(2)劇場版プリティ・カラー フルーツ・ガーズ/私はレモン
ある日、大人達の中から徐々に小麦やお米、おいもばかり食べる人たちが現れた。そしてその人達は果物を特に敵視して虫歯になるとか、甘い大人になるからとか言って子供から取り上げだしてどんどん広がっていった。その運動にはWRP社という企業が関係していて、果物を食べさせようとする大人を狙って洗脳していた。
フルーツ・ガーズは子供の手から果物を奪わせないために魔法の剣やステッキなどが選んだ5人の小学4年生の子たちの戦いの物語だ。
この日もフルーツ・ガーズはWRPとの戦いに勝った。それは小競り合いに過ぎなかったけど、フルーツ・ガーズたちの中の亀裂がはっきり露わになった。
アップル・レッドは変身装甲を解かずルビー・ソードでレモン・イエローを指して叫んだ。
「レモン、なんでリーダーの私に文句ばかり言って逆らうの!そういうならあんたがやってよ。でなきゃ私の言う通りにして。でないと勝てない」
レモンは自分のシトリン・ステッキを人に向けたりはしなかった。魔法の力はこんな仲間内で使っちゃいけない。
「アップルは間違っている。敵になっている人もそういう催眠術か何かであちらに手を貸さざるを得なくなった人達なんだから出来るだけ傷付けないようにしようって言ってるだけ。アップルのやり方じゃ戦闘員の人達が目を覚ました時、疲労から立ち直れない」
「だって、敵だよ。催眠術だろうがなんだろうが、敵は敵。倒すのに手段を選んでいてこちらが不利になったらどうするの?」
アップルの怒りは大きかった。ベリーやピアたちが止めてくれようとした(風来坊で仲間意識のないオレンジは呆れ気味に距離を置いて眺めてるだけ。この子はいつもの通りって感じか)。
でもレモンも負けてはいない。
「正しくあり続ける事は一線を越えずに続ける事。アップルのやり方は一線を超えてる。私たちが正しくあろうとしなかったらもう正しくあろうなんて人はどんどんいなくなっちゃうよ」
シトリン・ステッキはレモンにだけ聞こえるチャンネルを鳴らした。
「レモン、防御魔法使用許可を!」
それとほぼ同時だった。アップルがルビー・ソードを振るうと不気味な赤く黒い光が伸びた。レモンはその赤く黒い光に包まれた。
まさかアップルが魔法を使って攻撃するなんて。仲間なのに。そういう思いがシトリン・ステッキの防御魔法の発動をさせなかった。ステッキは自己防衛のため許された範囲で最小限の透明障壁を展開したけど強烈なルビー・ソードの攻撃魔法を完全には防げなかった。崩れ落ちて意識を失ったレモン。
レモンがアップルの攻撃の直撃を受けた時、WRPの戦闘員の新手が襲いかかってきた。応戦するアップルたち。その最中に気を失っていたレモンはWRPの戦闘員の手で連れ去られた。
WRPの波が引いた後、ピア・グリーンはアップルに詰め寄った。
「アップルちゃんのせいでレモンを攫われたじゃないの。あんた、味方にステッキ振るって攻撃魔法って何様のつもり?リーダーなら味方を守るものでしょうが」
「あんた、このルビー・ソードの威力抜きで勝てるとおもってるの?」
アップルは強烈な赤く黒い光を放つルビー・ソードをピアに突きつけた。確かにルビー・ソードを持つアップルの存在は欠かせないけど、その妖しい光は持ち主の性格すら歪めているように見えた。
そしてピア・グリーンはアップル・レッドがいざとなれば自分にもまたもや攻撃魔法を使う気だと気付いて恐怖した。