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転生者の異世界旅行記  作者: 豆板醤
第1章 旅立ちまで
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3話 "初めての図書室"

朝、食堂でご飯を食べ終えた俺とボルゴは、モニカさんと一緒に図書室に向かっていた。


図書室に行きたいことをマチルダ先生に言うと、先生は図書室の使い方を簡単に教えてくれた。本を雑に扱わない、走り回らない、ものを食べたりしない。先生は他の孤児の授業で忙しいので、詳しいことは非番のモニカさんが教えてくれることになった。


先生やシスターの人たちは週に何回かお休みがある。モニカさんは休日を図書室で過ごしているらしく、院長先生やマチルダ先生に並んで図書室に詳しい。


心臓をバクバクさせながら階段を上がり終え、廊下の奥へと歩く。

図書室は孤児院二階に二つある。階段のすぐそばにある小図書室は読み聞かせ用の絵本や子供向けの小説などが多い、今回俺らが行くのは二階の廊下の突き当りにある大きい図書室だ。置いてある本は難しい小説や学習用の本が多く、図書室兼倉庫として使われている、利用者はマチルダ先生や院長先生、モニカさんや本好きな年長の孤児たちくらいであまり多くない。


立て付けの悪い扉を体当たりするように開ける。

図書室というよりは物置の方が近いだろうか、棚には乱雑に本が詰め込まれ、テーブルには積みあがった本や装飾品が無秩序に並んでいる。しかし部屋にある棚の半分は本が整理され、分類ごとに分けられて並べられていた。


「私が来たときは全部の本がいろんな場所に積みあがって、マチルダ先生も片づけを諦めちゃうくらいだったんですよぉ。休日をここで過ごそうと思ってたのにこんなに汚かったら休めないじゃん!って思って頑張って片付けてるんです」


得意げな表情をして自慢するモニカさん。

いつか院長先生が言っていた「本の片づけはできるのに...」とはこのことだったのかと納得した。


「それで、二人はどんな本を読みたいんです?」

「ボク、昨日ミハウおじいちゃんが言ってた騎士について知りたい!」

「あー...モンスターの図鑑と王国史本、どっちだろかなぁ...いや、モンスターにしとくかぁ。シュウくんは?」

「魔法についての本はありますか?」


モンスター図鑑も気になるが、まず魔法について知りたい。

魔法へ憧れ続けて前世含め十数年くらいは経っている、もし自分が使えなかったとしても、それでも魔法についてを学びたい。

魔法の本について聞くと、さっきまでニコニコしていたモニカさんの顔が、一瞬でにやにやした笑いに変わった。


「シュウくん魔法に興味あるの?それならお姉さんが持ってる本を借したげるよぉ、ちょっと待っててね」


モニカさんはボルゴに分厚いモンスターの図鑑を渡すと、軽快な足取りで自室へ走っていった。


帰ってくるまでの間、ボルゴと一緒に図鑑を読んでみる。図鑑と聞いて子供向けの本を想像したが、渡された本は棲息地や特徴について書かれた専門的なものだった。ざっと目次を見ただけでゴブリン、オーク、トロール、オーガ、ミノタウロスなど数百以上は書かれている、それぞれ注釈付きで詳細に書かれており、本の重さは児童が持ち上げるには厳しいほどのものだ。


しばらく図鑑を読んでいると、ドタバタと本を抱えたモニカさんが戻ってきた。

テーブルの上に勢いよく本を置くと、比較的薄い一冊の本を差し出してきた。茶色の表紙に文字だけが書かれた本、タイトルは『魔術概論』。


「魔法について知りたいなら、ちょーっとむずかしいけどこの本がおすすめですよ!でもシュウくんの年齢だとまだ理解しづらいかもなので、魔法のでてくる絵本とかおとぎ話をたくさん読んでからの方が読みやすいと思います!この本を何回か読んで大体理解できたら、こっちの『魔術理論基礎』、理論が理解できたらこの『初級魔術構築教本』を読んでみましょう!」


早口、すごく早口だしどんどん近づいてくる。

というか教本があるのか、それなら俺でも魔法が使えるんじゃ?


「えっと、モニカお姉さん。魔法って僕でもつかえるんですか?」

「絶対に使えますよ!とも言えないんですよねぇ...。本人のセンスと生まれ持った魔力の質とかによるし、でも一切使えないって人は珍しいです。魔法が完全につかえないです!って人が大人まで成長できたら研究者が飛びついてくるでしょうね」

「僕、つかえそうですか?」

「お姉さんに聞かれてもなぁ。あと2年したら、国の偉い人たちのやってる魔術適正の検査が来るからその時にわかると思うよ~。ちなみに、もし本を全部読んでもやってみようなんて思っちゃだめだよ?パンッ!って弾けちゃっても知らないからね?」


珍しく真剣な声色で忠告された。

弾けるってなんだよ、そんな危険なものなのか?

答えはきっと本に書いてあるんだろう。魔術概論をモニカさんはもう読まないらしく、夜更かしして読まないことを条件にプレゼントとしてもらうことができた。


ちなみにボルゴは俺が壁際にまで追い詰められている間、図鑑を読むのに熱中していた。


魔法に関する本以外にも役に立ちそうな本を聞いてみたところ、エウレ諸国図鑑という本をお勧めされた。

学校向けの図鑑でわかりやすく、自分が住んでいる場所について簡単に知っておくべき!ということでお勧めらしい。


たしかに、今まで自分が住んでいるところがスクライラスという都市であること以外は知らない。マチルダ先生の授業は算数と文字が中心で社会科目は受けていなかった。


クラヴィスア王国、それがこの国の名前らしい。

スクライラスはクラヴィスア首都と北海の中間くらいにある小さな都市で、南西には東の国境との関所があるシュワコヴォ市がある。

クラヴィスアはエウレという地域にあるらしく、簡単な地図も書かれていた。北は海で南は山、東は湖沼で西は森林の平原の国、大河が通り農業が盛んらしい。


「モニカお姉さんは外の国にいったことあるの?」

「ないよぉ、行ったことあるのは王都とかくらいかな。でも院長先生は東の大公国にいったことがあるらしいよ、あの木の人形はそこの名産品なんだってさ」


棚に飾られた木の人形、マトリョーシカは東の国の名産品らしい。

そんなことを話していると、いつの間にか昼になっていた。

モニカさんの手を握りながら慎重に階段を下りて食堂へ向かった。

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