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いせてん!白黒大戦!  作者: 遊路
第一章 イナホ村編
8/16

第八話 備えあれば・・・

旅の準備回です。




 花子こと、ハナから勇者についての情報を聞き出そうと思ったが、召喚されてすぐに飛び出したので、本当に最初の説明くらいしか知らなかった。


 ハナ曰く。勇者たちはレベルというものがあり、経験値次第でどんどんと身体的に強化されるという事。


 勇者たちの目的は相手陣営の王都陥落。または、王を暗殺するという事。


 目的が達成されれば、女神から好きな願いを3つ叶えてもらえるという事。


 白の国の勇者はすべて15歳前後の日本人で83人ほどが男、17人が女という事。


 ハナが白の国の王都を離れる時点では少なくとも、勇者たちは単独行動を好んでいたという事。


 そして、白の女神は姿を見せずに声のみが頭の中に直接響いていたらしい。


 つまり、まとめると。100年ごとにそれぞれの国で100人ずつ。15歳前後の少年少女の勇者たちが召喚されて、相手陣営の王都陥落か、王の暗殺という事が行われて来たものの、今に至っても達成されることなく勇者たちが諦めて寿命で死んで終わるというのが現状ということだ。


 どうやら、女神の用意した3つの願いに魅力を感じていない為に途中で諦めてしまうのか。少年少女を異世界に連れてきて、物騒な殺し合いをさせるという事に無理があるか。とにかく女神たちの目的はわからないが、上手くいっていないという事だ。その事に対して、怒りはないのかね?


「そういや、召喚される時って、無理やりなの?」


「んっと。私の場合は、夢の中に女の人が現れて、エルフの居る世界に来ないか聞かれましたね。もちろん速攻でOKしましたけど」


「一応自分の意思で来ているという事になるのかな?」


「どうですかね?なんせ100人も居ますし。仲良くなろうという空気も一切感じませんでしたから、お互いどういう風にこの世界に呼ばれたか。なんて、話すこともありませんでしたね」


「一年経って、現在の戦況はどうなっているんだろうなぁ」


「どうなっているんですかねぇ?」


 さて、ハナの話を聞いたが、勇者たちが召喚されて何をしようとしているのか。勇者たちの年齢層が15歳前後とかなり若い事がわかったわけだが・・・


「やっぱ、一度は王都に行ってみないとダメかなぁ?」


「えー?王都に行くんですかぁ?見つかったら面倒ですよぉ。このままこの村で平穏に暮らしましょうよぉ。キャスもいるし」と、明らかに嫌そうな顔をするハナ。


「私は出産がありますので・・・」と、残念そうな顔をするリサ。


「私もだねぇ」と、特にどうでも良さそうなメル。


「・・・あなたの子は私が守る」と、何かを決意したカエデ。


「私はあなた様について行くだけです!」と、力むキャス。


「あ、キャスが行くなら、私も!」と、さっきの嫌そうな顔をころりと変えるハナ。


「まあ、正直。ひとりのほうが楽だからなぁ・・・。キャスとハナは村を守ってくれる?」


「え・・・。そうですか・・・。お供させて頂きたいのですが・・・」


「キャス。一緒に村を守ろう!これはね。私たちにしかできない事だよ!なんせ、この村の80人もの娘が一斉に出産することになるわけだし」


 言われてみると、ほんとカオスな状況だよな・・・。80人の私の子か・・・


「そ、そうですね!ユーロ様の奥方様たちやお子様を守らなくては!」


「う~ん。でも、やっぱり2人だけだと不安だなぁ・・・」


「確かにハナの言う通り。この村全体を守るには人手が足りないよなぁ・・・」


 何かいい方法は無いか、しばし悩む。


「いっそ、結界が張れればなぁ・・・。ファンタジーでよくあるエルフの里の【迷いの森】みたいなの」


「あ~。そういうのがあるねぇ。ゲームでしか知らないけど」


「エルフの里の【迷いの森】ですか?すみません。聞いたことないですね」


「ああ。そういや、魔法自体この世界じゃ使えないんだったね・・・」


 私はなぜかそれっぽいのが使えるけど。


「あれ?ユーロ様は治癒魔法使えるから、他のも使えるんじゃないの?」と、ハナが不思議そうな顔をする。


「いや。あれね。魔法かどうかも良くわからないんだよねぇ」


「試しにやってみたら?」


「たぶん無理だと思うよ?なんか、複雑なやつは使えないみたいだから」


「ダメもとだって!レッツゴー!」


 ハナに言われて、村の中心に立って、結界をイメージしてみる。


「うーん。何も変化ないねぇ」


 10分ほど粘ってみるも、変化はない。やはり、複雑な感じの魔法?は使えないようだ。


「あっ・・・」


「え?どうしたの?」


「いや。村を高い山の上に・・・は、高山病とかの心配がありそうだから・・・。村の周りを山にしてしまうというのはどうだろう?」


「山に?」


「うん。ちょっとやそっとじゃ登れないようなの」


「それって、この村に日が差してこなくなるんじゃない?」


「・・・だね」


「城壁くらいにしとく?」


「それで大丈夫そう?」


「あっ!城壁内を広めにとって、迷路みたいにしちゃったら?」


「出口のないようにしとけば、さらに良さそうだな・・・」


「秘密の出入り口?」


「いや。私だけなら、たぶん城壁を越えられるからさ」


「え?そうなんだ・・・」と、ハナが人外を見るような目で見る。治癒を使える時点でこの世界では人外なのだろうけどね。


「いや。出口を無くすよりは、別の入り口に繋がるようにした方が良いか。東西南北に入り口作って、それぞれの入り口に戻ったりするやつ」


 そんな感じで村の周りを城壁で囲み、その周りに迷宮を作ることにした。おばば様は行商人が来なくなることに関してのみ不安を感じているようだったが、村を造り直した時に自給自足出来るようにしていたので問題は無い。それに、永久にそうすると言うわけではない。あくまで私が王都で情報収集して戻るまでの間の備えである。


 私の人外な能力で、1週間ほどで完成させた迷宮はかなりいい出来だ。城壁も分厚くしておいたので、ドラゴンが突進して来てもビクともしないだろう。まあ、空から来る可能性もあるけど、幸いなことにこの辺にはドラゴンは生息していない。でも、やっぱり戦力的に不安だったので、キャスとハナを1ヶ月かけて鍛えてから村を出ることにした。


 1ヶ月後。


 細身ながらも、良い筋肉をした2人のアマゾネスが誕生した。




石橋をオリハルコン製に架け直して渡る。そんな主人公どうでしょう?

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