異世界召喚されし俺
異世界に召喚されて3日目。ついに魔王のもとまでたどり着いた。思えばここまで長かった。
いきなり変な賢者に異世界召喚されたと思ったら、空間魔術と即死スキルを使って魔王を倒して来てほしいとかお願いされるし。
いざ旅に出てみれば世界地図も何もないから魔王がどこにいるかもわからないし。
空間魔術や即死チートも使い方の説明を省かれたせいでどう使うか検証していく必要があったし。
空間魔術を使いこなせるようになってから1日半、やっと魔王のお膝元までたどり着けた。
一日もあれば大概のゲームはラスボス攻略までできるというのに。
「よく来たな勇者よ!アルカナリアの平和をかけて我に戦いを挑もうと言うのだな。」
この世界ってアルカナリアというんだ。初めて知った。
「アルカナリアの平和!?そんなものはどうだっていい。俺がほしいのは唯一つ!魔王を倒した英雄に近づく女の子達との勝ち組ハーレム。それだけだ!!」
魔王討伐と割とどうでもいいことにやる気になっているのはこのためだ。
そう、俺は現実ではないこの異世界で巨乳ビッチにケモ耳ロリータ、様々な女の子と魔王討伐の英雄という地位を利用してハーレムを作ること、それだけを目標にこの三日間頑張ってきたのだ。
「貴様、本当に勇者か?英雄である誇りも人間としてのモラルも持っていないのか?」
人類を滅ぼそうとしている存在の戒めを聞き流しながら即死スキルの発動を開始する。
いや実際この魔王は人類に対してどのような害をもたらしていたのだろうか?
ま、ハーレム目的の俺にはどうでもいいことか。
「お前がどう思おうが俺にはどうでもいいことだ。俺がお前に望むことは俺のハーレムのために死んでくれ。それだけだ。」
左手に黒い光が集まったかと思った次の瞬間、黒い光は解き放たれ黒い閃光となって辺り一帯を目もくらむほどの輝きと共に包み込む。
「まだ、攻撃すらできてないのにぃぃイ!」
魔王は断末魔と共に即死スキルの閃光を浴びて消えていった。
苦節すること3日、ついに魔王を倒すことに成功した。
これからは巨乳ビッチにケモ耳ロリータに囲まれた優雅な生活が待っている。
期待に胸を膨らませていたその時だった。
青い光と共に足元に魔法陣のような物が現れた。
「異世界召喚されし勇者よ。よくぞやってくれた。これで世界に平和がもたらされるだろう。」
それは、異世界に俺を召喚した賢者の声だった。
「そなたをこれから現世へと帰還させる。我々一族より代表して感謝を申し上げる。ありがとう勇者貴大よ。」
そう賢者が告げると魔法陣から放たれる光が一層強くなる。
「ちょっと待って俺へのご褒美は!?豪華な晩餐会に綺麗な女の子、貴族階級でのウハウハ生活は!!」
魔王倒してはいありがとうという無情な扱いに叫びを上げる。
そんな俺に賢者は笑いながら語りかける。
「世界を救ってくれたそなたなら元の世界に戻ってもきっと素晴らしい未来が待っているだろう。ありがとう勇者よ。そなたのような英雄がいたことを生涯語り継いでいこう。」
「そんなぁぁぁあぁああ。」
次の瞬間、目の前がまばゆい光に包まれた。
―――
目を覚ますと見慣れた部屋の中にいた。3日前までスマホいじったり、ポテチ食べたり、漫画を読んだりしていた自分の部屋に。
日付と時間を確認すると異世界召喚された時間から2時間ほどしか経っていなかった。
あれは夢だったのだろうか?
普段特別な力なんて持ってないごく凡人の無双した夢。
とりあえず今日これから何をするかは決まった。
ファンタジーな世界で巨乳の女の子やケモ耳ロリータと×××するアニメ。それを見て眠ることを心に決めた。