ。
それを目の当たりにしているヤコブの目線は完全に釘付けになっていた。
今2人は馬に乗って隣国に向かっている最中だったのだが、馬の揺れに合わせて胸も大きく揺れるためどうしても視線がそちらへ向いてしまうのだ。
「ご先祖さま、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ、大丈夫だ」
心配そうに声をかけてくる彼女に何とか返事をするものの、視線は相変わらず胸に向いたままであった。
(すごい揺れ方だ…)
彼女のたわわな果実が上下にぶるんぶるんと激しく動く様を見てゴクリと喉を鳴らすことしかできなかったのだ。
「隣国から召集とは珍しいですね」
「そうだな」
今日の朝方、突然王宮からの使いがやってきて至急城に来るように言われたのだ。
しかし隣国への訪問が思わぬ波瀾を招くことになることを彼らはまだ知らなかったのだったーーー




