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3人が眠っている頃。
職員室ではミオーネが卵を差し出し、事の経緯を校長と秘書、シトリ先生とヒイラギ先生に報告していた。
「以上が、今回の実施及び罰の詳細です」
ミオーネは眉ひとつ動かさず淡々と話した。シトリ先生がご苦労だっと労う。秘書は話していた事をノートパソコンに簡単に打ち込んでいた。後で報告書にするのだろう。
校長はニコニコと朗らかに笑ってミオーネを退室させる。ヒイラギ先生は冷や汗が出てきた。100%死ぬような場面で彼女達アルカロイドは何度も危機を回避している。これは運命が導いているのかもしれない。以前校長室で、校長と話した事が脳裏によぎった。
もしかしたら、彼女達がはみ出しものとして此処に来たのは……この世界を救う次世代になる為か…………。
元々あった眉間のシワが更に深くなるのをシトリ先生は見逃さなかった。
校長は微笑んだまま、「問題児でしたが、中々に面白い少女達ですね」と言い職員室の扉を開いた。そしてシトリ先生とヒイラギ先生をチラッと見てつぶやく。
「問題児、私は嫌いではありませんよ?」
ははっと華麗に笑い、秘書と2人で職員室を後にする。
職員室に残ったシトリ先生はヒイラギ先生に尋ねた。
「ね、ヒイラギ。あんた、眉間のシワ凄いわよ?」
ヒイラギ先生はそのまま面倒くさそうにシトリ先生に言った。
「お前みたいに眉毛が無いよりマシだ」
シトリ先生がうるっさいわね!と言い放つ。ヒイラギ先生は仕方なく、こないだの校長室での一件をシトリ先生に話した。
シトリ先生は目を見開く、しかしスグに持ち直した。
「でも、このままでは彼女達が次世代の救世主になるか…なんて分からないわ。校長は見た通り、いつも何を考えているか分からない人だもの。冗談かもしれないし。なにより、校長が救世主の一人だったってのも驚きだわ。アルカロイド……あの子たち、これからもっと大変になるんじゃないかしら」
シトリ先生は頭を抱えた。
これから私も色々巻き込まれていくのだろうと。そしてそれはヒイラギ先生も一緒なのだろうと。
職員室では、溜息が絶えなかった。
…事を知らず、寮ではアルカロイドがスヤスヤと眠っている。
そして、この事は学校中に知れ渡り。厄介な問題児アルカロイドは、“1年のくせに中々凄いな?!”という認識に変わっていた。
みんながワイワイ騒いでいる。
しかし、光がある所には影が出来るもの。
それをよく思わない人もいるのであった。
「……アルカロイド……」
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