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最強クラフトで異次元無双  作者: 御自賛
5/22

その4

明るい時間は壁からしばらく離れた木の上に小枝とかでカムフラージュし、クラフトで迷彩強化したシェルターを設置して過ごした。こういった技術も、事前に習得済みだ。原始的な手法だが、効果的だ。慣れればカムフラージュなど朝飯前なのだ。


前次元でのサットとの活動は、言わばサバイバル&戦闘訓練の過酷な日々がほとんどだった。出会ってからここに至るまで、約5年の時間をかけた。


不老不死に近い体だが、首を切り落とされたり体組織の60%以上を破壊されると流石に再生できない。その為、バイタルゾーンを回避する術は徹底的にしごかれた。


サットが自分の一部とクラフトで作った肉人形を融合させて、寝ている隙に戦いを挑んできたときは参った。いつも死ぬ寸前まで追い詰められた。


その訓練も、技能が卓越してきて勝ち星が増えてくるようになったら終了した。こう言っては何だが、軍人とか特殊部隊の人にも格闘では負けない自信がある。


元々古武術のたしなみはあったが、それでも地獄のような日々だった。



夕方前くらいにクラフトモードで情報を確認したら、人間の素材画像が増えていたので喜んだ。恐らく壁の内側の人達なんだろう。


男女共に記録されていて、両者とも褐色の肌にこゆい目鼻立ちの顔で身長180cm平均の屈強そうな体格の男性、170cm平均で引き締まった肢体の女性だった。


生物の種類も増えていて豚のような胴体と頭で、鼻の下にネズミの前歯が生えた様な奴や、孔雀と鶏のハイブリッドのような生物が記録されていた。


そう言えばさっき食べた新メニューのクラフト肉も、鳥ももみたいで旨かったし活力がみなぎる感じがする。




周囲も暗くなったので、改めて壁の内側への侵入を試みる。壁の手前の森で光学隠密し、梯子を作って迷彩クラフトして壁に設置する。


登ると、壁の上はドーム型の透明な屋根で覆われていて、案の定その内部には壁と同じ素材と思われる砂岩で作られた住居らしきものが並んで建っていた。


ドームは微かながら光っていて触れようとすると反力があり、手を差し込もうとすると強力な磁石の様に触れる寸前で弾き返される。


原理がわからないが、どうもエネルギーフィールドらしい。見た目に反して案外高度な文明の様だ。


結局壁の上からは入れなかったので密かに壁に穴を開けることにした。


事前に壁の上から内部を観察して、植物が生い茂って見つかりにくそうな場所を発見。壁と一体化している花壇で、丈の高い植物が生えている。その裏側に穴を開けることにした。


壁の厚さ1mに長さを合わせた分子剣で砂岩の壁を突き刺す。切るときに抵抗感があり、自分が四つん這いで通れる位の穴が開いた。


なんの材質なのか分からないが、チタンやダイヤモンドでさえスムーズに切れていたので少し驚いた。


「何で出来てるんだこりゃ。」


思わず呟いてしまう。そしてハッと周囲を見回す。誰も気づいて無いようでほっとした。穴から中に侵入する。


出口は少し狭くなっていて、音をたてずに抜けるのに一苦労した。目の前には人間の腰位の高さの植物がびっしり生えていて、紅色の花が咲いている。


自分の姿や穴は見え辛いはずだ。そろりと中腰になって周囲を見渡す。ここは路地裏のようで、人影はない。他の生物が侵入してきては困るので、クラフトを使って穴を塞いだ。


狭い通路を選び、中央に向かって移動する。おかしな事に、その間も誰とも出会わない。試しに民家の入り口をノックしたり、中に入ってみたが誰もいない。


中央は案の定広場のようになっていて、露店が並んでいる。村の市場なのだろう。ここへ来て、今まで気づかなかった事実が発覚する。


「...ここ誰も居ない...」


中央広場にも誰も居ない。今まで10軒位の民家に入ったけど、使われている形跡はあるのに人が居ない。生物自体が居ないのだ。でも調理しかけの料理とかは残っているのに。どうも、様子がおかしい。


「いや、痕跡はあるのだし今さっき居なくなったような雰囲気だな。」


商品とかも店に並んでいる。台の上は埃を被っていない。露天や民家の内部も、きれいなままだ。これは一体...。クラフト素材にも、ちゃんと人間が表示されていたのに。


ここまで厳重に守られているエリアで、隠れ住んでいるとかは流石に無いだろう。ひょっとしたら、自分の侵入がばれていて警戒されたのか?しかし、人間の場合は息遣いや気配で分かるものなのになあ。


「これは...生物の波動が周囲のオブジェより僅かながら高いようだね。」


サットが分析してくれたようだ。久しぶりに声を聞いた。


「え?どういう事?」


「君の波動は、この次元に居られるギリギリのレベルなんだよね。つまり、この次元の生物は君より波動がもう少し高い為に、存在自体が実体化していないのさ。」


どういう事だ?俺は首を傾げた。サットがため息をついた気がする。


「前の次元でも、幽霊とか居ただろう?あれも霊と肉体の波動レベルに差がありすぎるので、実体化しないのさ。」


「つまり俺の波動を合わせれば、生物が実体化すると言うこと?」


「正解。でも、微調整過ぎて私には波動合わせが出来ない。君がなんとか工夫しないとね。」


おいおい、便りになるのか、ならないのか?そもそもどうやれと?


「神を瞑想するとか、良いかもしれない。波動の高い存在をイメージした時間分、波動が高まるから。」


よりによって苦手な分野だ。そんな事で生物が現れるって言うのか?


でもサットがこのジャンルの話で嘘を言っているのを聞いたことがないな。ここは相棒を信じるしかない。


急に人が現れたら困るしエネルギーの無駄なので、一人で隠れる事が出来そうな納屋を見つけてカモフラージュを解除し、結跏趺坐を組み瞑想に入る。そしてまだ会ったことのない神を想像して、頭の中のカンバスにイメージでビジュアライズしてみる。


驚いたことに体が急に楽になり、快適になり始めた。異次元だと、高次元な存在の影響力が強いのか...?だんだんリラックスしてきたのと同時に、眠くなってきた。意識が遠退いて行くが、何故か金縛りのように体が動かなかった。そのまま眠りこけてしまった。

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