表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/123

9話 悲しくてたまらない

「ヤコブさま・・・」


先程までいつものように優しく微笑んでいたヤコブだがその目には大粒の涙をたたえており、今にも溢れ出しそうになっていたからだ。



(え・・・ご先祖さまが泣いているところなんて今まで一度も見たことないのにーー)


ついに堪えきれなくなったようにヤコブは嗚咽を漏らして男泣きし始めた。

もうプライドなんてどうでも良かった。悲しくて仕方なかったからだ。


「うっ……うう……ああああああ……」



ヤコブは涙で霞んでいく視界を通してダビデの姿を目に焼き付けていた。


先程伝えたことは嘘ではない。

愛することはできないが、男になったとしても仲間でい続けたいと思っている。それほど大事な存在になっていたのだ。


恋愛感情でありながら、心を許せる親友のような関係でもある不思議な感覚だ。


きっといろいろな意味を込めてダビデという人間に「惚れている」のだろう。



だがーーー


今目の前にある美しい彼女の肉体が、男に戻れば消えてしまうのだ。

もう二度と見ることも触れることもできなくなってしまうのだ。


この愛らしい顔も声も、何もかもが失われてしまうのだ。

そんなことを考えると胸が張り裂けそうなほど苦しくなり、涙が止まらなくなるのだ。


そして遂に決壊したダムのように大量の涙が溢れ出してしまったのだった。



目の前で号泣している彼を見て、今度は彼女が驚く番だった。


(どうして泣いてるんですか!?そんなに私のことを想ってくれてるってことですか?ああ、それより・・・)


ダビデは愛しい男が大号泣する姿に胸を痛めながらこう思っていた。



(私がーーーこの方をこんなに悲しませてしまっているのか・・・私はーー本当はーーーーーー)


その時ダビデの胸中に浮かんだ言葉はーーー



「ヤコブさま。もう泣かないでください。私はーーー」


思わず無意識にこう叫んでいた。


「男に戻りません!!だから・・・どうか安心してください!」

読んでくださってる皆さま、誠にありがとうございます。

1月末よりいいね受付停止が廃止されリアクションボタン実装が強制的になりました。


当小説はリアクションのお気遣い無用です。読んでいただけることが有難いと思ってます。

ですがブクマや評価は励みになります。⭐︎1から歓迎です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ