(4)レモンちゃんとお姉ちゃん 後編
(承前)
レモンちゃんがみんなを迎え入れた時、憑き物の落ちたアップルからこんな事を言われていた事を思い出した。
「ねえ、レモンちゃん。あなたが新リーダーになって。そしてリーダーになるんだから新しい立派な名前を」
レモンちゃんはアップルちゃんにいきなりキスして皆まで言わせなかった。
「ありがとう、アップル。でも私はレモンだから。一度敵だと思っていた人達の中でも頑張る事が出来て変わってもらうことが出来た。私はずっとレモン。私自身がそう決めたんだから」
私は我に返った。
「ねえ、お姉ちゃん。なんで私の名前を秋にしたいって言ったの?」
お姉ちゃんは面白おかしいほどの驚きの顔をして凍り付いていた。どうやら私には内緒って事になっていて、そのせいでお父さんはあまり答えてくれなかったんだとこれで確信できた。
「え、お父さんがバラしちゃった?」
私は首を横に振った。
「お父さんはお姉ちゃんだと言わなかった。でも夏の生まれなのにミアキって変だって思って灰色の脳で考えた」
目線をそらすお姉ちゃん。口笛を吹きそうな感じすらある。
「お姉ちゃんの名前はお父さんがお母さんの名前から生まれた季節を選んでつけたんでしょ」
「そうだね」
「お父さんがつけてくれたのならナツミかミナツしかなかったはず。それを秋に変えたのってお母さんと隣の季節を妹が取るのは嫌って思ったの?」
「まあ、それは少しはあったかな。でもね、それが理由じゃないよ」
「ふーん。まあ、お姉ちゃんの事も秋って季節も私はだーい好きだからなんでもいいや」
お父さんが「ミアキ、先にお風呂入りなさい」と言っているのが聞こえて来た。
「はーい。じゃあ、お姉ちゃん、おやすみ」
「ミアキ、お風呂で寝ちゃわないようにね」
「お姉ちゃん、私はもう小学3年生だよ!」