9,プレゼント
パンッと、いっせいに灯りが消えて、真っ暗になりました。
やがてクリスマスツリーだけついて、
向こうから懐中電灯の明かりが近づいてきて、そこに立ち尽くす人々を照らしました。
「ややっ、みなさん! どうしたのです!?」
見回りの警備員さんです。
周りで夜のオレンジ色の灯りがつきました。
「あっ」
みんなお互いの姿を見て声を上げました。
「戻ってる!」
そうです、子どもたちは約束どおりみんな天使や動物のぬいぐるみから元どおりの子どもに戻っていました。親子は抱き合い、手を取り合って喜びました。
大喜びする親子たちを見て警備員さんは困って言いました。
「みなさん、とっくにお店は閉まっていますよ? さあさあ、早くおうちに帰ってください!」
親子たちは警備員に追い立てられて出口に向かいましたが、一つだけ、変わったところがありました。お父さんお母さんたちはみんな赤いサンタの帽子をかぶっていました。これが雪合戦に勝った優勝賞品なのか、ただの参加賞なのか分かりませんが、本物のサンタクロースを見られたのですから文句もないでしょう。
「さあさあ、あなたたちも」
ツインクル・ストリングスの三人も屋上の出口に追い立てられていきました。時計を見るともう10時を過ぎていて、東京へ帰る新幹線にはもう間に合いません。三人はとっても困りましたが、一つ嬉しいのは、三人にはサンタの帽子だけでなく、赤いマントもプレゼントされていました。
「ではお気をつけて」
屋上へ放り出されるとドアを閉められ、鍵をかけられてしまいました。
けれどそこに、
あの大きな黒塗りの外国車と、黒岩三太郎が待っていました。
「今夜は本当にありがとう。では、ちょっと約束とは違うが、これで家までお送りしよう」
三太郎がリモコンキーのスイッチを押すと、
ウイーーン、ガチャンガチャンガチャン。
なんと車が変形して、オープンルーフの飛行機に変身しました。
「黒サンタに空飛ぶソリは支給されないんでな、これでがまんしてくれ。さあ乗ってくれ」
三人が乗ると、三太郎は前の運転席に座り、
「ブラックトナカイ号、出発進行!」
ゴオッとジェットエンジンで浮き上がり、ビュン!、と夜空へ飛び出しました。
星の綺麗な冬の空です。
ちょっと寒いですがまるでまた夢のようです。
三人の並んですわる後ろの座席の前に、あのトナカイのオモチャがまた怪しく光ってトロイメライを流しています。
空の旅を楽しんで、
翌朝目覚めると三人はそれぞれ自分のベッドの上に寝ていました。
やっぱり夢だったのでしょうか?
でも布団の上にちゃあんとサンタの帽子とマントがかけられていました。
おわり。