魔王?ふーん、で?帰れんの?
光が収まると、俺達二年二組は祭壇のような場所にいた。
「まぁ、テンプレだな。」
で?あんな露骨に魔方陣出してたからには召喚した王と王女とかいるんだよな?とっとと出てこいよ。たたっ斬ってでも帰る方法聞き出すから。
積みゲーと安眠が待ってるんだ。窓っぽいものから見える風景は高層ビルなんかじゃなく、ファイナルというより完全にドラゴンの方にシフトしてるから文明レベルもお察しだ。
これがどういうことか分かるか?
現代科学の粋を集めた寝具が無いってことだよ!!
タダでさえ自分の家の寝具じゃなきゃ寝られないタイプなのに文明レベルがはるか下の寝具でなんて寝られる訳が無い。
これは死活問題だ。
人間の三大欲求……いや、俺に限っては一大欲求と言ってもいいほど俺にとって睡眠は大事なんだ。
それこそ常に寝てい続けていたいほど。
ああクソ……召喚した奴、絶対一回斬るか殴るかしてやるから覚えてろよ……
「おい!連!」
「おう……どうした、海斗。」
いかんいかん、ちょっと没頭しすぎたか。
「言いたいことは色々ある……が、まずはこの状況だ。どうなってんだ、これ?」
「よく分からないが、異世界召喚だろ。としかなあ……」
本当にそうとしか言いようがないから返答に困る……
「召喚に応じていただき、誠にありがとうございます。勇者様方。」
透き通るような声が神殿(?)に響く
そちらに目線を向けると金髪碧眼の美女が立っていた。
まぁ、テンプレだな。こいつが俺たちを召喚したのか?なら姫様って所か。
つーかコイツいつからそこに居たんだ……?
「あなたが私たちを?」
おお、委員長案外ズバッと行くね。俺は別の意味でズバッと行こうと思ったけど何もわからないこの状況でするほど馬鹿ではない。
「そうですわよ!何ですかここは!」
委員長の近くにいた縦ロールが似合いそうな女子が叫ぶ。
えー名前なんだっけこいつ……取り巻きAでいいや。うん。
「そうよそうよ!」
それにポニーテールの女子が続く。
こいつは……えー……取り巻きBでいいな。
「それは私からご説明させていただきます!」
そう言いながら姫様の後ろからハゲ……髪の薄い初老の男性が出てきた。
「ここは勇者様方の世界とは別の世界、所謂異世界……そこにある私達の国、メンダクス王国は平和な王国でした……が、あの憎き魔王が戦争を仕掛けてきたのです!!…度重なる魔王の襲撃により、我が国は崩壊寸前……そこを勇者様方の手でどうかお救い下さい!!」
メ、メンドクセー王国?
つーか声でけえよ……鼓膜破れるわ。
異世界に魔王ねぇ……テンプレだよなぁ。
テンプレ通りならコイツらの言うことは鵜呑みにできないがな……
「あの、自分もちょっといいすか?」
一人の男子生徒が手を上げる。
コイツはなんて名前だったっけか……金髪だし目つき悪いしヤンキーでいいか。
「今の話、要するに悪いヤツと戦って倒せってことっすよね?」
「そうです!」
ハゲが答える
「いや……いきなり拉致モドキされて戦えって言われても……それに、俺ら一般人っすよ?無理に決まってますって。」
ド正論だな。ちょっと好感度上がったぞヤンキーくん。
「その点については心配無用でございます!勇者様方には召喚された時にとてつもない力を持って転移してくると聞いております!試しに、『ステータスオープン』と唱えてみてくだされ!」
いや、何ら問題解決してない気がするんだが……まあ、今はいい。
『ステータスオープン』と口にする。
すると半透明の板が目の前に現れた。
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レン=ミツルギ Lv1 宝剣使い 年齢17
HP 600/600
MP 600/600
攻撃力 1000
防御力 600
魔力 600
精神力 1000
運 50
取得魔法
なし
装備
頭 なし
胴体 学校のブレザー
腕 百均の腕時計
腰 シンプルなベルト
脚 学校のスボン
靴 学校の革靴
アクセサリー なし
武器 なし
スキル
宝剣召喚Lv1 自らの宝剣を呼び出せる。Lv1では“修羅の大剣”と“連鎖の剣”が呼び出せる。
修羅の大剣
攻撃力500 赤い刀身を持った大剣。
連鎖の剣
攻撃力300 “連鎖”する剣。
異世界言語理解LvMAX 異世界の言語を理解し、読み書き、発音ができるようになる。
職業
宝剣使い Lv1
技能
宝剣召喚時ステータスオールアップ(小)
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この世界の平均はわからんが強い……のか?
この宝剣召喚ってのは俺が持っていた御剣家の能力ってことでいいんだろうか……?
自然と話せてたのはこの異世界言語理解か。
攻撃力防御力、運とHPMPはまんまとして……魔力は魔法攻撃力、精神力は魔法防御力って感じか?
つーか、妙に運低くないか!?
「自らのステータスの確認が終わったら、こちらの水晶に触れてくだされ!自動的にステータスが記録されますので!」
言われた通り水晶に触れると、少しだけ青く光り紙が出てきた。そこには自分のステータスが記されていた。
なんだかレシートみたいだなと思った。
紙を貰い全員分終わるまで待っていると、驚くような声が聞こえた。
「全ステータスが1000!?それも職業勇者とは……」
1000!?それで驚いてるってことはこの世界水準でかなり高い数値ってことか……それが全てのステータスとはそいつはとんでもないチートだろうな。
そのステータス1000の奴は……ああ、あいつなら俺でも覚えてるぞ。
確か絵に描いたような無自覚系ハーレム主人公の……不知火緋色とか言ったか。もしも異世界召喚されたらこいつは絶対勇者になるだろうなとか思ってたがマジでなったかコイツ
「流石といいますか……ステータス1000、しかもそれが全てのステータスでなど……」
「すげえな、アイツ……」
ふと、気になったことを口にする。
「そういや海斗、お前のステータスってどんなんだったん?」
「ん?えーっと、『ステータスオープン』……こんな感じだ。」
半透明の板が俺の前に現れる。
が、しかし俺は『ステータスオープン』とは口にしていない。つまり……
「それ、自分以外にも見せれんのか?」
「あぁ、試しにやったら出来た。」
だったらこの方法でやった方がよくねえか?と思ったが水晶の方が何かと都合が良いのだろうと納得しておくことにした。
えーなになに……海斗のステータスはーっと……
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カイト=セラLv1 聖女 年齢17
HP 1000/1000
MP 3000/3000
攻撃力 100
防御力 100
魔力 3000
精神力 3000
運 3000
取得魔法
神聖魔法Lv5 光魔法 Lv5 回復魔法LvMAX
装備
頭 なし
胴体 学校のブレザー
腕 ミサンガ
脚 学校のズボン
靴 学校の革靴
アクセサリー なし
武器 なし
スキル
女神の敬愛 回復効果が10倍になり、状態異常にかからなくなり、即死効果を無効化し、怪我や病気で死亡しなくなる。
職業
聖女 Lv1
技能
聖女の涙
回復効果が10倍になる。
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…………どこから突っ込めばいいのやら。