(4)レモンちゃんとお姉ちゃん 前編
家に帰ったらお風呂上がりらしいお姉ちゃんがパジャマ姿で牛乳を飲んでいた。
「ただいま、お母さんは?」
「お帰り。お母さんは書斎でお仕事中。映画、楽しかった?」
私は食卓の自分の椅子にチョコンと座ると答えた。
「うーん。プリティ・カラーでしょ。いつもの通りだよ」
WRPの隠れ家になっていたパレス・マンションには偏食の小さな女の子がいた。その子の求めでお友達になったレモンはアレルギーなどない事を確認しつつお手製の料理で徐々に彼らを果物なども好きな人達に戻していった。
WRPのプレジデントであったその女の子の祖父を突き動かしていたのは偏食な女の子の好きなものしかない世界にする事だったから、彼女が変わればお米や小麦、お芋だけの世界にする必要性がなくなる。
孫娘の偏食がなおっていった事でWRPプレジデントは戦う理由を失いつつあった。レモンの作る料理に戦いをやめようかと考え始めたけど、WRPはその頃、アップル達を追い込んでいた。レモンを失った事でアップルのルビー・ソードだけでは勝てなくなっていてWRP戦闘員の手で追い詰められていたのだ。
WRPの勝利は目前。そこでレモンはWRPプレジデントと女の子に願って休戦、否、事実上の降伏勧告の使者に志願した。レモンはアップルと戦いながらWRPの人達が考えを変えている事やアップルの決めたようなブラックな活動ではない事を説明した。
「アップルちゃん。肩の荷を降ろして。あなたはそんな人じゃないはず」
この一言でアップルのルビー・ソードはその隠れた魔力、ブラック支配力を失わせ、そして偏食のない世界へと道が開かれた。
「……めでたし、めでたしって、そんな話」
「ミアキ、今のネタバレ」
お姉ちゃんは少し笑いながらわざと両手で耳を押さえていた。
「お姉ちゃんはあのシリーズをもう見たりしないんでしょ」
だから、いいじゃん。それぐらい。
「昔は見てたからたまにどんなのだったかなーって思い出して、今、ミアキが見ている最新作ってどうなのかなーって想像するのがいいの。だから知りたくなかったのよね」
それは悪い事をしちゃった。
「お姉ちゃん、ごめん」
お姉ちゃんは私の頭をゴシゴシと撫でてというか髪の毛をかき回しに来た。そして私の顔を覗き込むようにしながら言った。
「ミアキ、可愛い妹のことだから許すけど、お友達は嫌がるかもしれないから確認しなよ」
「うん。わかった」
そこでふと今日の映画とお父さんとの会話の事を思い出した。フルーツ・ガーズの一シーンが目に浮かぶ。