3話 私は妊娠できる体なのか?
隣国に到着したヤコブとダビデは姫により城に招かれた。
さっそく豪華な食事が振る舞われる。
異世界であるこの世界は、古代イスラエルより食料も豊富でさまざまな料理が存在していた。
肉や魚、野菜はもちろん果物なども多くあり、調味料なども充実している。
そしてこの世界は魔法が発達し、食料生産も魔法で補っている。
肉や魚は培養生産され、食べやすいように加工されているのだ。
栄養バランスも良く、味も良いので非常に美味だった。
(我々の信仰では食べてはならぬ動物もいるからな…動物を屠っていないのに肉が食べられるとは不思議だが有り難いことだ)
そんなことを考えながらダビデは食事を摂っていた。
すると隣から視線を感じることに気付く。そちらを向くと隣のテーブルに座る王子と目が合った。
彼はこの国の第一王位継承者であり、若くして聡明さと強さを兼ね備えている人物、シャファク王子だった。
(ほう…こんな料理があるのか。これは料理の研究しがいがありそうだ。ダビデにいろいろ食べさせてやりたいからな)
料理が得意なヤコブは異世界の料理に興味を持とうとしていた。
***
食事の後、ダビデは下腹部に何か違和感を感じていた。
その正体を知り彼女は愕然とする。
(まさか……生理が来てしまったのか!?)
トイレに行くと微かに血が出て僅かに下着を汚していた。
(そんな……女の体になるとこういうこともあるのか。どうしたらいいんだ?こんなこと誰にも相談できない……)
唯一頼りになるヤコブは男だ。こんなことを言えるはずもない。
だがこんなところに閉じこもるわけにもいかない。意を決して外に出て行った。
「ダビデさま。顔色が悪いですがどうされましたか?」
声をかけられ振り返ると姫がいた。
「姫…!そ、その…」
顔を赤くするダビデ。その様子を見て姫は何かを察したようだった。
「もしかして…女性の日が来たのですか?」
「は、はい…だがどうしたらいいか……」
恥ずかしさのあまり語尾が消え入りそうになってしまう。
「わかりました。私がお手伝いしましょう。こちらへどうぞ」
姫はそう言うと、城の客間へと案内してくれた。
そこはベッドがある部屋で、まるで来客用の寝室のようだった。
ここであれば個室なので安心だった。
すでに初潮を迎えていてもおかしくない体付きのダビデだが、姫は初心者に教えるように優しく説明してくれる。
この世界の生理は、元の世界と異なる所があるようだった。
経血の量はかなり少なく日数も2日程度らしい。なのでそのままにする女性も多いそうだ。
だが経血で下着を汚したくない場合は、専用の布を当てると良いということだった。
元男である自分に生理が来てしまうという事態にパニックになったダビデだが少し安心できた。
だが胸中は複雑な心境だった。
(生理があるということは…私は子供を妊娠できる体なのかーー?)
本当に体が女になってしまったのだとショックを受けるのだった。




