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月の裏側で会いましょう  作者: コウ
アルカロイド
3/12

2



青空の下にベンチに寝転がる女の子が1人。いや、2人。いやいや、3人いた。そよそよと吹く風はとても心地よく。鳥のさえずりは美しい。夢心地の少女3人は、皆同じ制服を着ていた。この学園の制服。白いブラウスに赤いリボン。黒いスカートからは惜しみもなく足を出している。暗い紫色の髪でロングの少女はスカートが翻らないよう、本を置いていた。しかしその傍には2本の日本刀が置いてある。

もう1人は金髪の髪をしていて、それをツインテールにしていた。太陽に反射してキラキラと輝いている。しかし風に揺れるスカートの両太ももには2つの拳銃が備わっていた。

最後の1人は、2人より短い髪の長さで毛先を首元辺りで内側にくりんと巻いている。そんなワインレッド色の髪は芝生の上に置かれたハンカチの上を舞っていた。そんな彼女の傍には大きな鎌が置いてある。漆黒の鉄の光の中に繊細な細工がある為、武器用だと判断できた。


少女危なそうな、この3人は。そう、特別科のはみ出し者。チーム、アルカロイドのメンバーである。





戦う時、1人では危なく。すぐに死んでしまう。だから、チームを組み学園で過ごしていくシステムなのだが。それは最初の3カ月間、先生達が見て判断し構成する。

この3人達は入学した直後から3カ月間、ずっと問題を起こしていた。(その話はまた後ほど)

その為、全ての先生の意見が一致し厄介者として一つに纏め上げられアルカロイドという名前を付けられた。アルカロイド(毒を持った少女たち)という意味を秘めて。



「こらぁあ!!!」

優雅に昼寝をしていた3人たちの間に入り怒鳴る声が一つ。少女達は慌てて起き上がり武器を手に持つ。しかし、それはすぐに降ろされた。


「なんだ、先生か。驚かさないでよ」

そう言って銃を下ろしたのは金髪ツインテールの少女。

先生は更に怒鳴る。

「なんだ?じゃないでしょ?!ナズナ」


次に日本刀を、両手から鞘にしまう濃い紫髪のロングの少女が欠伸をする。

先生は更に突っ込む。

「欠伸してる場合じゃないでしょ?!リリィ!」


そして先生がワインレッド髪の少女を見た。少女は鎌を持ちにっこり笑って言う。

「こんなに天気良かったら、寝ないと勿体無いですよ?」

先生は落胆したようにため息をつく。

「力抜けるわよ、ネキア」


これが、この少女達の第二の人生の

コードネームである。













先生、怒ってたね。

そう呟いたのはネキアだった。怒られたのも、もろともしない清々しい声だった。

ナズナは怒られた事でテンションが下がり、げんなりしている。ツインテールにも元気が無いみたいだった。

「くそー!!あのシトリ先生め!!自分だって前髪くくってパイナップル髪型の眉なしヤンキー先生じゃん!!」

するとリリィが言う。

「でも課外授業中に寝たんだし、私達にも落ち度はあるわ」

ナズナは、しかし認めたく無いようで。ゔーっと唸っていた。


学園の外に出られない日々を初めて4カ月目。3人はなかなかにストレスを感じていた。(もちろん他の生徒の中にもいるのだが、だからと言って何もしない)





「外に出たいわね」とリリィが言うとナズナは目を輝かせて言う。

「だよね!街に行って、美味しいもの食べてー!服にアクセサリー買って買って買いまくって!」

ま、無理だけど。と付け加えてナズナは、また肩を落とした。

すると鎌を背負ったネキアが笑って言う。









「いいじゃん。やろーよ。抜け出そうよ」





少女達3人は顔を合わせて、こそこそと話し始める。そして、ひと段落ついたところで満面の笑みに変わった。




これがアルカロイドとして起こす事件の

最初の一件である。















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