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転生者の異世界旅行記  作者: 豆板醤
第2章 新人冒険者
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37話 "長旅の準備"

「集落の跡地にオーガが?」

「はい。厩舎に住み着いていて、周辺のモンスターはオーガの手下だったみたいです」


集落のモンスターをすべて討伐し終えた俺らは、村長に状況を報告していた。

廃墟にオーガが居たと聞いて、村長は心底驚いている。

村から300m離れた場所にあんな怪物が居たなんて、本当に恐ろしいことだ。


「そうだったんですね...。本当にありがとうございます、おかげで村の危険を取り除くことができました」

「いえいえ、依頼をこなしただけです。では、僕らは街に戻りますね」

「村長さん、元気でねー!」


依頼も達成したので帰り道を進む。

時間は日が沈み始めたあたり、急げばぎりぎり街に入れるくらいの時間だ。

えっほえっほと道を走って、何とか門が閉まる前に宿に戻れた。



「シュウ、見てこれ」


夜、風呂を上がってベッドでゴロゴロ寝転んでいる。

すると、荷物を探っていたサーシャが革袋を取り出してこちらに見せてきた。

中身は貯金、結構な額の金貨が入っている。


「わぁ...、だいぶ貯まったね」

「数えてみたけど、31万グロスだったよ。そろそろ次の街に行けるくらい貯まったんじゃない?」

「確かに。冬になる前には移動したいし、旅の準備も始めた方がいいかもね」


もぞもぞ手を伸ばして地図を取り出す。

次の旅路で通る道を指でなぞる。すると、道の途中に一つの印が書かれていた。


「次、関所を通ることになるね」

「関所?ってことは通行料が必要じゃん、どのくらいするのかな」

「資料の方には金貨5枚って書いてある...、もうちょっと貯めた方がいいね」

「一週間くらいかかるんだよね?食料も買いだめしなきゃ」


今回移動する距離は100km以上、野宿と道中の宿を使いながら進むことになる。


ブルトヴァルトに近い道なので危険も多く、盗賊やモンスターの警戒といったことに気を使わないといけない。


「早めに都市に着いたほうがいいし、来週に出発する?」

「そうだね、明後日に依頼を受けて、合間で買い物しておこう」

「おっけー!...眠くなってちゃった、もう寝よー」


端によってサーシャの分のスペースを空ける。

魔石ランタンを消して真っ暗な部屋、数分で寝息が聞こえてきた。



翌日、物資の買い出しついでにギルドでモンスターの出没状況を確認する。

旅で通る街道にオークやリザードフォークが接近しているのが確認されているらしく、少々危険になっている。


モンスターも冬に備えて物資を貯める習性がある。

この時期は街道に近づくモンスターは比較的増えるので、危険性は他の時期と比べて高くなるという。


「いつもの干し肉と黒パンと一緒にチーズも買わない?」

「今はお金もあるし、いいかもね」

「もう干し肉と固いパンだけじゃ飽きちゃったしね。あっ、あと新しい水袋も買っておこうよ」

「水袋は今あるやつでいいんじゃ?」

「もうちょっと水がたくさん入るやつが欲しいじゃん、それに一番安いやつだからもうボロボロだよ」


確かに、サーシャの言う通りだ。

お金がないときに買った水袋なので、品質はそこまでよくない。

どうせならちゃんとしたものを買おう。


食料を一週間分ほど買いためた後、道具屋に向かって水袋を探す。

大都市の道具屋ともなればいろいろな物品を取り扱っている。

見慣れない物が多く、眺めるだけでも面白い。


「これすごくない?野外でも調理ができるコンロだってさ」


サーシャ商品のうち一つを指さす。

火魔術の魔石を使ったコンロ、魔石ランタンと同じで魔力を充填すれば使える。

フライパンや鍋があれば外でも料理が作れる。


「価格は...、4万グロス。まあまあ高いね」

「水袋もこっちに売ってるよ、なんか特別製?らしいよ」

「練成術で加工された革製、頑丈で水漏れしにくいみたいだし、これにしよっか」

「このコンロも買おうよ!」

「フライパンも鍋も持ってないよ?」

「あとで買えばいいじゃん。初めて見たし、ここだけの商品かもよ?」


熱弁するサーシャ。

今は貯金もあるし、買ってもいいかもしれないな...


そういうことで結局買うことになり、鍋もないのにコンロを手に入れた。



「えーっと、チーズと干し肉と...」

「シュウ、あっちにリンゴが売ってるよ!」

「リンゴも買うの?」

「安くなってるみたいだし、買っておこうよ」


最近全然果物を食べてないし、安いなら買っておくか。

そんなふうに買い物をしていると、だいたい一週間分の食料が買い終わった。


「やっぱり嵩張るね、食料」

「コンロとかいろいろ買いすぎちゃったかなあ...」


二人で運べる荷物にも限界がある。

馬や人がいればもう少したくさん運べるのだが、ないものはない。どうにか工夫して持ち運ぶしかない。


「リンゴ買っちゃったし、出発をちょっと早める?」

「明々後日くらい?」

「そのくらいかな、帰ったら荷物まとめようか」

「うん!なんかちょっと楽しみになってきたなぁ」


重い荷物を抱えてるのにも関わらず軽快なスキップ。

どこからその力は出てるんだろう...



宿に戻る帰り、道を振り返る。

人生で初の大都市、滞在期間は三ヶ月ほど。


スクライラス孤児院から旅立った春は過ぎ去り、冬がゆっくりと近づいてきている。


この冬が、今までで一番大変だったかもしれない。


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