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序章
準備は完了した。
既に隕石は肉体に同化され、外見上全く分からなくなっている。
「サット」も大丈夫とのお墨付きだ。いよいよ次元シフトを試すときが来た。
今までの苦労は、ここへ至る通過点でしかない。
この先に何が待っているかはわからない。
でも、もうこの世に未練はないのは確かだ。そして、あちらでは今までとは違う生活が待っているらしい。
もしこのまま死んでも、それならそれで構わない。自殺するつもりはないが、このまま緩慢な絶望を味わい続けるくらいならと冒険することを選んだのだから。
次元シフト...物質は全てが振動しているらしい。
そしてその振動数を変化させると、実体化したり消えたりするそうだ。
つまり、振動数が変えられれば違った次元の世界にその場で瞬時にシフト出来るとサットは言っていた。
ちなみに身体的苦痛は多分ないそうだ。まあ信じるしかないよな...。
「よろしく頼む、相棒。」
「分かった。では始めるぞ。」
視界が光に包まれる。純白で景色が統一される。やがて眠気に似た心地よい倦怠感が来た。意識が朦朧とし始めて....。