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序幕 "死亡"

日も沈み、すっかり暗くなった帰り道を歩く。

学校の行事やらで帰るのが遅くなったので、朝から降っていた雨ももう止んでいるかもしれないと思ったが、降り続ける雨に止む気配はなく、あちらこちらに大きな水たまりができていた。側溝を勢いよく雨水が流れ、時折吹く突風で傘が持っていかれそうになる。


早めに帰ろうと歩みを早め、街灯のついた歩道からそれた暗い脇道に入る。


家に帰ったら何をするか。夕飯を食べて風呂に入り、勉強をした後に少しゲームを遊び、決まった時間になったら床に就く。


変わりのない繰り返しの毎日。起床、登校、授業、帰宅、睡眠のサイクルをぐるぐると繰り返し、気が付けば卒業が迫ってきていた。


友達はいるが遊ぶほどの関係でもない、ボッチとボッチじゃないの境にいるような微妙な立ち位置で「青春」と呼ばれる高校生時代を終えてしまうことに少しも危機感を抱かない。

きっと将来になって後悔するんだろうが、それは将来の自分が背負うことなので見ないふりをする。


いつも通る脇道も、路地の古い階段も、繰り返す日常の一部だった。

違うことといえば、最近雨が多かったことで地面に苔や藻が生えて滑りやすくなっていたことくらいだ。


強い突風で傘が奪われ態勢が崩れた。

そのまま足は藻を踏み、大きく滑った。


「あっ」


小さく声が漏れ、そのまま転倒。

視界が見えなくなるほどの衝撃が襲う。


頭が割れるように痛い、本当に割れたのだろうか。

起き上がろうと体に力を込めるが一切動かない、声を出そうにも呻くような音しか出すことができない。


雨に濡れた体が急に冷たく、感覚を失っていった。

視界は徐々に色を失い、モノクロになって暗転していった。


暗い路地裏の道で、小倉秀は命を失った。

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