表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/52

★初フィールド ~魔力弾とレベル~

 10羽目のウサギを枝で撲殺し終える頃には、この作業にも大分慣れて来た。

再びクエスト終了を知らせる小竜が現れ、報酬を私達の手元に置いて飛び去っていくのを見送る。



☆クエストクリア☆

魔物を狩ってみよう!  報酬 200ゴールド / 経験値10



「りりん。」

「なーにー?」

「同じ基礎クエストなのに、報酬の経験値が先程のものより少ないのは何故かね?」

「ああ、それはメイン職じゃないからだと思う。

 今のクエストは武芸者のだから……。」


 そう言われてみると、先程のクエストは私がメイン職に選択した探索者のものだ。

成程。

メイン職でクエストを受けないと経験値が半減してしまうと言う事か。


「ただ、3回こなせばレベルが1になるんだよね。

 だから、ちょっと損した気分になるけどやった方が良さそう。」

「ふむ?

 理由を聞いても?」

「戦闘もだけど、採集するのにも体力使うのは体験して貰った通りなんだけどさ。

 この体力とか精神力って、各職のレベルを上げると増えていくみたい。」

「成程。

 取り敢えずは、1レベルまで上げておくと行動できる量が増えると言う事か。」

「そそ。

 2レベルまでは結構楽かも。」

「了解した。」


 私は、レベルを上げる必要性について納得すると、次なる教えに気持ちを切り替える事にした。

次のクエストは、名前こそ先程クリアしたばかりのクエと同じものだが、内容はわずかに違っている。

先程のは、『攻撃』して倒すだったものが、こちらは『魔力弾』で倒す事になっている。


「次は、『魔力弾』でウサギを倒すね。

 実は、こっちの方があんまりコツは要らない☆」

「そうなのかね?」

「だってねぇ……」


 りりんはそう言いながら、丁度リポップしたウサギに手を向けると「魔力弾!」と小さく叫ぶ。

たったそれだけで、不可視の力を叩きつけられたウサギは小さくバウンドして地に伏した。

あんまりにもあっさりした魔法(?)に思わず、口をポカンと開けてしまう。


「手を、相手の攻撃を当てたい場所に向けて『魔力弾』っていうだけなの。」


 「簡単でしょ?」と笑う彼女に、頷きながら私も同じようにその魔法を使ってみる。

魔力が体を巡る感覚も、抜けだしていく時特有の微かな虚脱感も何もない。

ただ、呪文と言うのも躊躇われるほど簡単な言葉一つで、ウサギはあっさりと地に伏した。

拍子抜けするほど簡単だ。

私の世界では魔力の操作が出来ないと、魔法を発動する事も魔法薬を作る事も出来ないのだが……。

そうは言っても、今まで彼女から聞いた話で理解できている感じだと、魔法の無い地球世界では魔力の循環などを感じる機会はないのだろう。

ソレを考えるならば、どうしてもこんなものになるのかもしれない。


 それにしても、手を向け声を出すだけだとは拍子抜けにも程がある。

これならば、2歳になる私の妹にも容易に使えそうだ。

その事に少し怖さを感じる。

妹は、既に無意識化ではあるものの魔力操作も覚えてきており、いつ魔法を使いだしてもおかしくない状態だ。

それこそ、魔力を使っているつもりもなく今のような真似をしてしまってもおかしくない。



――今のうちに、何か手を打っておいた方が良いか。



 その手段をどうするかは後で考える事として、心の中にメモを取る。


「拍子抜けするほど簡単なのだな。」

「キーワードが必要なのはちょっと照れ臭いけどねー!」

「言えてる。」

「精神力が1になったら、少し休も。

 回復アイテムは持ってないんだけど、少し座ってると回復するからさ。」

「了解。」


 私の選んだ探索者の精神力は10だ。

どうも精神力や体力が0になると、一時行動不能になるらしい。

9羽をあっさりと狩ると、精神力が回復するのを待つ間2人揃って草むらに腰掛けて、スキルのリストを開いて見る事にした。

スキルを見たいと思うとメニューが眼前に現れるのではなく、脳裏に思い浮かべる様な形で認識できる。

メニューが眼前に現れるタイプだと、一緒に見ながら相談が出来るのだがそうでない物は仕方ないと諦めて、互いにこの後どういったスキルを取るか相談をはじめた。


「実は、商売人のスキルは取っちゃった。」

「料理かね?」

「うん。

 結構体力の消費が激しそうだから、自分で作れる方がいいかと思って。」

「私は君の料理が疑似的とはいえ、食せるのはとても嬉しい。」

「喜んで貰えてなにより♪

 レベルが上がる毎に、スキルのレベルを上げるか新しいスキルを取るか選べるんだよ。

 ただ、後になる程レベルが上がり辛くなるから欲しいスキルは早めに取った方が良さそう。」

「ふむ。

 それも込みで、レベルを上げる事を君は薦めている訳か。」

「ソレモアル。」


 どうやら、体力や精神力が上がると言う理由のほかにあったソレを、すっかり言い忘れていたらしい。

視線を逸らしつつ誤魔化すようにニシシと笑う彼女に、思わず頬が緩むのを感じた。

誤魔化し笑いすらも可愛らしいと言うのはもう、反則なのではないだろうか?

2018/5/10 加筆・修正を行いました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ