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4話 クラン

「ちょっと、待ってください」


 帰ろうと振り返るところで腕を掴まれた。


「まだなにか?」

「わたしは2年の白海トリと言います。ココさんを呼んだ霧乃先輩とダンジョンから出てくるのを見た物です。

 あの、ウチのクランに入りませんか?」

「ん? よけい話が見えんのだが」

「アタシ達は野良のダンジョンを潰しまわってる特殊なクランよ。

 通常ありえないダンジョン。アウトダンジョンって言うんだけど、アレは放っておくと、中からモンスターが湧き出て街に被害を出す可能性があるの。

 そう言うのを事前に防ぐことをしてる。もちろんお国の要請でね。

 で、勝手にダンジョン入るアンタを見つけたから、使えないかなって」

「だから、ひよりちゃん先輩はそう言ういいかたするからダメなんですよ?」

「ひよりちゃん言うな!」

「あの……、事情を訊くのも確かに理由としてはそうなんですが、アウトダンジョンは一人で入っていくのは危険だし、かと言って、一人でボスを撃破できる人をそのままにしておくのもって。

 だから、いっそのことクランに入ってもらって一緒に居てもらった方が安全だし、手っ取り早いかなと思いまして……」


 申し訳なさそうに言うトリ。

 ひよりはその横で腕を組んで膨れている。


「つまり、秘密なことだし、言えないならクランに入って一緒に行動しろと?」

「はい」

「……私にまったくメリットがないのだが?」

「あ、それはですね。ありますよ」

「例えば?」

「私たちは政府直属の機関になりますので、それだけの恩恵を受けられます。

 例えば学校の学費が免除されたり、お給料がもらえたり。

 アウトダンジョンで取れたモンスターの核の売却したお金もそのままいただけます。

 あとは、交通機関とかの優先なパスをもらえたり。

 いろいろ……」

「アンタ金が必要なんでしょ?

 探索者なんて金目当てか自己満でしかやる奴いないんだから。

 契約はするけど、ダンジョンに入るかどうかは自由なんだし。

 どうせ、アンタも探索者してるのは実家からの仕送りがすくないとかじゃない?」


 確かに、金が必要というのは事実だ。

 だが、理由としてはちょっとズレている。


「別に仕送り自体は足りているよ。気持ち悪いぐらいにな。

 ただ、なんというかそれに手をつけのは気が進まんだけだ。

 ゆえ、自分で稼ぎたいと思ってる。そんでもって、さっさとあのマンションから出て実家とはおさらばしたい。

 そう考えると、探索魔法少女になってダンジョンに行くのが手っ取り早いだろ?

 二十歳までしか魔法少女になれないのだから、今はそのボーナスタイムだからな」


 「なら、なおさらクランに入りませんか?」


 クランとは、魔法少女の複数人のグループのこと。

 ダンジョンを進むにも、モンスターと戦うわけだから、それなりにもけがをしたりするリスクはある。

 それをカバーするために何人かのチームで行って、目的を達成するのがクランだ。

 とはいえ、彼女らの目的は随分と特殊みたいだが。


「ウチのクランに入れば、あなた専用の口座も作れるわよ?

 実家と縁切りたいなら、秘密裏にそう言うのは必要でしょ?」


「たしかに……」

「では……」

「とはいえ、突然なことゆえ決めかねているよ。

 騙されていない? とかね」

「ふむ……それでは、一緒にダンジョン行ってみます?

 そうすればわたしたちが普段どのような感じなのか分かると思いますし」

「今から?」

「はい」


 少し溜息をついて、考える。


「まあ良いが……」

「では」

「この学園にあるダンジョンに行きましょう。ここにあるモノが一番大きいですし、たぶん今日、お試しで入っている一年生も何人かいると思いますから。

 その方がココさん安心ですよね」

「まあ……好きにしてくれよ」

「ですって、霧乃アンタも行きなさい。アタシは色々上に話してくるから」

「え!? まだ課題が……」

「そんなもんアンタならすぐ終わるでしょ?」

「うぅ……」

「あはは……では、改めて私は白海トリです。トリとお呼びください。それと、そちらの課題をしていた方は高等部2年の宮川霧乃先輩です。

 こちらは、ひよちちゃん先輩です」

「だから! ひよりちゃん言うな!

 緋色 ひより高等部2年よ。一応クランのリーダー。

 あと、うちのクランはあと一人いるけど、ソイツのことはまた今度紹介するわ。

 いきなりはアンタも困るだろうし」


「ふむ。確かに……。あまり人の名前を覚えるのは得意じゃないんだ。助かるよ」


「では、行きましょうか。行きますよ霧乃せんぱい」

「あ、うん……」


 そう言って、二人が出入口の方へ向かう。


「なあ」

「ん?」

「彼女、トリ君は本当に人見知りなのだろうか……。

 ひよりちゃん」

「だからっ、……まあいいわ。

 あの子、変なところで真面目だから。

 アンタもさっさと行きなさい」

「仕方ない」


 言って、二人の後を追うようについて行き保健室を出た。

 

 

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