表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/123

最終話 新たな未来へ 前編

その日、ヤコブとダビデは隣国に向かっていた。

隣国は近いので馬に乗ってのんびりと散歩でもするかのように向かっていった。



聖獣化魔法により小型の聖獣に姿を変えた元馬に、必要な時だけ馬に戻ってもらい乗るようになっていた。

最初は一時的に聖獣に姿を変えてもらうつもりだったが、今では聖獣として生きるようになったからだ。



これは動物本人が同意する場合に限り聖獣のまま生きることも可能だからである。

ただし生殖能力がないため子孫を残すことはできないそうだが、そもそも性別という概念が無い種族のため気にすることもなかった。


聖獣は冒険や戦闘にも役立ち、とても便利な存在であるため冒険者である2人に重宝されるようになったというわけだ。


普段はペットのように2人と家で暮らしているのだった。




この日2人が隣国に向かっているのはーーシャファク王子とアリエッタ令嬢の結婚式に招かれたからに他ならない。


ダビデを諦めきれない様子のシャファクだったが、アリエッタの努力の甲斐あって結局結ばれることとなったようだった。


到着してみると盛大な祝福ムードに包まれていて非常に賑やかな様子だった。式場にはたくさんの人々が訪れており、笑顔で溢れかえっていた。その中には王族や貴族達も参加しており皆幸せに包まれているようだ。


その中には、ダビデとヤコブがかつて助けたアセナ姫の姿もあった。シャファクの妹である彼女も心から祝福している様子だった。



「あら、ヤコブ。ダビデちゃん」


参加者には女諜報員マリカの姿もあった。今日は結婚式という事で清楚なドレスに身を包んでいるようだ。


「その節は世話になったな。マリカ」

「お安い御用よ。ところで貴方達夫婦になったのよね〜おめでとう〜」


からかうように言う彼女に照れつつも礼を言う2人。


「ありがとう……」


2人は照れくさそうに俯く仕草を見せた。その様子を楽しそうに見つめるマリカ。そして今日の主役である新郎新婦のシャファクとアリエッタに視線をやると言った。



「あの2人お似合いね。私達が縁結びしてなかったらきっと結ばれなかったでしょうね」


たしかにその通りだろうと納得する2人であった。


そんな彼らにこっそり視線を送るのは新郎のシャファクだった。彼は心の中でこう呟いたのだった。



(ダビデさん……貴女は僕が初めて本気で好きになった女性。僕はアリエッタだけを愛すると決めたが、貴女は僕の中できっと特別な女性となるだろう……)


ほんの少し感傷的な気持ちになりながらも、それを振り切るように隣にいるアリエッタに微笑みかけるのだった。


***


その夜、王宮では祝宴が催され大勢の招待客が集まりパーティを楽しんでいた。

豪華な食事が次々と運ばれてくる中、各々自由に飲み食いをしていた。



祝宴客の中には余興を披露する者もいて、宴を盛り上げていたのだがダビデも得意の竪琴を演奏することになっていた。

この日のために毎日練習してきた成果を見せようと張り切っているのだ。



竪琴を奏でていくうちに会場からは拍手喝采が起こったりして盛り上がった。

皆が聞き入っている様子を嬉しそうに眺めつつ最後の曲を演奏し終えた。その瞬間割れんばかりの大きな歓声が上がる。


あまりの音量に驚いてしまったくらいだ。それほどまでに喜んでもらえたことが嬉しかったのだろう。喜びを抑えきれず満面の笑みを見せるダビデはヤコブと見つめ合っていたのだった。




「ねえ、貴方達は式を挙げないの?」


ワインを飲んでいつも以上に色気たっぷりになっているマリカがヤコブに訊ねてきた。

周りの男達はマリカに視線が釘付けになっているようだが彼女は気にしていない様子だ。男の注目に慣れているのだろう。



「ダビデは男勝りだから興味ないそうだ。わざわざ祝儀をもらってまでする必要もあるまい」

「ふふ、あの子らしいわ。ねえ、貴方達ってもしかして……この世界の人間じゃない……異界から来た人間なの?」

「えっ・・・?」

いよいよ次回で完結となります。

ですが後書きを書いて、番外編を続けて載せさせていただく予定です。

もし良ければもう少しお付き合いいただけると嬉しいです。


読んでくださってる皆さまありがとうございます。

当小説はリアクションのお気遣い無用です。読んでいただけることが有難いと思ってます。


ですがブクマや評価は励みになります。⭐︎1から歓迎です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ