10話 長い夜が始まる ★
「貴様ら…!何をしているのだ!」
怒気を孕んだ声で叫ぶダビデ。その迫力に気圧されながらも男たちは答える。
「何だこの女…おいこの女、上物
だぜ。こいつも一緒に攫っちまおうぜ」
その言葉を聞いた瞬間ダビデは怒りが込み上げてきた。
「貴様ら人攫いか!数人で女を襲って恥ずかしくないのか!!」
「うるせぇ!!俺たちは金さえ貰えばいいんだよ!女のくせに男みたいな喋り方しやがって」
「だがこの女、良い女だな。良い体してるし高く売れるぞ」
そんなやり取りをしている間も少女は泣き続けているようだった。
その時だったーーーーーー!!!!
ダビデは目の前の男に回し蹴りを食らわせる!
まるで忍者のように華麗に舞うような動きで敵を翻弄する。
そこからは一瞬の出来事であった。
男たちが武器を抜く間もなく倒されていき、あっという間に全滅してしまったのである。
「ダビデ……!」
慌てて後を追ってきたヤコブだがすでに敵は倒されていた。
(何という強さ…それに女と思えぬほど勇敢で、正義感の塊のようだ…不思議な娘だ)
ダビデの行動に度肝を抜かれながらも感心するヤコブだった。
「娘よ、大丈夫か?」
ダビデは男のような口調で攫われかけていた少女に話しかける。
盗賊から救い出した少女が落ち着いたところで話を聞くことになったのだがーーー
なんと彼女は隣国から来たお姫様だということが判明したのだった。
どうやら馬車ごと誘拐されてしまったらしく帰ることも出来ない状態のようだ。
そこでヤコブ達は彼女を匿うことに決め、王都へ向かうことを決めたのだったーーー
***
その日は日暮れに差し掛かっていたため、家に戻り翌日に出発することにしたのだがーー
ヤコブは頭を抱えていた。
なぜなら匿った姫にはダビデの部屋で寝てもらうことにし、ダビデはヤコブの部屋で寝るという流れになっていたからだ。
(一晩を同じ部屋で過ごすというのか!?)
長い夜が始まろうとしていたーーー
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