6
その女は開口一言目にこう言った。
「コラァ!!馬鹿なのか!?お前たちは!!」
水戸くんはキョトンとしている。しかしアルカロイドはオークと戦っている時より、顔を青くしていた。そして3人は同時に呟く。
「「「ごめんなさい、シトリ先生」」」
シトリ先生を含めた5人は山を降りた。ダイキと水戸くんは再会し、2人は泣いて和解していた。街まで2人を送り、アルカロイドとシトリ先生は学園に向かって歩き出す。3人の顔は、オークに勝ったというのに暗い。するとシトリ先生は3人に言った。
「あのダイキくんに感謝しなさい。あの子が私をあそこに連れて行ってくれたのよ?」
シトリ先生は眉が無いが、きっとあれば眉が釣りあがっているだろう様子を3人は想像しながら話を聞いた。
「私が街を歩いて貴方たちを探していたら、あの子が私に声を掛けてきたの。今までのあらかたの事情を聞いて。私は間一髪で彼処に割って入り、貴方たちを救い出したってわけ」
なるほど。と3人は納得した。
ご都合展開の裏では、あのダイキが奮闘していた時間があったのだと知ったからだ。山の麓で待っていろ、と言ったが。ほんとに待っているわけでは無く、学生の私たちを心配して街まで行き援助してくれる人を探してくれていたらしい。やれば、出来るじゃん。3人はダイキに心の中で呟いた。感謝はするものの、あいつが招いた自体に私達は巻き込まれた。ならば、これはお互い様だな。アルカロイドの誰もがそう思っていたのである。
シトリ先生は、そんな3人の心情を知ってか知らずか溜め息を一つ付いた。貴方達はこれからどうなっていくのかしら、って顔でアルカロイドに微笑みかける。
夕方の帰路。アルカロイドの3人はシトリ先生に少し好意を持った。探しに来てくれて、助けてくれて。信頼出来るヤンキー先生だと思ったからだ。(それまでは、ただの口煩いヤンキー先生くらいにしか思っていなかった)
3人はお互いに笑いあった。
こんな冒険や戦いをこれからするんだねって。これからもっともっと、強いヤツらと戦うんだねって。でも、それはまだまだ先の話だと3人は知っていた。
夕日に影が伸びていく。
アルカロイドは初めての経験に胸を高鳴らせて、シトリ先生の後ろをひょこひょことついて行った。
アルカロイド.完.
.