8,勝負のゆくえ
そのうちステージの上の砂時計がもうすぐ落ちきろうとしました。子どもたちがもう少しがんばればお父さんお母さんを守りきれます。ところが、
「おやあ〜〜?」
三太郎が意地悪な目をすると、あと少しというところで砂が詰まって落ちてこなくなりました。
それを見ていたツインクル・ストリングスのお姉さんたちは三太郎に抗議しました。
「もう15分たったじゃないの?」
しかし三太郎はまるで口笛を吹くように、
「今は魔法の時間で、動いている時計はこの砂時計一つだけなのでね、これが落ちきるまでは15分はたたないのだよ」
と意地悪を言いました。
あと少しがんばればと思っていた子どもたちはがっかりして疲れてしまいました。
「もうっ、見てられないわ!」
お姉さんたち三人が飛び出すと、背中に天使の翼がはえ、ふわりと飛び上がりました。シャボン玉の中に飛び込みましたが、大切なヴァイオリンをバトンやハケのように振り回すわけにはいきません。すると三太郎がピイッと指笛を吹き、ヴァイオリンをかまえて演奏する真似をしました。お姉さんたちはそうかと思ってヴァイオリンを弾きました。するとヴァイオリンを向けた方向に音のバリアができて、ボールはくるりとカーブすると元来た方へ戻っていきました。
「さあみんな、もう少しがんばりましょう!」
大きい天使のお姉さんの味方ができて、子どもたちもよーしと、赤サンタ黒サンタを全員やっつけてやるつもりでがんばりました。
「面白くなったじゃないか」
ニヤニヤ笑っている三太郎の後ろで、お姉さんサンタが砂時計のガラスをピーンと指で弾きました。すると詰まっていた砂がこぼれ落ち、さらさらさらと、とうとう最後の一粒までみんな落ちてしまいました。
三太郎はしょうがなく宣言しました。
「そこまでーーーっ! 試合終了ー!」
ほーー、と広場中からため息がこぼれました。試合が終わるとボールの当たったサンタたちはみんなかゆいのが消えていました。実は最後の方はみんな夢中になって、かゆさなんてすっかり忘れていました。
「さーてさて、今年の判定はむずかしいぞ・・」
三太郎はシャボン玉が割れて元の大きさに戻った白サンタたちの、服の赤と黒の色の付き具合を子細顔で調べ、結果を発表しました。
「なんと今年は伝統の赤黒雪合戦始まって以来の珍事だ! 今年の優勝は、なんと、白サンタチームだ!」
ワーーーッ、と拍手が響き、「おめでとー!」とサンタたちから声がかけられました。赤黒水玉模様の白サンタたちと天使たちぬいぐるみたちは手を取り合って喜びました。もちろんヴァイオリンの三人のお姉さんたちも。
それにしても、もともとはただの雪合戦だったのですね。今年はこのあくたれ三太郎が幹事だったからこんな乱暴なゲームにアレンジされてしまったのですね。まったく、黒いサンタクロースなんてろくなものじゃありません。
三太郎が両手を上げて注目を集めました。
「それでは会のシメはこの方にお願いしよう。我らが北極のサンタクロースだ」
パチパチパチと拍手がなり、天井から大きな白いスクリーンが下りてきました。
スクリーンにパッと暖炉の前でイスに深々とすわった白ひげのずいぶんお年を召したおじいさんと、そのうしろに立つやっぱり白髪のおばあさんが映りました。二人とももちろん赤いサンタの服を着ています。
『今年も盛況だったねえ。ほっほっほっほっ』
豊かな白いひげの中で愉快そうに笑うこの笑い方は、まさしくあのサンタクロースです!
『ちとやりすぎのところもあったがねえ』
三太郎を見ると、三太郎は頭をかいて「うふふ」と笑いました。
『世界中のサンタクロースたちよ。今年もがんばって良いクリスマスになるお手伝いをしよう。少し早いが、メリー・クリスマス!』
メリー・クリスマス!!
サンタたちは全員、黒いサンタもみんな、とても嬉しそうな笑顔で答えました。
スクリーンのサンタクロースはおばあさんといっしょに手を振ってスクリーンから消えました。
ああ、本物のサンタクロースだったんだ・・と、白いサンタたちも子どもたちも、お姉さんたちも、あんまり感激しすぎてぼーっと見ているしかありませんでした。
三太郎が宣言しました。
「今年のガンバロー!会はこれにて閉会だ。サンタしょくん! クリスマス本番目指して、
ガンバロー!
エイエイ、」
「「「「「オーーーーーーーーッ!!!」」」」」