表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したら、妹が増えた  作者: 鈴木すばる
3/8

3話 ピアノを嫌いになったわけ

3話


 「ゾウさん、かわいくない。全然かわいくない」

 「あの鼻……私たちを捕まえようとしたあの長い鼻……悪魔の鼻だよ」

 何とか逃げ切ったけど、深い精神的な傷が残て、妹たちが死んだ目でそう呟いた。無理もない話だ。正直に言うと、あの長い鼻が俺にも一生忘れられないトラウマを植え付けて、夢に出そう。そんな俺たちがトラウマを背負って、ひたすら前に歩いていた。その時だった。


 「あ、旅人ですか? ようこそ、ベルクの町へ!」

 「セン、ハナ、お兄ちゃんもう、ダメかもしれない。俺は今、すごい幻覚を見ているよ」

 「私もダメかも。なんて巨乳な幻覚だ、このお姉さん」

 「幻覚の分際がこんなに巨乳だなんて不公平だろう? 私たちだって毎日牛乳を飲んで、ちゃんと頑張っているのに、幻覚に負けてたまるか⁈」

 幻覚のお姉さんが困惑して、無理に笑った。

 「えと、私、幻覚じゃないんですよ?」

 「そのはずはない!」

 センは近づいて、お姉さんを上から下までマジマジと見つめていた。それで、両手で胸を掴んだ。

 「本物だ」

 「あああああぁぁぁ! いきなり何をしてるんですか⁉」

 お姉さんの顔が赤くなった。


 待って、このお姉さんが幻覚じゃないなら、もしかしたら……。

 「この町も、本物なのか?」

 「もちろん、本物ですよ! あなたたち、何でそんなに人を疑っているのですか?」

 「はい、家族会議!」 


 巨乳お姉さんから離れて、木の下でしゃがみ込んだ。

 「ね、よく見るとあの町、ファンタジー過ぎない?」

 「うんうん、ファンタジー過ぎて、超陳腐だよね。私もそう思った」

 「センの言う通り、すごく陳腐だ」

 「いや、そうだけど、そうじゃない!」

 ベルクの町って一体どこだよ? 少なくとも、日本ではない。


 「ね、あなたたち、もうすぐピアノが降りそうだから、私についてきてください。最近、客が少ないのでうちの宿に泊またら、お安くしときますよ!」

 ここはどこであろうと、今は泥まみれなので、とにかくお風呂に入りたいな。

 「ああ、わざわざすみません。実は宿泊に困ってて……。待って、今、何て?」

 「お安くしときますよ!」

 「いや、その前に」

 「最近、客がなかなか来てくれません」

 「いや、そうじゃなくて、ピアノが降りそうって言ったよね⁈」

 「はい、ピアノが降りそうだから、宿に泊まった方がいいと思います。雨季は大変ですよね」

 お姉さんがそう言うと、空に指を指した。

 「ほら、もう降り始めたんですよ」


 俺たちの隣に、ピアノが空から落ちた。その時、すべてを思い出した。

 「ね、お兄ちゃん、私達って、死んでいるよね」

 「そうみたいだ」

 「そうか」

 「あああああああぁぁぁぁぁぁ!」

 「ああああああぁぁぁぁぁ!」

 俺は童貞のまま、死んだ? 悲しい過ぎるんだろう⁈

 「あなたたち、何馬鹿なことを言っているのですか? ちゃんと生きていますよ! 死にたくなければ、こちに来なさい!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ