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3話 真実を知る者

「おや、マリカ殿ではないですか。相変わらず魅力的ですね。それに…貴方はヤコブ殿ですね。お二人が知り合いだったとは」


自分の元に突然訪れたヤコブとマリカを出迎えたサイラスはいつものように紳士的な笑顔を向けて挨拶をした。しかしどこか含みのある笑みにも見えるような気がするのは気のせいだろうか? 2人がここに来た理由は言わずとも分かっているはずなのに、敢えて知らないふりをしているような態度に見えたからだ。



(こいつ……わざとらしいわね)


そう感じたのはマリカも同じらしく、警戒心を強めつつ質問を投げかけてみることにする。


「単刀直入に聞くけど、ダビデちゃんに何か吹き込んだの?返答次第ではタダでは済まさないわよ。言っておくけど私たちは本気だからね」


するとそれを聞いた途端、サイラスの表情が僅かに変化した。一瞬ではあったが動揺したように瞳が揺らいだように見えたのだ。


(やはりこの男が関わっているのか……!)


その様子を見て確信したヤコブは思わず拳を握りしめると一歩前に進み出た。


「貴様、よくもダビデを誑かしてくれたものだな!一体どういうつもりなのだ!?」


怒りを込めて詰問する彼に動じることなくサイラスは答えた。



「彼女が選んだことですよ。私は彼女が望んだので情報を教えただけです」

「情報?ダビデの行き先を知ってるのか?」

「おそらく、魔法マニアの元へ向かったのでしょう」

「魔法マニアだと?一体なぜ?」

「それはダビデさんのプライバシーに関わることなので教えることはできません。私は忠告はしておいたのですが…。魔法マニアの居場所を教えて差し上げましょう。手遅れにならないように急いで向かうことをおすすめします」



サイラスはあっさりとダビデの行き先を教えてくれたので拍子抜けしてしまうが、とにかく急がなければと思い2人は礼を言うとすぐさま引き返したのだった。


***


「マジックカーで向かうのがいいわね。ダビデちゃんは馬を使ったようだけど、マジックカーで追いかければ先回りで追いつくことができるはずよ」


マリカはテキパキと手配を進め、すぐにマジックカーを借りることができたのだった。だが、彼女は乗り込もうとはしない。



「悪いけど私も暇じゃないの。仕事もあるしデートの約束もあるから貴方だけで向かってちょうだい」

「わかった。いろいろと世話になったな、礼を言う!マリカ」


2人は固く握手を交わし、マリカはいつものように妖艶な笑みを浮かべて頷いた。

そしてマジックカーを出発させて走り去っていくヤコブを見送りながらこう呟くのだった。


「野暮天になるなんてごめんだわ。ヤコブ、しっかり掴まえなさいよ……!」

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