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転生者の異世界旅行記  作者: 豆板醤
第2章 新人冒険者
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21話 "大胆なゴブリン狩り"

夕暮れ、思ったより遅くなってしまい、日が沈み始めていた。

なんとか市内に戻れたので、急いでギルドに向かう。

依頼を受けた時と同じ受付嬢がこちらに気づいた。


「おや、依頼の方達成できましたか?」

「できました!これ、ゴブリンの核です!」

「拝見します...、九体分で依頼達成ですね」


机に銀貨六枚と銅貨二枚が置かれる。

合計で6200グロス、宿屋一泊分しかないと考えると、本当にしょぼい。

微妙そうな俺らの顔を見た受付嬢が、少し笑っている。


「ゴブリンの単価が安いからと、たくさん狩ろうとして死ぬ人は毎年います、慎重に進めれるのは賢いことですよ」

「うーん...、もうちょっと稼げる方法ってありますか?」


質問を聞いて受付嬢が悩んでいる。

やはり早々稼ぐことはできないんだろうか。


「鞄の中にあるのはホーンボアか?それが狩れるなら、もうちょっと大胆に狩ってもいいと思うぞ」


急に後ろから声をかけられた。

振り返ると一人の冒険者が立っていた、チェインメイルを着込んだ若い男性。

身に着けている装備を見るに、熟練の冒険者なのだろう。


「ただ無理をする必要はない、最初のうちは宿代さえ稼げればいい。頑張れよ」

「アドバイス、ありがとうございます」


冒険者はそのままギルドを出た。

名前も知らない人だがアドバイスをもらえたのはうれしい。


「今の人、誰ですか?」

「彼はBランクのパーティー『裏鱗』の人ですね、ここら辺で活動してるベテランさんですよ。ところで、ホーンボアを狩ったんですか?こちらで素材の方を買い取りますよ」

「いいんですか?それなら、お願いします」


鞄から取り出した素材を机に置く。

受付嬢は取り出された物を見て、目を丸くした。


「結構な大きさのを狩りましたね...。たしかに、これならもう少し大胆に動いてもいいと思いますよ」

「でも、群れが出てきたら危ないんじゃ?」

「そうですね。あくまで慎重に、でも少し大胆にって感じです。はい、角と牙の方は合わせて5000グロスですね」


ゴブリンと合わせて1万1200、大体二泊分だ。

思ったよりホーンボアの方が稼げてしまった、でもあれをずっと相手にしてたら精神がすり減ってしまう。

夜、風呂から上がりサーシャと一緒にベッドに潜り込む。


「サーシャ、明日もまたゴブリンの依頼受けてみない?」

「うん、なら今度はもうちょっと大胆に動いてみようよ。慎重で少し大胆に、ね!」



次の日の朝、朝食を口に詰め込んでギルドへ走る。

依頼ボードにはゴブリン討伐の依頼が再び掲げられていた、依頼を受けて森へ出発。昨日はずいぶん遅くなってしまったので、今日は早めに行動しておく。

昨日よりも大胆に!を目標に、森の奥へと進む。途中で昨日の戦闘現場を発見、そこからゴブリンが歩いてきた方向をたどっていった。


二人して周囲をキョロキョロ観察する。

地面にはゴブリンらしき足跡がある、きっと近くに集団がいくつかあるんだろう。

少し先を進んでいたサーシャが振り返った、「静かに」のジェスチャーと手招きをしている。


「ほら、あそこ。ゴブリンの群れがあるよ」


森の中の開けた場所、そこで焚火をゴブリンたちが囲んでいる。

数は23体、ほとんどは焚火を囲み半数は寝ているが、4体の弓持ちが周囲を警戒している。


「シュウ、魔法であの弓持ちを同時に潰せない?」

「行けると思う。最初に魔法とクロスボウでこっちに注意を引き寄せて足止めする、サーシャはそこをお願い」

「了解!危なくなったらすぐに逃げてね、安全第一で!」


簡単な作戦が決まったので決行、息をひそめながら射程内まで接近する。

いつもより魔術の構築に意識を使い、流れをイメージして心を落ち着かせる。

サーシャの移動が終わったことを確認できたので、いよいよ戦いを始める。


「マジックミサイル!」


光弾が六つ、念入りに構築したおかげで外れることなく全弾命中した。

5体死亡で1体は重傷、初撃は順調だ。

事前に弓をつがえておいたクロスボウを取り出し、密集しているところに放つ。

うまい具合に貫通し2体重傷、残りは13体。しかしゴブリンは案山子ではない、攻撃の方向を突き止めた何体かが武器を手に突撃してきた。


「マジックミサイル、バインド」


再び光弾が生成、今度は慌てていたので三つだった。それでも距離が近いので命中、一気に半数まで減らすことができた。

さらに木々の間に張られた魔力の縄がゴブリンを捉え、数体が足が引っかかって転んだ。


「サーシャ、今!」

「はいさっ」


茂みから飛び出したサーシャ、目で追えない速度で駆け、転んだ哀れなゴブリンをすれ違いざまに切り捨てた。

よく見ると剣が淡い光を帯びている、エンチャントで強化したのか。

突き出された槍を最低限の動きで避け、がら空きの腹を剣で切り裂く。そのまま近くにいた奴の首を突きで刎ね飛ばし、死体から奪った石斧を適当な奴に投擲する。


暴れまわる姿を横目に、逃げようとしたゴブリンの背中を射抜く。

やはりクロスボウは速射が効かないから困る。魔術で代用するにも、マジックミサイルもポンポン撃つにはまだ難しいし、別の魔術を覚えた方がいいかもしれない。


そうこう考えていると殲滅が終わった。

23体のゴブリンのうち、核が無事に取れたのは21体。思ったより好き勝手に切っていたから、もうちょっと壊したかと思っていた。

核を壊さないように手加減したとピースしているサーシャ、その横には投擲された石斧が直撃して半身が吹き飛んだゴブリンがある。


「これで9800グロス!まだお昼だし、もうちょっと狩れるんじゃない?」

「どうだろ、もう付近にいないんじゃないかなあ...」

「私の感だとまだ近くにいるはず!ほらシュウ、早く探そうよ!」


ぴょんぴょん跳ねるサーシャ。

あんなに暴れたのにまだ元気だ。


結局、サーシャの感は当たりだった。

近くにいた数体のゴブリン達を蹴散らし、二日目の収穫は1万2000を超えた。

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