第三話 おばば様の策略
主人公は流されやすい性格というか、頼まれたら断れないようですね。特に女性の頼みは。
それにしても、リサの目は何で治ったのだろう?アレすると治癒効果があるってことなのか?手をかざしても効果が無くて、アレしたら治るってなんてエロゲだ?つか、懐かしいなエロゲ。転生3回目で久々に思い出したわ!まあ、前の2回もエロゲ展開が無かったとは言わないけどさ・・・
「それじゃあ。行きましょうか!」
「行こう行こう!」
リサとメルに連れられてどこに行くのかというと、おばば様の所だ。なんでも、結婚するにはおばば様の許可がいるとかなんとか。いや、別に許可はいらないけど、今までお世話になって来たから報告をしたいんだったかな?まあ、どちらでもいいが。思いっきり二人に手を引っ張られながら畑の間にある道を歩いて行った。ただ、畑仕事をしている人が畑の大きさに全くあっていない。男手を取られてしまって、畑のほとんどが荒れてしまっている。こんな状態で税を納められるのだろうか?
「おばば様ー!生きてるー?」
「こら!メル!おばば様になんてことを!」
「生きとるわい!なんじゃ?メルとリサか。それに・・・。どこのもんじゃその青年は?」
おばば様の家は結構な大きさで立派な木造住宅だった。リサとメルの小屋とは大違いである。それもそのはずで、おばば様はこのイナホ村村長の母親だ。まあ、村長が勇者の使者によって徴兵されていてしまったために、このおばば様が村長代理としてこの村を仕切っているそうなのだが。
おばば様は玄関先で薪割りをしているところだった。メルに大声で呼ばれて、休憩がてら近くの切り株に腰を掛けた。
「おばば様!聞いて驚け!この人はメルとお姉ちゃんの旦那さんだ!」
「こら!そうじゃないでしょ!おばば様。この人はユーロさんと言って、勇者様たちと同じ世界から来たらしいですよ。見ての通り。私の目を治してくれました」
「なんじゃと?勇者様たちと同じ世界から?それにリサの目を治した?そんな夢物語のような話・・・」
「確かめてみます?おばば様。そういうお顔をされていたんですね。その色は何色って言うんですかね?良い色のお召し物で。先ほど道端に咲いていた花と同じ色ですね」
「ほう。確かにこの布地はその辺にも咲いているイナホの花を染料にしておる。本当にお主の目が見えるようになったのじゃな・・・」
おばば様は何かを考えるようにして私の顔を見つめている。
「のう。お主。ユーロと言ったか。お主さえ良ければ、村で歓迎会と二人との結婚祝いをしてやりたいのじゃが?」
「え?歓迎会と結婚祝いですか?はあ。まあ、私は特にかまいませんけど・・・」
「うむ。そうと決まれば。アリサ!ちょっと来ておくれ!」
おばば様は大きな声でアリサという人を呼んだ。リサが小さな声で「村長の奥さんで、私の幼馴染です。名前が似てるからって、何かと良くしてくれていて・・・」と教えてくれた。
「はーい。お母さん。どうしました?お昼の準備ならもう少しで終わりますけど?」
家から出てきたのはリサと同じくらいの背格好で黒髪ポニーテールの美女だった。さすが村長の嫁。村一番の美人なのだろう。だが、胸の大きさはリサが勝っているな。
「あら?お客様ですか?メルちゃんにリサも一緒に・・・旅のお方ですか?」
「そちらの青年はの。リサとメルの夫になるユーロという勇者様だそうだ。そこで、歓迎会と結婚祝いをうちでしてやろうと思ってな」
「まあ。リサ!結婚するの!?おめでとう!でも、メルちゃんの旦那さんは?一緒に来なかったの?」
「アリサさん。私の旦那さんもユーロさんだよ!」
「え?どういうこと?」
「アリサ。実はね。昨晩、私とユーロさんは結ばれたんだけど。メルもユーロさんとどうしても一緒に居たいと言うから。二人でお嫁さんにしてもらったの」
少し頬を赤く染めながら、言わなくても良い報告もしつつ、私はまだOKしていない事をすでに決定されている事のように堂々と話す。まあ、結婚祝いを受けたのでわかるように、すでに諦めているのだが。
「え?でも、二人とも嫁に。って、貴族様じゃあるまいし。ダメなんじゃないの?」
「え!?ダメなの?」
「大丈夫じゃよ。別に結婚相手は1人じゃなくてはならないなんて法はないからのぅ。白の女神様もそんなことは禁止しておらん。むしろ、産めよ!増やせよ!とおっしゃっておる」
「お母さんがそうおっしゃるのなら、そうなのでしょうね。そうだ!こうしちゃいられない!村のみんなに教えないと!」
「うむ。各家で一品料理か、食材を持って夕方までには集まるように言っておくれ。あと、酒はうちで出すとの」
「わかりました。それでは行ってまいります。リサ。本当におめでとう。メルちゃんもね。それではユーロさん。ちょっと失礼しますね」
「いえ。急な事ですみません」
「何を言っておるのじゃ。わしが決めた事じゃから気にするでない。それよりも、時間まで話を聞かせてくれんかの?」
「あー。えーっと。話と言っても、あんまりすることが無いからなぁ。それよりも、村では男手が足りてないと聞いたんですが、そうなると狩りも出来てないんじゃないですか?」
「うむ。確かに簡単な罠を仕掛けることくらいしかできとらんから、小さい獲物しか捕れてなくて肉不足になってきておるな」
「それでしたら、私がちょっと狩りに行ってきます?実はこの世界に来たばかりなんで、どう動けるのか、どれくらい力があるのか試してみたいんですよね」
「ほう。確かに狩りに行ってもらえるのなら、ありがたいのじゃが。この世界に来たばかりでは、碌な獲物も捕れないんじゃないのかね?」
「おばば様。たぶん大丈夫だよ!なんせ、ユーロさんは熊を簡単に倒しちゃうくらいのすっごい勇者様なんだから!」
「だから。勇者じゃないと思うんだけどなぁ。昨日の晩御飯の時に聞いた話だと、一年前に勇者召喚の儀式が行われたんだろ?そのあとすぐに勇者様の使者というやつが男たちを徴兵して行った。ならば、その一年後に現れた私は勇者様たちとは別口だろう」
「えー!でも、物語で聞いた勇者様よりも凄い感じがするよ?」
「そうね。私の目を治してくれた力なんて、本当に伝説で語られるような物だと思いますし」
「いや。リサ。だからさ。その目を治したのって、昨夜のアレの時だろ?そうなると、普通に治療できるわけじゃないだろうし。その事は内緒にしたほうが良いと思うんだけどな」
「昨夜のアレ?なんじゃ。何か特別なことをしたのか?」
「え?何々?何をしたの?メルもそれしたい!」
「え?いや。その。あの。ユーロさんどうしましょう?」
「え?どうしましょう。って、そりゃあ。正直に話しておくしかないんじゃない?そして、他の人たちには内緒にしてもらって」
「なんとなく想像は付くのじゃが。まあ、内緒にしておいてやる。その代わり、後で頼みを聞いてもらえんかの?」
「え?何々?おばば様。何でわかったの?ねえ。お姉ちゃん!何なの教えて!」
「えっとね。メル。ちょっと耳を貸して・・・」
リサは仕方なく。メルに小声で教えてあげたようだ。そしたら、メルの顔が真っ赤になって行く。あっ!鼻血だした!
「きゃ!メル!大丈夫?」
「ふぉっふぉっふぉっ。メルにはまだ刺激が強かったようじゃのぅ。アリサに結ばれたなんて話しておったから、なんとなくそれじゃないかとは思ったのじゃが。それにしても、夜伽で治癒をするとはのぅ。なんて、スケベな能力じゃろ」
「そうですね。おばば様のようなお年寄りや子供には絶対に使えないですねぇ。刺激が強すぎるというか、倫理的にも危ないというか」
「指を突っ込むだけじゃダメかのぅ?尻の穴なら、年寄りも子供も問題ないじゃろう」
「うーん。その辺は実際に試してみない事にはわかりませんけど。そんな都合よく試せる相手居ますかね?」
「実はひとり心当たりがある。生まれてすぐに火傷を負ってしまった子でな。半身がいまだにただれてしまっていてな。今年15歳になるから、別に夜伽をしてもらっても構わんと思うのじゃが・・・」
「15歳はギリギリアウトかなぁ~。まあ、お尻の穴に指を入れて治癒できなかった場合。火傷をどうしても治したいと本人が願った時、考えるということで」
「え!?ユーロさん!浮気ですか!?」
「え!?浮気しちゃうの!?」
「いやいや。治療じゃよ。治療。それに万が一。子供が出来たとしても、村としては助かるからかまわんし」
「いやいやいや。私はかまいます!」
「そうだ!そうだ!次は私の番だ!」
「なんじゃ?お主らは村がどうなろうと自分たちさえ良ければかまわんというのか?」
「え?それは・・・その・・・。すみません。村の為でしたら・・・我慢します」
「ううう・・・。メルも我慢する・・・」
「うむ。よく言った!というわけでじゃ。さっそく・・・」
「いやいや。早速じゃないでしょ!確かに試したいですけど、そんな急に言われても心の準備がですね・・・。それにほら!まずは今晩の為に狩りに行ってこないと!」
「まあ、そうじゃのぅ。あの子の意思も確認してからのほうが良いかのぅ・・・。じゃあ、メルやちょっと・・・」
「それじゃあ。私は狩りに行ってきますね」
「はい。いってらっしゃい。あなた。きゃっ!言っちゃった」
なんか、思い切って奥さん風を吹かしてみたらしい。真っ赤になっているリサが可愛いなおい。なんか、成り行きで、しかも強引に結婚が決まったけど。これはこれで良かったかもしれない。
森に入ると、ちょっと全力を出して動いてみる。もちろん魔法を使う時のイメージを併用しつつだ。
何頭かの鹿や猪を狩りながらわかって来た事がある。どうやら、魔法のイメージはしているけれど、魔法とは根本的に何かが違うようだ。そもそも、この世界には魔素が無い感じがする。前の世界の時はスキルの力で魔素を感じる感じない以前の問題だったけど。その前の世界では確かに魔法を使ったあとの飢餓感的な魔素不足を感じない。この世界に来てから、スキルの力とは違う何かを得たのだろうが、その力は攻撃や物を浮かせるような単純なものは出来て、洗浄魔法や治癒魔法やアイテムボックスのような複雑なものは出来ないということがはっきりしてきた。だが、リサの目を治せたのはいったいどういうことだろう?治癒魔法は複雑で出来ないのに。アレしたら大丈夫。意味がわからない。
狩った獲物の数が百頭近くになって来たのを見て、さすがに捕り過ぎた気がしてきたので、狩りを終え。獲物をその辺の木を切って適当に組んだログハウスの床的な何かを魔法的な何かで引っぱって村に帰って行った。
結局。この力が何なのかはわからないが。便利なので良いだろう。そのうちこの世界の神様とやらに会えるかもしれないし。その時にでも聞いてみればいいかな?神様ならさすがに何なのかわかるだろう。
村に帰るとさすがに道をはみ出してしまうので、少し浮かせながら、おばば様の家に向かったら、帰って来た私を見ておばば様が腰を抜かしてしまった。やはり捕り過ぎたようだ。しばらく狩りが出来なくなると思うので謝罪をしたら、おばば様は「どうせわしらじゃ大物は捕れん」と許してくれた。そして、すでに祝いの準備をしていた村の女の人たちに歓声を持って迎えられた。手伝いに来ているのは村の奥様方で50名ほどだった。30代後半から40代前半だろうか。割と若いな。むしろ、おばば様の年齢の人がひとりもいない。なぜだろう?
「なんか、おばば様くらいの人がいませんね?」
「うむ。リサとメルの両親が流行り病で亡くなったのを聞いたじゃろう?」
「はい。確か一年半前ですよね?」
「うむ。その年にな。わし以外の年寄りは皆。逝ってしもうたのじゃ・・・」
「そうだったんですか」
「まあ、年寄りは早く逝った方が子供たちも助かるから良いのじゃが。子供たちも何人か逝ってしもうたし。孫たちも何人か逝ってしもうたのは本当に辛かった・・・」
「医者は・・・いないですよねぇ」
「そうじゃの。村に医者は滅多にいないの。大きい街まで行かんとな」
「じゃあ。もしも例のアレが成功したら、しばらく・・・そうですね。男たちの事がわかるまでの間くらいはここに残りましょうか?」
「なんと!それはありがたい。それじゃあ。さっそくじゃが。例の娘、名前はカエデという。カエデは火傷が治るなら、どんなことをされても構わないと言っておる。それに子供を産ませて貰えるのなら、夜伽のほうでも構わないとな」
「そ、それは・・・。よっぽど火傷のことで辛い思いをされて来たんですねぇ・・・」
「うむ。村のほとんどのものはカエデの火傷の事を何にも言わんが、同世代の子供たちはなぁ。言葉にこそ出しはしないが、避けておったようじゃのぅ」
「どう接していいのか。わからなかったんでしょうねぇ」
「そうじゃのぅ。それでも大人たちがその事に気が付いた時にはもう。カエデの心は閉ざされておった。家から滅多に出ず。畑仕事もまだ暗いうちに済まして、明ける前に家に戻るほどに徹底してな」
「カエデちゃんのご両親は?」
「母親は流行り病で亡くして。父親は徴兵されてな・・・」
「今は守ってくれる人が誰もいなくなって、寂しいでしょうねぇ・・・」
「村のみんなで守ってやっているつもりじゃが。それとはまた違うのじゃろうなぁ・・・」
「おばば様!カエデちゃんを連れて来たよ」
「おお。カエデ。来たか。ほれ、そちらの方がさっき言ったユーロ様じゃ」
「・・・この人が私の火傷を?」そう言って現れた子は、黒髪を長くのばして半身を隠すようにしている。なんか、ヤンデレ系の雰囲気をプンプン漂わせているな・・・。でも、無事な方の顔を見るにかなりかわいい子だ。
「うむ。治せることは確実じゃ!ただ、他の者たちにも試せる方法を先に試してからになると思うがの」
「・・・火傷を治してくれる上に子供も授けてくれるなら、なんでもいいわ」
「えっと・・・。子供のほうはまだちょっと・・・」
「それなら、お姉ちゃんと話しあって、問題ないってことになったよ!」
「え?問題ない?」
「うん。どの道お姉ちゃんと私にも子供を授けてもらうんだから、村の女性たち80人くらい問題ないって!むしろ、大家族みたいになって連帯感も生まれるだろうし、村の少子化問題も解消して一石二鳥だね!」
「ん?80人?何それ?」
「うむ。その事なのじゃが。村の外の者たちにお主の事を黙ってやる代わりに、村の少子化問題を解消してもらおうと思ってな。なあに村の男手のことがわかるのには、少なくとも1年以上はかかる。その間に皆に子供を授けてくれれば、しばらくは安泰だ。なんならそのまま第二子第三子と授けてもらえると尚ありがたい」
「えっと・・・。なんかおかしな方向に話が進んでいませんかね?」
「男たちが無事に帰ってくる保証が無い以上。今いる村の子供を産める娘たちには子をどんどん産んでもらって置かないとな。子供さえできれば、あとは隣村から嫁なり、婿なりを貰えば何とかなるに違いない!」
「・・・そんなことより。ユーロ様。行くわよ」そう言って、カエデちゃんが私の腕を掴んでどこかへと引っ張っていく。
「うむ。まずはカエデ。お主の火傷を治してもらって、子供も授けてもらうと良い」
「・・・うん。がんばる」
「えっと・・・。たぶん頑張るのは私になるし、どこに行くの?」
「・・・私の家。さすがに外では恥ずかしい」
「いやいや。さすがに外ではしないよ?」
なんか、本当にあれよあれよと流されている。どうしてこうなったのだろう?
壮大なハーレムの始まり始まり。