表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

9





真夜中の森の中。大きな卵を2人で抱えつつ早く森を抜けようと早足で歩くリリィとネキア。少し離れた所からは鶏グリフィンがくちばしで突いたのであろう。木々の倒れる音とナズナの悲鳴が聞こえてくる。それを背に2人は卵を割らないように落とさないように注意していた。


「なんかナズナちゃんに悪いわね」

リリィが後ろ髪を引かれるように呟く。ネキアは、けろっと「じゃあ、早くこれを森の外に出して持って帰らないと。ナズナちゃん報われないね」と言ってのけ、それもそうかとリリィも頷いた。

長々と歩きようやく森に出れると思った瞬間…………リリィとネキアは声を揃えた。

「「………え?………」」



後ろで追いかけっこしていたナズナとミオーネ先輩が鶏グリフィンを連れて目の前を通ったのだ。きっと巡り巡ってだとは思うのだが、いきなりの事に頭が真っ白になる卵係りの2人。案の定、鶏グリフィンは2人に目を向けた。自分の卵が持ち出されている……それを知った鶏グリフィンの怒り様は凄まじかった。2人はその場に卵を置いて、そっと離れる。そして武器に手をかけた。

リリィは素早く鶏グリフィンに二つの刃を向け、攻撃する。実戦は二回目なのでゴブリンの時より早く動けていた。

一方ネキアも手に大きな鎌を持つ。合間で攻撃しようと大きく振り上げた時、鶏グリフィンが大声で叫び鳴いた。思わず耳を塞ぎたくなる声にリリィは素早く鶏グリフィンと間を空けたが、ネキアはその場で耳を塞いだ。そしてネキアの声が聞こえる。「…………あ」




落とした武器は大きい為、鎌の先端が卵に突き刺さっていた。卵はピキピキ音を立てて割れる。中からは可愛らしいひよこが姿を現した。ピィピィと鳴く姿は愛らしい……が鶏グリフィンの子供なのでデカイ。1.5mはあるだろう。ネキアは鎌を持ち直し、へへっと笑って言った。

「おめでとう。キミが第一子だ」


鶏グリフィンは自分の子との対面に感激していたが、リリィとネキアの存在を思い出したらしくすぐに怒りを露わにしていた。(なんか目がキリッと変わる)

鶏グリフィンが一声叫び鳴くと、子供も反応した。そして二匹と2人の追いかけっこが始まったのである。



















一方その頃。

追いかけっこに疲れたナズナは息を切らして鶏グリフィンの巣に戻っていた。

ミオーネ先輩とはもちろん一緒で、2人で卵を持ち出している。ミオーネ先輩曰く、「鶏グリフィンが目をつけたのだから。きっとあの卵は無事に持ち帰れない」との事だ。

鶏グリフィンとひよこ、リリィとネキアの声を聞いて鬼ごっこが始まっている事を悟ったナズナは。持ち出していて良かった、と心から思った。

足音、くちばしで突かれて倒れる木々の音を確認するとリリィとネキアは少し遠くにいるらしい。自分の苦労を思い出し、ナズナは2人に心からエールを送った。













「この辺でいいだろう」

森を抜けるとミオーネが言った。

あらかじめ森に入る前に用意しておいた荷台に卵をくくりつけて、汗を拭う。この荷台は前で2人が引き、後ろを押していくシステムだった。森を抜けると静かな夜にナズナは、一つ息を吐いた。しかし、落ち着いたのも束の間。森の中ではズザザと木の倒れる音、「「いやぁあ!!」」と叫ぶリリィとネキアの声。そして間で可愛らしい「ピィピィ」と言う鳴き声が聞こえてきた。

ぜんっぜん静かな夜では無かった。

卵をくくりつけた荷台に上から布を被せて、卵を隠す。ミオーネはナズナの方を向き言った。










「これより、鶏グリフィンを鎮めて残りのアルカロイドの2人を救出。その後学園に帰宅だ」

ナズナは、はい!っと返事をした。

そして、2人は改めて森へと潜入したのだった。
















.



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ