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転生者の異世界旅行記  作者: 豆板醤
第2章 新人冒険者
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24話 "伐採場警備"

「伐採場の警備依頼?」


いつものギルド。

討伐依頼の納品に訪れた時、依頼ボードで気になる依頼を見つけた。


「街の外にある伐採場で、作業中にモンスターが来ないように追い払う依頼ですね。モンスターを倒せば追加報酬もでますよ」


朝から夕暮れまで三日間の依頼、報酬は6万グロスで追加もある。

三日かかるとしても、だいぶ割がいい。オークも大体狩りつくしてしまったし、これを受けてもいいかもしれない。

早速依頼を受け宿に戻る。


そして翌日。伐採場に向かうと、斧を持った木こりたちが集まっていた。

近づいてきた俺たちに、一番体格の大きい木こりが気付いた。


「あんたらが、警備の依頼を受けた冒険者たちか?」

「はい!私がサーシャ、こっちはシュウです!」

「そうか。俺はユルゲンだ、ここらの木こりのまとめ役をしてる。今日から三日間、頼んだぞ」


簡単に挨拶をすましたユルゲンは木こりたちの元に戻り、斧を手に森に向かった。


「警備、っていっても何してればいいんだろ」

「とりあえず高いところで見張ればいいかな。私、あそこから見てるね」


そう言ってサーシャは近くにあった小屋の屋根に飛び乗った。

クロスボウ持ちの俺が本来高いところに居た方がいいのだろうが、あそこに飛び乗れる身体能力はない。おとなしく適当な岩の上に登っておく。


しかし結構暇だ。

座ってみてるだけじゃ暇だし警備にならない、作業場の付近を時々巡回し、暇そうな木こりや木工職人たちと少し雑談をする。

警備に来た冒険者がかなり若いことに興味を持つ人が多いようで、気軽に声をかけてもらえる。そのおかげで雑談もしやすく、周囲のいろいろなことを聞けた。


「最近、街の城壁を広げるって話が出たもんでよ、木材の需要も上がったんだ」

「だから伐採場にこんなに人が集まったんですね。でも、ここにモンスターってくるんですか?」

「たまにはな。でもほとんどがゴブリンくらいで、木こりが何人か居りゃなんとかできる」

「んだんだ。ただ親分が心配性なもんでなぁ、万が一があっちゃ大変だつぅことで、簡単に雇うことにしたんだ」


そんな風に話していると、向こうの方で騒ぎが聞こえた。

慌てて騒ぎのする方へ駆け出す、小屋の上からサーシャの姿が消えている、すでに向かったみたいだ。


騒ぎのもとにつくと、すでに事態が終わっていた。

地面に転がっているのは首を刎ねられたホーンボア、その横には剣についた血を拭うサーシャ。


「なにがあったの?」

「ホーンボア、森の中から急に突っ込んできたんだよ」


転がっているホーンボアを見る、恐らくまだ若い、近くに親がいるだろう。

聞きなれた足音が近づいてきた。

反射的に魔術を構え、突っ込んでくるホーンボアの顔面を打ち抜いていく。

その後もたびたび現れる獣たち、その日だけで5,6匹近く伐採場に現れた。


「そろそろ夕暮れだな、お疲れさん」

「ユルゲンさん、こんな頻繁に獣って来るんですか?」

「いや、いつもはたまに迷い込んでくるくらいだ。こんなに来るのはちょいとおかしい気もする...。何かに追われてきたのか?」


地面に転がるホーンボアを気掛かりそうに見つめるユルゲンさん。

その懸念は、三日目に現実になった。



警備依頼の最終日、昨日に引き続きホーンボアの襲来を警戒して伐採場の巡回をしていた。

今のところとして怪我人は出ていない、サーシャが最速で駆けつけて切り伏せてくれているおかげだ。

午前は何事も起こらず、このまま平穏に終わると思った時。

森の中からソレが現れた。


「トロールが出たぞぉお!」


一人の木こりが叫ぶ。

その叫びを掻き消すように、トロールが咆哮した。

灰色の巨躯と長い牙、背丈は3mほどはある。ゴブリンが凶悪なガキくらいの危険度だったのに対し、トロールはゴリラといえるほどには強力なモンスターだった。

そんなモンスターが、森から一体、二体、三体。


「全員逃げろ、バインド!」


一番手前の一体を狙って拘束を行う。

数秒もかからず魔力の縄を引きちぎり、逃げ惑う木こりたちを追いかけ始めた。


「マジックミサイル、ウィンドブレイド、アイスアロー!」


立て続けに三発、ある程度傷を負わせたがトロールの再生力の前ではかすり傷だ。

しかしヘイトはこちらに向けられた。三体とも俺を見ている。


金色の残像が背後から一体の首を刎ねる。

とろいトロールは背後に現れたサーシャをゆっくりと振り向いて探す、その間にもう一体に近づき足を一閃、致命傷にはならないが大きく体勢を崩した。


「マジックミサイル!」


崩れ落ちたトロールの頭部に四発の魔弾が集中、ギリギリ吹き飛ばした。

残り一体、見当たらないな。どこいった?


「シュウ避けて!」

「え?」


サーシャの悲鳴のような声が聞こえた。

視界の端に何かが急速に迫ってくるのが見える。


トロールが丸太を投げたんだ。


「プロテクトぉ!」


何とか魔術は詠唱できた。

しかし魔力障壁では投擲された丸太を防ぎきれない、足は恐怖で動きそうにない。

前にもこういうのがあった気がする。

初めてのホーンボア、あの時はモニカさんが助けてくれた。

今は自分で何とかしないといけない。


「マジックミサイル、ウィンドブロー!」


魔弾の衝撃で速度を落とし、強風の打撃で軌道をそらす。

丸太は俺のすぐ真横にずしりと突き刺さった。

死の恐怖と安堵で腰が抜けていたが、ここで座り込んだら負けた気がする。


「サーシャ、拘束するからその間に!」

「りょーかい!任せたよ!」


単純な魔力の縄での拘束は容易にほどかれる。

それなら一工夫してみよう。


「バインド、フロストエンチャント」


トロールを縛り付けた魔力の縄に冷気が伝わる。

灰色の皮膚を氷で縛り、身動きを少しずつ封じていく。


「シュウ、ナイス!」


サーシャはいつも一撃で仕留める。

空にトロールの首が舞った。

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