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(3)お父さんと映画デート 前編

 7月になり暑くなって気がついたら夏休み。呉のお祖母ちゃんの家に行く前にお父さんと毎月恒例の映画を観に調布のシネコンに行った。ここは新しくできたところで評判も良いそうでお父さんが行ってみようかと言い出してここになったのだった。


 で、今日見たのはプリティー・カラーシリーズの最新作だった。お子ちゃま向け映画の定番。お姉ちゃんが小さな頃に見ていたとかなんて太古の時代からやってるの(と言ったらお姉ちゃんに化石扱いするなと怒られた)。

お父さんとの約束でお子ちゃま向け映画じゃないとダメって言われているけど、本当にもうちょっと年齢の上の人向けの映画を観たいんだけど「ミアキの友達と話ができる作品じゃなきゃダメ」ってこれだけは聞いてもらえない(仕方ないのでそういう映画はお姉ちゃんとかお母さんに頼んで観に来ている)。

 という訳でお子ちゃま向け映画を観るのはあくまでお父さんへの親孝行なのだ。えらいぞ、私。


 映画を観た後でレストランで夕食を食べに行った。ウッドデッキがあってお外で食べられるお店だ。お店の方に案内されてテラスの席に着くとお父さんと一緒にメニューを調べた。夜風が気持ち良かった。


「なんでも好きなもの選んでいいよ。学校の勉強、算数や理科はとっても良かったからご褒美。でもな、ミアキ」

「国語とかもう少し頑張りなさいでしょ?」


頷くお父さん。


「学校の先生と合わないのかい?」

「……そんな事ないよ。面白くないだけ」


 学校の先生はちょっと感じが悪いけどそこが問題って訳じゃなかった。国語の問題って文章を読んで虫食いになっている所埋めたりするだけなんだけど、その読まなきゃいけない文章があまり面白くないからまじめにやる気が起きない。いけないなあって思うけど面白くないもん。

 お父さんはお手上げって感じでとりあえず追求するのは諦めてくれたみたい。話題を変えようと思い付いた疑問を聞いてみた。


「お父さん、お姉ちゃんとは映画を観に行ったりしなかったの?」

「んー。そうだなあ。あの子が今のミアキぐらいの年頃まではプリティ・カラーを見に連れて行っていたよ。ちょうど始まった頃だったかな」

「なんで一緒に行かなくなったの?」

「ミアキが生まれてミフユがお手伝いするようになってそうこうしているうちにお友達の子達と行くようになったから。ミアキだってそのうちお父さんとだなんてーって言い出すよ」

「私はそんな事ないよ、お父さん」


 お姉ちゃんがお父さんと一緒に映画を観に行かなくなったのはお姉ちゃんがプリティ・カラーから卒業してみなくなっただけじゃないって気がしたけどなんとなくお父さんの夢を壊しそうだから黙っていた。


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