表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

4,迷子たち

 黒岩三太郎もショッピングセンターの中を歩いていました。

 彼もやっぱりオモチャ屋やゲーム屋や本屋や服屋やお菓子屋など、子供たちが喜んで来そうなところを選んで歩いています。そうして、

「うわ〜ん、買って買って〜! 買ってくれなきゃやだあ〜〜っ!!」

 と、駄々をこねて、床に寝ころんで暴れているような子供を見つけると、実に嬉しそうにニンマリ白い歯を見せました。

 そんな駄々をこねるような子にはお父さんお母さんは怒って、呆れ返って、

「おまえみたいな悪い子は知りません! いつまでもそこでそうしてなさい!」

 と、プンプンしながら行ってしまうふりをしました。そうしてしばらく放っておけば心配になって慌てて追いかけてくるだろうと考えての作戦です。

 ところが、追いかけてくるはずの子供がいつまでたっても追いかけてきません。

 お父さんお母さんの方が慌てて元のところに帰っても、自分たちの子供は見あたりません。

 どうしよう、どこに行っちゃったんだろうと心配していると、

 ピンポンパンポーン。

『迷子のお知らせです。どこどこよりお越しのまるまるちゃんがお待ちです。お父さまお母さまはお近くのサービスカウンターにお声掛けください』

 と、我が子の迷子を知らせるアナウンスが流れるではありませんか!

 お父さんお母さんはびっくりして、恥ずかしくて、急いでサービスカウンターを探して駆けつけました。

 うちの子が迷子になっていると言うと、受け付けのお姉さんはにっこり笑って言いました。

「はい。たしかにまるまるちゃんはお預かりしています。迷子センターにいますので、どうぞ迎えに行ってあげてください」

 お父さんお母さんは迷子センターの場所をきいて慌てて向かいました。ところで、お姉さんの制服もクリスマス向けなのでしょうか、赤い服に白いふわふわの襟を付け、頭にも赤と白の帽子をかぶっていますが・・・・。


 迷子センターは3階のちょうど真ん中の広場の吹き抜けの奥に入ったところにありました。

 表のカウンターで名前を確認して、ガラスのドアの奥へ案内されました。

 青いかべの通路が続きます。子供が心配なお父さんお母さんはずいぶん長い通路だなとやきもきしました。

 やっと通路が終わって部屋に出ました。

 滑り台や大きなブロックのあるカラフルで楽しい部屋です。それに大きな動物のぬいぐるみがたくさんあります。

「ヒロキちゃん!」

 お父さんお母さんは自分の子供の後ろ姿を見つけてほっとして駆け寄りました。

「こら。もう、心配かけて・・」

 ヒロキくんの顔を見てお父さんもお母さんも「うわー」「きゃー」と悲鳴を上げました。ヒロキくんの顔がぬいぐるみのお猿さんになっていたからです。はっと上を見るとまた「うわー」「きゃー」と悲鳴を上げました。青いお空の天井にふわふわ、大きなシャボン玉に入った小さな女の子がいっぱい浮かんでいたからです。

 お父さんもお母さんも「う〜〜ん」とうなって気を失ってしまいました。

 黒岩三太郎がのっしのっしとカウンターのお姉さんのところに来て言いました。

「さて、悪い子どもの家族は集まったかな?」

 サンタ姿のお嬢さんはにっこり笑って言いました。

「ええ。もうじゅうぶん」

「そうか」

 三太郎は実に悪そうな笑いを浮かべて言いました。

「では準備の本番にかかるとするか」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ