5話 性転換の魔法!?
「ダビデ様は容姿は可憐で美しい女性ですが貴女からは男気を感じるのです。まるで…『性転換魔法』でもかかってるような」
アセナ姫はクスッと笑う。
「え……?性転換魔法!?」
ダビデは思わず聞き返す。
「あらご存知ありませんか?精霊の魔法には性転換魔法もあるらしいのです。ですが特殊魔法ですので使える者は限られているはずですけど」
「そ、そうなのですか……」
(性転換魔法…それなら私は男に戻れる可能性があるかもしれない……!そして私がこの世界に女の体になっていたことにも何か関係しているのかもしれないな)
自分の境遇に疑問を抱いていたダビデだったが、謎が少し解けた気がしたのだった。
***
その夜、ダビデは眠れなかった。
元の世界では男だった自分が、今は女になっているのだから無理もない話だ。
だがそれ以上に男に戻る方法があるかもしれないという事実が彼女を興奮させていた。
(男に戻れる可能性があるかもしれない…希望が見えてきたぞ)
一縷の望みが見つかったことにダビデは安堵していた。
(そういえばご先祖さま…今日ずっと姿が見えないがどうしたんだろう?)
ヤコブのことを考えているとだんだん瞼が重たくなっていくのだったーー
◆◇◆◇◆◇
「ご先祖さま〜!」
ダビデは、ヤコブの姿を見つけて笑いながら駆け寄っていく。
だが彼はいつもの柔和な顔と違って厳しい顔をしてこちらを見ている。
「ご先祖さま……?」
「ダビデよ。君は男だったんだな。私を欺いていたのだな?」
「ーーーえ…?」
「本当は男だっただなんて…気色悪い!二度と私に話しかけるな!」
ヤコブは軽蔑するように吐き捨てると、そのまま去っていくのであった。
◆◇◆◇◆◇
ダビデは夢から目覚め、涙ぐんでいた。
嫌な夢を見たものだと思いながら起き上がる。
(私が男に戻れば…ご先祖さまはどう思うだろう?)
そんなことを考えつつ、彼女は支度を始めるのだった。
一方その頃。
ヤコブの方も、自分の体の「あること」に気付き、愕然としていたのだったーー




