9話 異世界で初デート?(後編)
「あはははっ!楽しいですね♪」
ダビデは草原を楽しそうに駆け回っていた。
街を散策しても良かったが、男達はじろじろと不躾な視線を向けてくるので不快だったのだ。
ダビデは美しい顔をしているのもあるが胸が大きいのもあり、余計に注目を浴びてしまう。
そんな彼女を他の男に見せたくないという思いもあって、ヤコブは別の場所に出かけることを提案したのだ。
その点自然の中にいると心が落ち着くものである。
まるで少年のように草原を転げ回るダビデを見て、ヤコブは思わず微笑んだ。
(全く男勝りな奴だ…だが、そこがいい)
「よし、追いかけっこをしようか!」
そう言うと彼も走り出した。そしてダビデを追いかけるように走り出す。
ダビデは突然の提案に驚いたもののすぐに笑顔になると逃げ出した。
なかなか足が早く俊敏である。
(ふふ……面白い子だな)
そんなことを考えながら追いかけるうちにいつの間にか距離が縮まっていたようだ。
後ろから抱きしめるような形で捕まえることに成功する。
そのまま地面に押し倒してしまった。
密着する形になりヤコブは思わずドキッとしたが、顔を見合わせて2人はクスクスと笑った。
ヤコブは起き上がり、ダビデに手を伸ばす。
だがーーー転んだ拍子に彼女の白い太ももが顕わになっており思わず視線が釘付けになってしまった……
慌てて目を反らす彼だったが、逆にそれが不自然に見えたのだろう……不思議そうな顔で見上げられてしまったではないか……
(いかん……意識してしまう)
必死に冷静さを保ちつつ平静を装って言うことにした。
「怪我はないかい?」
「はい、大丈夫です」
そんな彼の心中を知らないまま無邪気に笑う彼女を見ていると、何故か安心感を覚えることが出来た気がした。
***
日暮れ前になり帰ろうとした頃。事件が起きた。
「!?あれは…!?」
ダビデは何かに気付き、駆け出していく。
その先にはーー
男達に囲まれ襲われそうになっている少女の姿があった。
それを見た瞬間、身体が勝手に動いていた。
助けなければ……!!そう思った時には既に飛び出していたのだ。




