表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月の裏側で会いましょう  作者: コウ
アルカロイド
5/12

4


泣き虫は、いつの時代もいじめられた。

小学五年生は、まだまだやんちゃ時代で。男の子と言えば女の子に比べて、まだまだ幼かった。友人を助けたい。アルカロイドの3人の少女達に助けを依頼した男の子は、強い瞳でそう言った。



とりあえず3人は制服を汚せないので、買ったばかりの比較的動きやすい服に着替えた。買ったものや武器以外の荷物は街の駅付近にあるロッカーを利用し男の子に着いて行く。

街の中を歩いて行く男の子に、ふと、リリィが声をかけた。

「ねぇ、あなた名前は?」

男の子は、ちらりと3人を見て言った。

「ダイキ」


苗字も名乗るのが礼儀でしょ?とナズナが言うとダイキは「お前たち、コードネームなんだろ?だったらこれでおあいこだ!」と言い放つ。そう言われてしまえば、こちらは何も言えないので。3人はコードネームをダイキに告げた。


ダイキの話は街を抜けるまでに聞き終えた。助けたい友人の名前は水戸くん。彼は心優しく気弱な少年で。少しからかわれやすい少年らしい。今日もいじめっ子にからかわれていると、どこからか迷い込んだ夢の住人が突然現れた。いじめっ子達は、すぐさま逃げたが。気弱な水戸くんは怖気付いて逃げられず、夢の住人に捕まってしまったと言う。


「あいつら人間の子供を、夕飯に出来るって喜んでやがった。夕方までに水戸を助けねぇと」

思い悩んだように、しかし決心が見える調子でダイキは話していた。



「そうだね。君が虐めたから連れてかれたんでしょ?」

ネキアが言う。ダイキは静かに頷いた。

詳しい話を聞いているうちにアルカロイドは分かってしまったのだ。おそらく逃げて隠れていた時に。水戸くんが連れて行かれ。そして夢の住人の言葉を聞いていたダイキが、責任を感じて特殊警察を探していたのだと。(正確にはアルカロイドは特殊警察の卵だが…)







街を抜けると山があった。夢の住人はここに水戸くんをつれて行ったらしい。ダイキが後をつけて確認していたのを頼りにアルカロイドは山に入る。ナズナが口を開いた。

「ところで夢の住人の種類は何?」

ダイキは「オーク」と答えた。

ネキアは詳しくないため(あまり勉強に積極的ではない為)、おーく?と聞き返す。

するとリリィが答えた。

「顔は豚に近い二足歩行のモンスター。主に武器を使ってくるわ。棍棒やジャックナイフを」

簡潔な回答にネキアは「あ、こないだ。教科書で見たやつか」と答えた。リリィは情報処理やデータ分析が得意な為、モンスターの事も詳しい。(授業で出たし)

ナズナは「早くも実践かー!わくわくするね」と答えた。



すると、3人の会話にダイキが頭を捻り足を止める。

「お前ら教科書とか授業とかって何だよ。特殊警察だろ?だって、生徒は学園から出られないもんな?」

まったくもって分からないという声に3人はニヤニヤしながら答えた。










「いやいや、生徒だよ。抜け出してきただけ」

ダイキは小学生ながらに絶句した。そして不安になった。大丈夫なのかと。
















ダイキにオークが入ってたと思われる雑木林。その奥に洞穴が見える。ところまで連れてきてもらい。そこで別れた。ダイキは子供だしアルカロイドの3人も子供を2人も守る自信がなかった。ダイキは山を降り麓で待機している。3人はそれぞれの武器を手に雑木林を抜けて洞窟に入った。

そこはオークだろうと思われる豚小屋の中のような、異様な匂いで包まれていた。ナズナがうえっと言うと、リリィが答える。「間違いなくオークよ。教科書に書いてあったわ。豚の仲間だから、家畜小屋のような異様な匂いが住処には充満するんですって」それを聞いたネキアは、じゃあ。焼き豚にして食べようと笑う。ナズナとリリィは笑えなかった。何故ならばネキアは他と比べて考え方が突飛だと知っているから。今のも本気なのだろう、と思うと何も言えなかった。







しばらく歩くと段々と声が聞こえてくる。

夢の住人は大抵口を利き、一応脳みそがある。だからこそ、厄介な相手であり倒される存在だった。3人が耳を澄ましていると。

「今日はいい日だ、子供の肉が食える」

「揚げ物にするか?」

「いやいや炒めものにしよう」

「いやいやいや、煮込もう」

という、嫌な会話が聞こえてくる。

その会話のBGMとして子供、きっと水戸くんだろう。助けて、という泣き声が響いていた。












.

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ