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転生者の異世界旅行記  作者: 豆板醤
第3章 冬の旅と戦
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42話 "拉致"

「なんか、今日はあまり天気が良くないね」


天気は曇り、時々パラパラと雨粒が降る。

本格的に降り始めたら、視界も悪くなって魔術も弓も当たらない。今日は依頼を受けないで、明日やる依頼を探しに行こう。


服を着込んで宿を出る。

都市の住民は冬越しの準備が済んだらしく、薪や食糧を抱えて走る姿はもう見ない。


「ほんと、最近寒いよね〜」

「もう11月だからね。再来週くらいにはもう12月だよ」

「冬の旅服、ちゃんとあったかいの買わないとね」


最近はリザードフォークの討伐や、ハーピーの巣作りを妨害の依頼をしている。


ギルド曰く、今年の冬は去年よりはモンスターが少し少なくて落ち着いている、らしい。


「モンスターが多い年は、都市が完全に囲まれることもある。って、本当に恐ろしいね」

「だから城壁の外に町が広がらないんだね」


空を見上げると、城壁と城壁を繋ぐ空中廊下が見える。

兵士が行き交う通路と胸壁、弩砲や長弓兵が外を睨んで警備をしている。


「あれも全部対モンスターなのかな」

「だね。シュワコヴォも同じようなのがあったけど、向こうは投石器とかもっと大きかったな」

「こっちは騎士も見ないし、都市によって違うんだね」


雑談しているうちに、ギルドの目の前についた。

依頼を探したりするのには割と時間がかかる。

サーシャに金貨2枚と銀貨3枚を手渡す。


「依頼探している間に、何か必要そうなものがあったら買っておいて」

「おっけー、任せて!」


元気な返事を聞きながらギルドに入る。

依頼ボードには新しい依頼がいくつか増えていた。

オーガの討伐やモンスターの動向調査など。


討伐依頼はこれまで受けてきたものだが、動向調査の依頼は初めて見た。

今季のモンスターの動きがいつもより少ないため、その原因の調査が依頼として出されたようだ。


それ以外にも何種類かの依頼が張り出されている。

どれを受けようかな。




シュウがギルドに依頼を探しに行ってる間、暇なので近くにある露店が開いてるか覗きに行ってみる。

あそこの肉串、美味しかったからまた食べようかなあ。


硬貨を手に通りを歩く。

今日は少し小雨、通りもあまり人がいない。

雨で露店が開いてなかったら、足りない道具でも買いに行こうかな。


何かが視界に入った。

その方を向くと、通りの脇の路地で誰が揉み合ってるのが見えた。


少女が二人の男に掴まれ、連れ去られようとしている。


「ちょっと、何してるの!」


路地に飛び込んで男と少女の間に入る。

小太りの男と細身の男、それと旅人らしい少女。

少女が助けを求めるように掠れた声で言う。


「助けてください!この人達、急に路地に引き摺り込んできて...」

「うるせぇ!クソ、邪魔しやがって...」


小太りの男が急に入ってきた私を睨む。

目、男の目が違う。明らかに普通の人じゃない、ソッチの人の目だ。


反射的に腰の剣に手を当ててしまう。

男もローブの中から何かを取り出そうとする。


「ちょっと待てちょっと待て!誤解だよ、嬢さん話を聞いてくれ」


細身の男が私たちの間に入ってきた。

小太りの方を後ろに押し除けると、私の方を向いた。


「別にこの子に乱暴しようとしたわけじゃない、落ち着いてくれ」

「本当に言ってるの?」


男が私の肩に手を置き、落ち着くように言う。


「あぁ、とりあえず話を聞いてくれ...スリープ」


肩に置かれた手がうなじに滑り込み、何かが行われた。

急激な眠気。視界がぼやけ、意識が薄れてきた。

毒?いや、多分魔術だ。


「阿呆。最初から喧嘩腰はやめろ、これが一番早い」

「クソッ...。おい、ガキが逃げるぞ!」

「あぁ。この金髪を担いどけ、早く行くぞ」


隙を見て逃げ出した少女が、何かに拘束されて転ぶ。

叫ぼうとしたが、口を覆われて声を封じられた。

慣れた手つきで麻袋を頭に被せられ、細身の男が担ぐ。


こいつら、拉致の匪賊共だ。

このままじゃ攫われる。シュウはまだギルドにいる、助けを求めても無理だ。


せめて何か、何か印を残さなきゃ。

薄れる意識の中、力を振り絞って手に込める。


「ほら、さっさと運ぶぞ」


担がれた私の体がどこかへ運ばれていく。

眠気に抵抗することができず、私の瞼は閉じられた。

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