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転生者の異世界旅行記  作者: 豆板醤
第3章 冬の旅と戦
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41話 "ルヴニツァ錬成工房"

朝、宿の部屋で二人してゴロゴロしている。

依頼と休息、また依頼をして、何とか5万ほどを貯金した。


「今日、なにする?」

「買い物でもする?でも、今必要な物ってあるかな」


昨日討伐依頼をやったばかりなので、今日は休みだ。

買い物でもしようかと思ったが、特に買うものは思いつかない。


「ポーションとか欲しくない?」

「あっ、確かに。今まで持ってなかったね」

「怪我したときとかに便利だし、買いに行こうよ!」



サーシャの提案で回復薬を買いに行くことになった。

街の通りは人が行き交い、今までの都市と同じように商人が露店を開いている。

ただ、時折市民に交じって巡回の衛兵が見える。


「それで、回復薬とかってどこで買うの?」

「うーん...、錬成師の店とか教会かな」

「錬成師のお店ってどこら辺にあるの?」

「職人街にあるはずだよ」

「なら、そっちの方が近いし先に見に行ってみよ!」


そうして向かってみた職人街。

鍛冶屋や革職人、木工の店が立ち並ぶ道。

その端に、ひっそりと錬成師の工房が立っていた。


「おじゃましまーす...」


人気もなく少し寂れた工房。

サーシャがゆっくりと扉を開けて中に入ると、一人の老人が中にいた。


「...珍しいな、お客さんか。何か御用かな?」

「えーっと、回復薬って売ってますか?」

「回復薬だね。なら、ここにあるのがすべてだよ」


店主の老人は怠そうに横にある棚を指さす。

薄赤色の液体が入った瓶が何本か並んでいる、これが回復薬だろうか。


「これ、どういう薬品なんですか?」

「切り傷や打撲に即効性がある、それ以外には、治癒の促進くらいしか効き目がない。飲むと効き目は薄いが、鎮痛の作用がある。基本は傷口に塗って使う」


価格は一本5000グロス、意外と安い。

サーシャが値札を見て不思議そうにしている。


「教会で売ってたのより安い...、教会のとは何か違うんですか?」

「ほとんど同じだよ。教会は神の奇跡を帯びた薬水、って言ってるが、製法に関しては錬成術と同じさ」

「えぇ...、じゃあなんであんなに高いんですか?」

「一応、祝福した水を使ってるらしいからな。こっちは井戸水が素だよ。教会のお偉いさんは、人の手で治癒の奇跡が作り出されるって事実を嫌うんだよ」


店主がため息交じりに説明してくれた。

確か、モニカさんもそんなことを説明してくれていた気がする。


回復薬は魔力と薬学の混合物だが、治癒の祈祷術は完全な神の力。


そして、お偉いさんは人の手で神の力が真似される事実を全力で否定するため、錬成術協会と敵対関係にあるらしい。



サーシャが店主の説明に感心しているのを横目に、棚の瓶を手に取ってみる。

薄っすらと魔力を感じるが、魔術で使うような魔力とは少し異なる雰囲気だ。


瓶を眺めていると、店主に声をかけられた。


「そこの子は、魔術師か?」

「えっ...。はい、そうです」

「錬成術に、興味があるのかい?」

「実は、少し興味があって...。この前ちょっと試してみたら、こうなって」


懐から前の石ころを取り出す。

鉄の結晶が生えた石、それを見て老人が面白そうに笑った。


「ははっ...。金属の成分の抽出、錬成金属学の初歩だな。原理もわからずやっただろう?」

「はい。いじってる途中に気づいたら寝ちゃってて、起きたらこうなってました」

「本職の錬成師は、鉱物と金属を分離できるようになる。暇なときに練習すれば、できるようになるぞ」


入店したときは面倒くさそうな態度だった店主だが、今は少し楽しそうだ。

棚からサーシャがいくつか瓶を持ってカウンターに出した。


「この4本ください」

「あいよ、2万グロスだ」


金貨二枚を手渡す。

老人は回復薬と一緒に、一冊の古い本を渡してきた。


「これは?」

「練成術の教本。興味があるなら持っていきなさい、冒険者に役立つ技もある」

「貰っちゃっていいんですか?」

「本は意欲のあるやつが持っていないといかん。老人には無用だよ」

「わかりました、ありがとうございます!」



夜、宿屋で店主からもらった本を読んでみる。

錬成術の種類、金属学や薬学などについてが書かれている。

金属学の章、錬成術の技術の一つで気になるものがあった。


修復術、金属製の道具の損傷を同じ金属の塊からの移送によって修復する技術。

もしサーシャの長剣が欠けたりしても、これがあれば直すことができそうだ。


ただ、魔術と練成術はだいぶ構成が違う。

正直あまり覚えられそうにない。

古い単語や難しい内容、読むだけでも時間がかかる。


「この錬成薬学?ってので回復薬が作れるんだよね、覚えられたら回復薬代が浮くんじゃない?」

「確かに、この部分だけでもなんとか覚えてみようかな」

「釜と薬草と果実...、なんか難しそうだね」

「もしかしたら、買った方が意外と安く済むんじゃ...?」



買った回復薬を開けて匂いを嗅いでみる。

スッとするような、鼻にくる独特な薬品臭さ。

湿布の匂いだ。

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