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4話 この世界の秘密

どうもこの世界の人間は元の世界の人間とは違うらしいことが、少しずつわかってきていた。


まず寿命が長く、数千年以上生きられる。そして不老技術も発達して若い外見の者が大多数を占めているのだ。

なので親子でも外見年齢が変わらないことが多い。



さらにこの世界での女性は、出産時の痛みも軽く産後の回復も早いのだという。


それらの要因は遺伝子の違いというより、魔法技術の発達によるものだと思われた。


「ダビデ様…貴方は信頼できる御方なので、この世界で起きていることを教えます」

「……え?」

「この事は一部の者しか知りません。私たち人間種族は、精霊の支配下にあります」

「……!」


それは衝撃的な事実であった。


確かにこの世界は人間以外の種族もいて魔法もある不思議な世界だが、人間が支配されているとは思いもよらなかった。


「だが、この世界は魔物こそ出るが平和そのものに見えますが?」

「そうですね……。精霊…いえ、正確には闇の精霊と呼ばれる一部の組織が支配してます。この世界は魔法が発展してますが精霊がもたらしたのです」

「……」


姫ことアセナは語り始めたーー


精霊から魔法を授けられた人間達は、豊かで便利な文明を築き、いつしか魔法がない世界は考えられなくなった。


精霊種族と人間種族はずっと調和を保っていたがある時、闇の精霊が反乱を起こしたのだ。


彼らの目的は人間と共存することではなく完全に世界を支配下に置くことだった。


闇の精霊の組織によりこの世界の均衡は崩れ、魔物が氾濫し人々は蹂躙された。


だが闇の精霊は、人間種族を水面下で支配下に置くことを条件に表面的な平和を保つことにしたのだ。


もし彼らに逆らえばーー魔法を取り上げられてしまうという契約の元で。


この世界の人間達にとって魔法の恩恵を没収されるのは死活問題だ。

現代人が科学のない世界が考えられないようなものだろう。



闇の精霊は富を自分達に集めるように水面下で人間達から搾取し、時に恐ろしい犠牲を要求さえする。


今となってはそのことを知っているのは王族とごく一部の側近だけであり、国民達は知らないままなのだと言う。


(なんてことだ……これが異世界で起きている現実だというのか……)


衝撃的な事実に驚愕するダビデ。


「だからと言って私には何もできませんが……」


アセナ姫は悲しげに呟く。

だが急に話を変えてダビデの顔を見る。


「ダビデ様は女性なのにまるで男の方のようでしたわ。盗賊に攫われた私を勇敢に助けてくださって」

「え!い、いや…私は男勝りなのです」


慌てて誤魔化すダビデだが、次の姫の発言に心臓が止まりそうになるのだったーーー

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