秋風そよぐ
読んでいただきありがとうございます。エッセイに書いた時、一人の方が感想を残してくれたので、その方の意見を取り入れることにしました
西暦二三四年十月八日──
蝋に灯った火が秋風に揺らめく中、一人の病弱した男性は咳き込みながら、弱々しくもしかし一貫し強い意志を声に宿し言葉を紡ぐ。
「これが小生の運命──星の導き。しかし今の自分が出来る事はやり遂げました。悔いは、ない。後は──魏延達、任せましたよ。この兵法書に全て……を」
瞼がゆっくりと閉まり、世界が闇へと染まる刹那、頭を過ぎるのは走馬灯の様な思い出の数々。そして、見たかった──見せたかった泰平の世。
徐々に鼓膜を叩いていた、外で聴こえる話し声や鎧の軋む音は遠のき、呼吸はより一層浅くなる。霞み始める意識の中、だが恐れはない。“義を見てせざるは勇無きなり”義に育った蜀の子らなら必ずや──
この日、蜀の軍師・諸葛亮孔明は五丈原に散った。
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