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異世界に転生したら、妹が増えた  作者: 鈴木すばる
2/8

2話 どっちでもいい

                      2話



「先から変なことばかり起こるんだから、シンプルに行こう」

そう、どっちの妹が本物かどっちが偽物かを問わずに。

「単に妹が増えたことにしよう。そうしたら、深く考える必要もないじゃないか? いいアイデアと思うけど、どう? 双子ができてよかったね!」

[[良くない!]]

「まあ、とりあえず、こうしよう」

俺は妹2号に指を指した。

「ちょっと髪を下ろしてくれないか? 今のままじゃ全く区別できないからね」

「何で私だけが髪形を変えなきゃいけないの? 私を疑ってるの?」

「いや、髪を下ろしたら結構かわいいなと思ったからさ」

急に妹2号の顔が明るくなった。

「今すぐ下ろす!」

ちょろい。

妹2号はリボンを外して、「褒めて欲しい」と言わんばかりに期待の目で俺を見ていた。確かに、こう見ると意外とかわいい。普段髪をアップにするせいで気づけなかったけど、その長い金髪は綺麗な。なんとなく分かったけど、俺の妹って美人だったか?

「うん、やっぱかわいい」

「私も髪を下ろすね!」

そう言って妹1号は慌ててリボンを外そうとした。

「お前も髪を下ろしたら意味ないじゃん⁈」

「そうか」

「まずは、この洞窟から出よう。出口はこっちみたいだ」

洞窟のわずかな光に導て出口を見つけたけど、出たら森の中にいた。まあ、暗い洞窟に比べては全然マシだけど、まだ完全に迷てる。

「ね、千花」

[[はい]]

面倒くさい。

「そうだよね。今のままじゃ不便だから偽物を見つかるまではあだ名をつけよう」

妹1号に指を指した。

「これから、お前はセン」

妹2号に指を指した。

「お前はハナ。いいか?」

「センか? 別いいけど、私が本物だって証明するまではね」

ハナはニヤニヤして、センの方を見る。

「ツンデレだよね。本当はあだ名をつけるのがちょっと恋人ぽくて嬉しいだろう?」

「何で分かる⁈」

「私もそうだから!」

二人の会話を聞いていると、フッと気づいたけど……。

「お前ら、ブラコンなのか?」

[[気づくのが遅い!]]

妹たちが不満そうにそっぽを向いた。

「ラノベ主人公か? この鈍いお兄ちゃん」

「いや、それ以上かも。これはウェブ小説の主人公レべレの鈍さだよ」

「そうかも! 分かるんじゃないか、ハナ」

「君もいいやつかも知れないな、セン」

何でいきなりそんなに仲良くなったかよ⁈

そう思うと突然、何か変な音が聞こえた。

「ちょっと静かにして、何か聞こえるよ」

「あ、私も」

「私も。足音かな?」

「いや、足音にしては大きすぎないか?」

俺の反論を聞いて、ハナは「分かった」と手を打った。

「きっと、ゾウさんが来るんだよ!」

はい、馬鹿がいる。

「これはまだ日本だよね? ゾウが森の中にいてたまるか⁈」

「ちょっと、みんな、この音が近づいていない? ドンドン大きくなるし……」

センの言う通り、この音が近づいている。でも、一体何、この音? 確かなのはゾウじゃない何かがこっちに向かていること。それと、その何かが大きくて、危ないかもしれない。俺は心に決めた、何であろうと妹たちは絶対に守るって。

「みんな、下がって、俺の後ろに」

一度言ってみたかったよね、そういうアニメにしか聞こえないかっこよ過ぎて痛くなるセリフ。そんな格好つけたセリフを言った俺が馬鹿だった。

森の奥からとてつもない物が出た。

「ゾウじゃねーか⁈ 何でゾウが⁈」

ゾウって言ったけど、ちょっと違う様な気がする。俺は決してゾウ専門の生物学者ではないのだが、ゾウっていうのは、2本足で歩く動物だったのか?

「ゾウさんだ!」

「かわいい!」

「いや、ちょっと驚けよ! 俺が馬鹿なのか? これは普通なのか?」

俺の文句を無視して、妹たちがゾウに近づいて行く。

「偉い偉い! 2本足で歩いているよ!」

「どこかのサーカスから逃げ出したかもね」

まあ、それなら説明がつくけど、それでも怪しい過ぎる。

「イイニオイ」

「気づいてくれた? お兄ちゃんたら鈍いところあるから気づけないと思った! 実はこの前、いつもと違う香水を買ったね。それで……」

「いや、セン。俺は何も言ってないぞ」

「ニンゲン、イイニオイ」

やっぱ違うよね。うむ、何もかもが完全に違う。

「ゾウが喋った!」

「逃げて!」



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